2023年11月、イヤホンを数多く手掛ける1MORE(ワンモア)は、同社の最新モデル『1MORE PistonBuds PRO Q30』の販売を開始した。
DLC(ダイヤモンドライクカーボン)製振動板を採用することにより、バランスの取れた繊細なサウンドを再現。独自のQuietMaxノイズキャンセリング技術により、周囲の騒音を最大42dBまで自動調整で遮断することができる。
そして低遅延ゲーミングモードに対応するなど、リーズナブルな価格に対して優れた性能を実現した高コスパな完全ワイヤレスイヤホンとなっている。
今回、開発元の「1MORE INTERNATIONAL LIMITED」様よりサンプルを提供していただいたので、実際に使用した感想を基にレビューしていきたいと思う。
リーズナブルな価格で優れたサウンド品質を実現したワイヤレスイヤホン
今回紹介する『1MORE PistonBuds PRO Q30』は、インナーイヤー型の完全ワイヤレスイヤホンだ。
ブランド・メーカー | 1MORE(ワンモア) |
製品名 | 1MORE PistonBuds PRO Q30 |
形式 | インナーイヤー型 |
色 | ホワイト, ブラック |
接続方式 | 無線(Bluetooth 5.3) |
防水規格 | IPX5 |
搭載ドライバー | DLCダイナミックドライバー |
搭載マイク | 計6基内蔵 |
充電 | USB-C充電 |
充電時間 | 10分の充電で2時間の再生が可能 |
連続使用可能時間 | ・イヤホン単体:約7.5時間 ・充電ケース込:約30時間 |
イヤホン重量(片耳) | 約4.6g |
マルチノイズキャンセリングモードを搭載、場所に適したノイキャンを実現した高性能モデルとなっている。
スマートモードは環境ノイズに合わせて自動的にカットし、バランスよく音源を再生可能。ディープモードは飛行機・電車・バスなど様々な環境に合わせて最大42dBまでのノイズをシャットアウトする。
WNRモードは風切り音防止モードで強風などの自然天気によるノイズを軽減できる。マイルドモードは騒がしいカフェ、ショッピングセンター、オフィスなどの中音域の環境に適している。環境パスモードは音楽を聴きながら周りの音も聞き取りやすく調整することが可能。場面に応じて自由に調整できる点は嬉しい。
▼外音取り込みモードも搭載。イヤホンを装着したまま会話が可能。
ダイヤモンドに似た分子構造を持つDLC(ダイヤモンドライクカーボン)製振動板を採用することにより、複雑なディテールを持つ驚くべきバランスの取れたサウンドを再現できる。
空間オーディオ機能を利用することで、全方位からのサウンドに包まれる、ワンランク上のリスニング体験を楽しめる。映画鑑賞でも音楽鑑賞でも、空間音響によって臨場感と没入感を高めることが可能だ。
ゲーミング向けの低遅延モードも用意。没入感のあるゲーム体験が可能となる。
マルチポイント同時接続にも対応。同時に2つのデバイスに接続することができ、いちいち音源デバイスを切り替える手間も不要だ。
イヤホン1個につき3個、合計6個のマイクと、AIアルゴリズムがシームレスに連携し、周囲のノイズをフィルタリングして通話時の声を誘導、クリアな品質の会話を実現している。
そして10分の高速充電で2時間音楽を楽しめる。イヤホン単体を1回充電すると最大7.5時間、充電ケースと合わせた場合は最大30時間の音楽再生が可能。長寿命バッテリーでどこにでも持っていけるイヤホンだ。
イヤホン自体はIPX5等級の防水性能に対応。雨の日の水はねや、スポーツの際に汗をかいても、故障の心配なく使うことの出来る防水設計がなされている。
その他、公式の「1MORE MUSICアプリ」と連携することで、イヤホンに関する詳細なカスタマイズ機能を利用することも可能だ。
製品本体および付属品
▼外箱の様子
