2022年5月10日、イヤホンを数多く手掛ける1MORE(ワンモア)は、同社の最新モデル『1MORE EVO』の販売を開始した。
マルチノイズキャンセリングモード搭載、マルチポイント同時接続対応、IPX4等級の防水性能を実現するなど優れた機能性に加え、LDACコーデック対応でハイレゾ音源による高品質サウンドを楽しむことも可能。全体的に完成度の高い完全ワイヤレスイヤホンとなっている。
今回、開発元の「1MORE INTERNATIONAL LIMITED」様よりサンプルを提供していただいたので、実際に使用した感想を基にレビューしていきます。
ハイレゾ対応、マルチノイズキャンセリングモード搭載の高性能ワイヤレスイヤホン
今回紹介する『1MORE EVO』は、カナル型の完全ワイヤレスイヤホンだ。
ブランド・メーカー | 1MORE(ワンモア) |
モデル名 | 1MORE EVO(ワンモア エボ) |
型番 | EH902 |
色 | ブラック, ホワイト |
接続方式 | 無線(Bluetooth 5.2) |
防水規格 | IPX4 |
対応コーデック | LDAC/AAC/SBC |
搭載ドライバー | 10mmダイナミックドライバー BAドライバー |
充電 | USB-C急速充電 Qiワイヤレス充電 |
連続使用可能時間 | ・イヤホンのフル充電状態での音楽再生:約5.5時間(ANCオン時) ・ケースとイヤホンのフル充電状態での音楽再生:約20時間(ANCオン時) ・イヤホンのフル充電状態での音楽再生:約8時間(ANCオフ時) ・ケースとイヤホンのフル充電状態での音楽再生:約28時間(ANCオフ時) |
形状 | カナル型 |
片耳イヤホン重量 | 5.7g |
ケース重量: | 46.9g |
総重量 | 58.3g |
イヤホンサイズ | 2.2 cm x 2.1 cm x 2.5 cm |
ケースバッテリーサイズ | 6.7cm x 28.6 cm x 38.7 cm |
マルチノイズキャンセリングモードを搭載、場所に適したノイキャンを実現した高性能モデルとなっている。
スマートモードは環境ノイズに合わせて自動的にカットし、バランスよく音源を再生可能。ディープモードは飛行機・電車・バスなど様々な環境に合わせて最大42dBまでのノイズをシャットアウトする。
WNRモードは風切り音防止モードで強風などの自然天気によるノイズを軽減できる。マイルドモードは騒がしいカフェ、ショッピングセンター、オフィスなどの中音域の環境に適している。環境パスモードは音楽を聴きながら周りの音も聞き取りやすく調整することが可能。ボーカルエンハンスモードは周りの人声を強調できる。
▼2種類の外音取り込みモードも搭載。
日本オーディオ協会 「Hi-Res Audio Wireless(ハイレゾ音源)」の認証を取得しており、音の立体感とクリアさが高まり、より繊細で奥行きのあるサウンドを楽しむことができるようになった。LDAC対応でHi-Fi高音質サウンドを伝送し、データ伝送量は従来の300%に達している。
また『1MORE EVO』は、低音再生が得意の「10mmダイナミック型ドライバー」と中高音域の再生が得意の「BA型ドライバー」両方を取り入れた「デュアルドライバーユニット」が搭載されている。これにより再生周波数帯域40,000hzの高音域まで実現し、音楽の細部まで楽しめ、完成度が高い立体感のあるサウンドを提供することが可能となった。
▼マルチポイント同時接続にも対応。同時に2つのデバイスに接続することができ、いちいち音源デバイスを切り替える手間も不要。
イヤホン1個につき3個、合計6個のマイクと、AIを搭載した「DNN(Deep Neural Network)」アルゴリズムがシームレスに連携し、周囲のノイズをフィルタリングして通話時の声を誘導、クリアな品質の会話を実現している。
そして15分の高速充電で4時間音楽を楽しめるほか、Qiワイヤレス充電にも対応しており、非常に高い利便性を実現。イヤホン単体を1回充電すると最大8時間、充電ケースと合わせた場合は最大28時間の音楽再生が可能。長寿命バッテリーでどこにでも持っていけるイヤホンだ。
イヤホン自体はIPX4等級の防水性能に対応。雨の日の水はねや、スポーツの際に汗をかいても、故障の心配なく使うことの出来る防水設計がなされている。
製品本体および付属品
▼外箱の様子
▼内容物一覧をすべて取り出した様子
内容物一覧は以下の通り。
【内容物一覧】
- イヤホン本体
- イヤホンケース
- ユーザーマニュアル
- USB Type-Cケーブル
- 予備イヤーピース ×5ペア
- ブランドシール
▼ユーザーマニュアルは日本語にも対応している。
▼予備イヤーピース ×5ペアが付属しており、耳穴の大きさに合わせて柔軟に調節できる。
ワイヤレス充電対応チャージケース