▼内容物をすべて取り出した様子
内容物一覧は以下の通り。
【内容物一覧】
- イヤホン本体
- チャージケース
- ユーザーマニュアル
- 予備イヤーチップ
- USB Type-Cケーブル
▼ユーザーマニュアルは日本語にも対応。
バッテリー内蔵チャージケース
製品には収納とイヤホンの充電器を兼ねたチャージケースが付属する。Type-Cケーブルによる高速有線充電に対応している。一方で、ワイヤレス充電には非対応となっている。
▼手のひらに収まるほど非常にコンパクトなサイズ。
▼ズボンのポケットにもラクラク収まるサイズ感。
▼底部にはType-Cポートが用意。
▼ポートの横にはペアリング用の物理ボタンが用意。
▼上部のフタをカパッと開けると、左右のイヤホンがスッポリ収まっている。
イヤホン本体
イヤホン本体もコンパクトなサイズとなっている。
▼気を付けないと紛失しかねないほど小さい。
▼イヤホン側面にはタッチ操作パネルが内蔵されている。
▼オーソドックスなインナーイヤー型デザイン。
▼イヤホン下部には給電用の端子が用意。
▼本製品(画像左)とAirPods Pro(画像右)を並べた様子。
▼本製品(画像左)とAirPods Pro(画像右)。AirPods Proよりもやや小さいサイズ感。
デバイスとの接続(ペアリング)方法
『1MORE PistonBuds PRO Q30』はBluetoothによるワイヤレス接続に対応しており、接続(ペアリング)方法はいたってシンプルだ。
初回起動時は、イヤホンをケースに収納した状態でフタを開くだけで、ペアリングスタンバイ状態となる。
デバイス側で "1MORE PistonBuds PRO Q30" が表示されるので、選択することで接続(ペアリング)が完了する。
これだけの手順で接続を完了できる。
次回以降は、ケースのフタを開くだけで自動的に接続されるようになるため、この手のデバイスの扱いが苦手な方でも、全く問題なく使用することができるだろう。
専用アプリのインストールを推奨
ちなみに、本製品にはiOS・Android対応の公式アプリ(無料)が用意されており、デバイスにインストールしておくことで様々な調節を行うことが可能だ。
▼公式アプリ『1MORE MUSIC』
▼アプリ画面。イヤホンの充電残量や接続状態、音質に関する各種パラメータの調節などを行うことが可能。
▼イヤホンタップ時に利用できる機能を自由にカスタマイズすることが出来る。
個人的には、タッチ操作自体をOFFにする選択肢も欲しかったところだ。
▼初めて使用するイヤホンの部品をなじませて音質を良くする「スマートバーンイン」機能も用意。
▼実験的機能として「2台掃除接続」機能も用意されている。
アプリを利用して、柔軟な使い方が出来る点も本製品の魅力の1つだ。本製品を利用する際はアプリのインストールをオススメしたい。
非常に快適な装着感
実際にイヤホンを装着してみた。
まずペアリング済みのイヤホンをケースから取り出し、両耳にはめる。
イヤホンは片耳4.6グラムほどしかなく、装着しても重さや不快感などは一切感じない。
長時間装着し続けても耳が痛くなったり、疲れることは無かった。
数あるワイヤレスイヤホンの中でも、実に快適な装着性を実現できていると言える。
装着した状態で動き回った場合でも落ちてしまうことはなかった。IPX5等級の防水性能も備えており、発汗と激しい動きを伴うスポーツにも用いることが出来るだろう。
ハイエンドモデルに劣らない音質を実現
実際に本製品を使用して様々な楽曲を視聴してみたが、音質は非常に良好で、1万円未満のリーズナブルなワイヤレスイヤホンとは思えないほどのクオリティを実現出来ていると感じた。
特に中~高音域に関しては、AirPodsなどのハイエンドモデルと比べても遜色ないほど、実にクリアなサウンドを実現できている。特にボーカル音の響きが良く、生歌に近い印象を受ける。ホワイトノイズ等も特になく、高音でも割れることはなかった。
ワイヤレスイヤホンの場合、低音が弱く音に迫力が感じられない傾向にある。しかし『1MORE PistonBuds PRO Q30』の場合は、低音もそこそこシッカリとした重厚な響きを聴かせるため、EDMなどの楽曲でも迫力のあるサウンドを楽しむことができた。ただしあくまでカナル型の中では頑張っている部類というだけで、本格的なヘッドセットほどの低音は期待しない方が良いだろう。
▼公式アプリより「空間オーディオ」機能をONにすることで、全方位からの音に包まれるような、臨場感のあるサウンド体験が可能となる。
ボリュームの調整幅も広く、音量を7割ほどに調整しても十分な音圧を感じることが可能であった。
この価格帯のイヤホンの中では、間違いなくトップクラスのサウンドを実現できていると言える。
マイクの性能も良好。知人とのLINE通話に使用したが、互いの声が聞き取りづらく感じることもなく、明瞭な会話を楽しむことが出来た。
3種類のノイズリダクション機能に対応
アプリ経由でリスニングモード(ノイズリダクション、パススルー、消灯)を切り替えることが可能だ。
1MORE独自のQuietMax™ノイズキャンセリング技術により、周囲の騒音を最大42dBまで自動調整で遮断。地下鉄でも、カフェでも、街中でも、外音をシャットアウトして音楽を楽しむことが出来る。
また、ノイズリダクションの中にもディープ、マイルド、WNR、スマートといった4種類の強度が用意されており、ノイズキャンセリングの強度を場面に応じて柔軟に切り替えられる。
WNRモードは風切り音防止モードで強風などの自然天気によるノイズを軽減できる。マイルドモードは騒がしいカフェ、ショッピングセンター、オフィスなどの中音域の環境に適している。環境パスモードは音楽を聴きながら周りの音も聞き取りやすく調整することが可能。場面に応じて自由に調整できる点は嬉しい。
実際に聴き比べてみたところ、ディープでは外音が完全にシャットアウトされ、ちょっとやそっとの物音では全く聴こえなくなりました。一方で、WNRやスマートに設定すると、パススルー時よりも若干外音が遮断されたレベルであり、完全に外音をシャットアウトすることはない。音楽を楽しみつつ、外からの音も聴き取りたい場合にはこれらの強度を調整すると良いだろう。
ゲーミング用の低遅延モードが用意
また、ゲーミング用の「低遅延」モードも用意されている。
低遅延ゲーミングモードをオンにすると、オーディオと映像の同期が強化され、レイテンシー(遅延)を80msまで低減させることができる。
より没入感のあるゲーミングを楽しめるようになるほか、本気でゲームに打ち込みたい方にもうってつけの機能だ。
取り回しが楽
実際に『1MORE PistonBuds PRO Q30』を使用すると、取り回しが実に楽なことに気が付くだろう。
まずケースからイヤホンを取り出すと瞬時にペアリングされ、耳に装着する頃にはサウンドを出力する準備が完了している。ワイヤレスイヤホンによってはペアリングに時間のかかるタイプもあるが、本製品はその点でストレスに感じることは無い。
そして使い終わった際は、チャージケースに収納することでBluetooth接続が解除され、充電が行われる。
この流れが非常にシンプルでラクなため、日常の中でストレスなく自然に使用し続けることが可能だ。ユーザービリティに優れた設計が成されていると感じられた。
タッチ操作で各機能へ瞬時にアクセス
本製品は左右イヤホンの側面をタッチすることで、各機能へ瞬時にアクセスすることが出来る。
タッチ回数により、電源ON/OFF、音量調節、曲送/戻しなどの操作を瞬時に行うことが可能だ。
感度は良好で、タッチ操作に対して迅速な応答性を見せる。タッチ機能が側面に搭載されているため、イヤホン本体の位置調整を行った場合などに機能が誤作動することもなかった。