製品には収納とイヤホンの充電器を兼ねた、ワイヤレスチャージケースが付属する。Type-Cケーブルによる有線充電に加えて、ワイヤレス充電にも対応している。
▼前面中央にはLEDインジケータが内蔵。
▼背面中央には充電用Type-Cポートが用意。
▼ケース自体がQiワイヤレス充電に対応している。
▼指でつまめるほど非常にコンパクトなサイズ。
総重量も約58.3gグラムほどと軽いため、ズボンのポケットに入れて簡単に持ち運ぶことも可能だ。
▼上部のフタをカパッと開けると、左右のイヤホンがスッポリ収まっている。マグネット吸着式。
イヤホン本体
イヤホン本体も非常にコンパクトなサイズとなっている。
▼気を付けないと紛失し兼ねないほど小さい。
▼イヤホン側面にはタッチ操作パネルが内蔵されている。
▼イヤホン下部には給電用の端子が用意。
本製品(画像左)とAirPods Pro(画像右)を並べた様子。
AirPods Proよりもやや小さいサイズ感。
デバイスとの接続(ペアリング)方法
『1MORE EVO』はBluetoothによるワイヤレス接続に対応しており、接続(ペアリング)方法はいたってシンプルだ。
初回起動時は、イヤホンをケースに収納した状態でフタを開くだけで、ペアリングスタンバイ状態となる。
デバイス側で "1MORE EVO" が表示されるので、選択することで接続(ペアリング)が完了する。
これだけの手順で接続を完了できる。
次回以降は、ケースのフタを開くだけで自動的に接続されるようになるため、この手のデバイスの扱いが苦手な方でも、全く問題なく使用することができるだろう。
専用アプリのインストールを推奨
ちなみに、本製品にはiOS・Android対応の公式アプリ(無料)が用意されており、デバイスにインストールしておくことで様々な調節を行うことが可能だ。
▼公式アプリ『1MORE MUSIC』
▼アプリ画面。イヤホンの充電残量や接続状態、音質に関する各種パラメータの調節などを行うことが可能。
▼イヤホンタップ時に利用できる機能を自由にカスタマイズすることが出来る。
▼個人的には、タッチ操作自体をOFFにする選択肢も欲しかったところだ。
▼初めて使用するイヤホンの部品をなじませて音質を良くする「スマートバーンイン」機能も用意。
アプリを利用して、柔軟な使い方が出来る点も本製品の魅力の1つだ。本製品を利用する際はアプリのインストールをオススメしたい。
非常に快適な装着感
実際にイヤホンを装着してみた。
まずペアリング済みのイヤホンをケースから取り出し、両耳にはめる。
イヤホンは片耳5.7グラムほどしかなく、装着しても重さや不快感などは一切感じない。
長時間装着し続けても耳が痛くなったり、疲れることは無かった。
数あるワイヤレスイヤホンの中でも、実に快適な装着性を実現できていると言える。
装着した状態で動き回った場合でも落ちてしまうことはなかったが、ランニングなどの激しい運動時には、人によっては脱落してしまうかもしれないので要注意だ。
ハイエンドモデルに劣らない音質を実現
実際に本製品を使用して様々な楽曲を視聴してみたが、音質は非常に良好で、1万円台の比較的リーズナブルなワイヤレスイヤホンとは思えないほどのクオリティを実現出来ていると感じた。
特に中~高音域に関しては、AirPodsなどのハイエンドモデルと比べても遜色ないほど、実にクリアなサウンドを実現できている。特にボーカル音の響きが良く、生歌に近い印象を受ける。ホワイトノイズ等も特になく、高音でも割れることはなかった。
今まで数多くの有線・無線タイプのイヤホンを試用してきたが、この価格帯でこれほどの音質を実現できているワイヤレスイヤホンは他に類を見ないレベルだ。特にワイヤレスイヤホンの場合、低音が弱く音に迫力が感じられない傾向にある。しかし『1MORE EVO』の場合は、低音もそこそこシッカリとした重厚な響きを聴かせるため、EDMなどの楽曲でも迫力のあるサウンドを楽しむことができた。ただしあくまでカナル型の中では頑張っている部類というだけで、本格的なヘッドセットほどの低音は期待しない方が良いだろう。
ボリュームの調整幅も広く、音量を7割ほどに調整しても十分な音圧を感じることが可能であった。
この価格帯のイヤホンの中では、間違いなくトップクラスのサウンドを実現できていると言える。
マイクの性能も良好。知人とのLINE通話に使用したが、互いの声が聞き取りづらく感じることもなく、明瞭な会話を楽しむことが出来た。
ただし、ノイズキャンセリングはイマイチで、強度を最高に上げても外部音がそこそこ入ってきた。AirPods Proのように高度なノイキャンを期待しない方が良いだろう。
取り回しが楽
実際に『1MORE EVO』を使用すると、取り回しが実に楽なことに気が付くだろう。
まずケースからイヤホンを取り出すと瞬時にペアリングされ、耳に装着する頃にはサウンドを出力する準備が完了している。ワイヤレスイヤホンによってはペアリングに時間のかかるタイプもあるが、本製品はその点でストレスに感じることは無い。