同楽曲でも異なるサウンド体験を提供するEQプリセット
本製品にはEQ(イコライザー)プリセットが用意されており、公式アプリより切り替えが可能だ。
プリセットEQでは、低音抑制や低音強調、ヒップホップ、クラシックなど、視聴する音楽種別に最適なサウンド環境をワンタッチで実現することが出来る。
選択するプリセットによって全く異なる傾向のサウンドを楽しむことが出来る。しかも微々たる違いではなく、同じ楽曲でも体験がガラリと変わるほど、各プリセットが差別化されていた。音響にあまり詳しくない方にとって、イコライザーをイジるのは敷居が高い。しかしアプリ上でプリセットが用意されていることにより、音の変化を気軽に楽しめるのは優れた機能であると感じた。
▼イコライザーの知識がある方向けに、より詳細な調整が可能な「カスタマイズEQ」機能も用意されている。
長持ちするバッテリー
このサイズにしては、本製品の充電は比較的長持ちする部類だ。
イヤホン本体のスタンドアローン状態で約7.5時間、チャージケースを併用することで+22.5時間の使用が可能になり、外出先に2,3日持って行っても平気で充電が持続する。
ケース本体のバッテリーが低下した場合は、Type-Cケーブルを接続することで素早く充電を行うことができる。高速充電に対応しており、わずか10分の充電で2時間の利用が可能となる。
実際に1週間ほど試用してみたが、1日に3~4時間程度使用する分には、1週間で1, 2回ほど充電を行うだけで事足りた。
いちいち充電する手間を省くことが出来る点も嬉しい。
『1MORE PistonBuds PRO Q30』のまとめ
今回紹介した『1MORE PistonBuds PRO Q30』について、特長をまとめると以下の通りだ。
良かった点
- 軽量かつコンパクトなケース
- バッテリー持続時間が長い
- 10分の充電で2時間の利用が可能
- 激しい動きでもズレ落ちないフィット感
- 価格以上に優れた音質
- ペアリングが簡単(スムーズ)
- マルチポイント同時接続対応
- 複数のEQプリセットが用意
- 「低遅延ゲーミングモード」や「スマートバーンイン」などユニークな機能も豊富に搭載
- 複数のノイズリダクション機能が用意
悪かった点
- ケースがワイヤレス充電に非対応
- タッチ操作をOFF(無効化)にするオプションが用意されていない
以上の通り、価格以上の性能を発揮するワイヤレスイヤホンとなっている。
リーズナブルな価格に対して音質が実に優れており、特に中~高音域に関しては満足度の高いサウンド体験が可能だ。今まで数多くの有線・無線タイプのイヤホンを試用してきたが、この価格帯でこれほどの音質を実現できているワイヤレスイヤホンは他に類を見ないレベルだと感じた。
低音こそハイエンドモデルと比べると弱い印象を受けるが、そこそこシッカリとした重厚な響きを聴かせるため、EDMなどの楽曲でも迫力のあるサウンドを楽しむことができる。
バッテリー持続力も優れており、外出先でもケース携行で長時間の連続利用が可能。高速充電にも対応しており、10分の充電で約2時間の使用が可能となる。
何より、EQ(イコライザー)プリセットが複数用意されており、同じ楽曲でも体験がガラリと変わるほど、音の変化を楽しめる機能となっている。イコライザーに関する知識が無くてもワンタッチで切り替えられる点がGOOD。
「低遅延モード」や「スマートバーンイン」などユニークな機能も豊富に搭載されている。専用アプリをインストールして、いろいろと試してみると良いだろう。
1万円未満で品質の優れた完全ワイヤレス型のイヤホンを探している方には、是非オススメしたい一品だ。
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