そして使い終わった際は、チャージケースに収納することでBluetooth接続が解除され、充電が行われる。
この流れが非常にシンプルでラクなため、日常の中でストレスなく自然に使用し続けることが可能だ。ユーザービリティに優れた設計が成されていると感じられた。
タッチ操作で各機能へ瞬時にアクセス
本製品は左右イヤホンの側面をタッチすることで、各機能へ瞬時にアクセスすることが出来る。
タッチ回数により、電源ON/OFF、音量調節、曲送/戻しなどの操作を瞬時に行うことが可能だ。
感度は良好で、タッチ操作に対して迅速な応答性を見せる。タッチ機能が側面に搭載されているため、イヤホン本体の位置調整を行った場合などに機能が誤作動することもなかった。
同楽曲でも異なるサウンド体験を提供するEQプリセット
本製品にはEQ(イコライザー)プリセットが用意されており、上述した公式アプリより切り替えが可能だ。
EQプリセットでは、低音抑制や低音強調、ヒップホップ、クラシックなど、視聴する音楽種別に最適なサウンド環境をワンタッチで実現することが出来る。
選択するプリセットによって全く異なる傾向のサウンドを楽しむことが出来る。しかも微々たる違いではなく、同じ楽曲でも体験がガラリと変わるほど、各プリセットが差別化されていた。音響にあまり詳しくない方にとって、イコライザーをイジるのは敷居が高い。しかしアプリ上でプリセットが用意されていることにより、音の変化を気軽に楽しめるのは優れた機能であると感じた。
▼イコライザーの知識がある方向けに、詳細なカスタマイズが行える機能も用意されている。
ユーザーごとの好みに合った音質を実現するSoundID
また公式アプリには、ユーザーごとの好みに合った音質を実現する「SoundID」機能も実装されている。
これは、音楽が流れる中で自身の好みの音質になるよう、"A" か "B" かを選択していくというもの。
▼音楽を聴きながら、AとBを切り替えて、自身の好みの音質になるよう調節していく。
選択作業が完了すると、そのユーザーの好みに最適な音質を実現するための「SoundID」が自動的に生成される。
用意されているEQプリセットを使うよりも、SoundIDを設定した方が、より自身に合った音質でサウンドを楽しめるだろう。
長持ちするバッテリー
このサイズにしては、本製品の充電は比較的長持ちする部類だ。
イヤホン本体のスタンドアローン状態で約8時間、チャージケースを併用することで+20時間の使用が可能になり、外出先に2,3日持って行っても平気で充電が持続する。
ケース本体のバッテリーが低下した場合は、Type-Cケーブルを接続する、もしくはワイヤレス充電器に設置することで素早く充電を行うことができる。
実際に1週間ほど試用してみたが、1日に3~4時間程度使用する分には、1週間で1, 2回ほど充電を行うだけで事足りた。
いちいち充電する手間を省くことが出来る点も嬉しい。
『1MORE EVO』のまとめ
今回紹介した『1MORE EVO』について、特長をまとめると以下の通りだ。
良かった点
- 軽量かつコンパクトなケース
- Qiワイヤレス充電に対応
- バッテリー持続時間が長い
- 激しい動きでもズレ落ちない自然なフィット感
- 価格以上に優れた音質
- ペアリングが簡単(スムーズ)
- マルチポイント同時接続対応
- 複数のEQプリセットが用意
- 「SoundID」や「スマートバーンイン」などユニークな機能も豊富に搭載
悪かった点
- ノイズキャンセリングの強度はイマイチ(若干の環境音は漏れ入ってくる)
- タッチ操作をOFF(無効化)にするオプションが用意されていない
以上の通り、価格以上の性能を発揮するワイヤレスイヤホンとなっている。
リーズナブルな価格に対して音質が実に優れており、特に中~高音域に関しては満足度の高いサウンド体験が可能だ。今まで数多くの有線・無線タイプのイヤホンを試用してきたが、この価格帯でこれほどの音質を実現できているワイヤレスイヤホンは他に類を見ないレベルだと感じた。
低音こそハイエンドモデルと比べると弱い印象を受けるが、そこそこシッカリとした重厚な響きを聴かせるため、EDMなどの楽曲でも迫力のあるサウンドを楽しむことができる。
バッテリー持続力も優れており、外出先でもケース携行で長時間の連続利用が可能。チャージケースがワイヤレス充電に対応しており、スムーズかつストレスなく充電を行える点も嬉しい。
何より、EQ(イコライザー)プリセットが複数用意されており、同じ楽曲でも体験がガラリと変わるほど、音の変化を楽しめる機能となっている。イコライザーに関する知識が無くてもワンタッチで切り替えられる点がGOOD。
同価格帯で品質の優れた完全ワイヤレス型のイヤホンを探している方には、是非オススメしたい一品だ。
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