2022年8月、イヤホンを数多く手掛けるDonnerは、同社の最新モデル『Donner Dobuds One』の販売を開始した。発売時点の通常価格は5,999円(税込)となっており、黒、白、青緑、ブルーの4種類のカラーバリエーションが用意されている。
最大30dBのノイズをカットするANC(アクティブノイズキャンセリング)機能、周囲の音を自然に取り込めるトランペアレンシーモードなど、5,000円前後のモデルの中でも優れたスペック構成のワイヤレスイヤホンとなっている。
今回、開発元よりサンプルを提供していただいたので、実際に使用した感想を基にレビューしていきたいと思う。
低価格で高品質な完全ワイヤレスイヤホン
今回紹介する『Donner Dobuds One』は、5,000円前後というリーズナブルな価格に対して、優れた音質を実現した高パフォーマンスな完全ワイヤレスイヤホンだ。
ブランド・メーカー | Donner |
モデル名 | Donner Dobuds One |
型番 | DTW-E10 |
色 | 黒、白、青緑、ブルー |
専用アプリ | DonnerConnect |
接続方式 | 無線(Bluetooth 5.2) |
防水規格 | IPX4 |
ノイズキャンセリング | 80Hz-2KHz(-30dB低減) |
内蔵マイク | 4基 |
バッテリー容量 | イヤホン:55mAh ケース:520mAh |
連続使用可能時間 | ・イヤホンのフル充電状態での音楽再生:約6.5時間(ANCオン時) ・ケースとイヤホンのフル充電状態での音楽再生:約26時間(ANCオン時) ・イヤホンのフル充電状態での音楽再生:約8時間(ANCオフ時) ・ケースとイヤホンのフル充電状態での音楽再生:約32時間(ANCオフ時) |
形状 | インナーイヤー型 |
充電ポート | USB Type-C |
Bluetoothによる無線接続に対応した、完全ワイヤレスタイプのイヤホンだ。
防水規格はIPX4に対応。雨滴や汗が多少付着した程度で壊れることは無いだろう。
イヤホン自体は軽くて自然な装着感を実現しており、長時間利用し続けても疲れづらい。充電器を兼ねたケースが付属しており、ケースと一緒に持ち運ぶことで、最大32時間ほどの連続使用が可能だ。
▼イヤホン単体でも最大6.5~8時間ほどの連続使用が可能。携行性にも優れている。
12mmドライバーユニットによる迫力ある低音と、バランスドアーマチュアによる洗練されたサウンドを実現。高音から低音に至るまで、すべての音をクリアに再現することが出来る。
▼メディア視聴時やゲームプレイ時に、劇場やコンサートホールに身を置くような実感や没入感を楽しめる。
ノイズキャンセリング機能を搭載。最大30dBのノイキャンの深さと、広い周波数範囲( 80Hz-2KHz)でのノイキャンを実現しており、機内の騒音、街の交通渋滞、オフィスの雑談など、周囲の雑音を遮断してサウンドに集中することが出来る。
一方で、周囲の音を自然に取り込めるトランペアレンシーモードも搭載。場所・場面に応じて柔軟に機能を切り替えることが可能となっている。
そして専用アプリ『DonnerConnect』からは、10段階のノイズリダクション深度調整やイコライザー機能を利用可能。誰でも音質の違いを簡単に楽しめるように、イコライザープリセットも複数用意されている。
以上の通り、5,000円前後のワイヤレスイヤホンの中でも、実に充実したスペックと機能を搭載したモデルとなっている。
製品本体および付属品
製品本体および付属品について紹介していきます。
▼製品外箱の様子
▼内容物をすべて取り出した様子
内容物一覧は以下の通り。
【内容物一覧】
- イヤホン本体
- イヤホンケース
- ユーザーマニュアル
- USB Type-Cケーブル
- 予備イヤーピース ×4セット
▼マニュアルは日本語にも対応している。
▼本体に装着されているものを含め、計5つのイヤーチップ(XS / S / M / L / XL)を利用可能。
チャージケース
製品には収納とイヤホンの充電器を兼ねたチャージケースが付属する。Type-Cケーブルによる有線充電に対応。ワイヤレス充電には対応していない。
▼指でつまめるほど非常にコンパクトなサイズ。
▼正面にはチャージケースの充電残量を示すLEDインジケータが搭載。
▼背面には充電用のType-Cポートが用意されている。
▼上部のフタをカパッと開けると、左右のイヤホンがスッポリ収まっている。マグネット吸着式。
▼中央にはペアリング/リセットボタンが用意されている。
イヤホン本体
イヤホン本体も非常にコンパクトなサイズとなっている。
▼気を付けないと紛失し兼ねないほど小さい。
▼イヤホン側面にはタッチ操作用のパネルが内蔵されている。左右のタッチパネルを利用して、各機能へ瞬時にアクセスすることが可能だ。
▼各機能は、公式アプリ上で細かくカスタマイズすることも可能(後述)。
▼本製品(画像左)とAirPods Pro(画像右)を並べた様子。
ケースは『Donner Dobuds One』の方がやや小さめだが、イヤホン自体の大きさや形状はAirPods Proと大差ない。
デバイスとの接続(ペアリング)方法
『Donner Dobuds One』はBluetoothによるワイヤレス接続に対応しており、接続(ペアリング)方法はいたってシンプルだ。
初回起動時は、イヤホンをケースに収納した状態でフタを開くだけで、ペアリングスタンバイ状態となる。
デバイス側で "Donner Dobuds ONE" が表示されるので、選択することで接続(ペアリング)が完了する。
これだけの手順で接続を完了できる。
次回以降は、ケースのフタを開くだけで自動的に接続されるようになるため、この手のデバイスの扱いが苦手な方でも、全く問題なく使用することができるだろう。
専用アプリのインストールを推奨
ちなみに、本製品にはiOS・Android対応の公式アプリ(無料)が用意されており、デバイスにインストールしておくことで様々な調節を行うことが可能だ。
▼公式アプリ『Donner Connect』
▼アプリ画面。イヤホンの充電残量や接続状態、音質に関する各種パラメータの調節などを行うことが可能。
ノイズキャンセリング
アプリ上でノイズキャンセリング機能の強度、および外音取り込み機能との切替を行うことが出来る。
▼ノイズキャンセリング機能では、通勤・屋内・屋外など、場面に応じて最適なノイズキャンセリング強度を設定できる。
▼手動でノイズキャンセリング強度を細かく調節することも可能だ。
ジェスチャー(タッチ操作)機能
イヤホンタップ時に利用できる機能を自由にカスタマイズすることが出来る。
▼タップ機能が邪魔な場合は、アプリからOFFにしておくことも可能だ。
自分好みの利用環境をスムーズに実現出来る点は、優れていると言えるだろう。
非常に快適な装着感
実際にイヤホンを装着してみた。
まずペアリング済みのイヤホンをケースから取り出し、両耳にはめる。
イヤホンは片耳4.9グラムほどしかなく、装着しても重さや不快感などは一切感じない。
長時間装着し続けても耳が痛くなったり、疲れることは無かった。
数あるワイヤレスイヤホンの中でも、実に快適な装着性を実現できていると言える。
装着した状態で動き回った場合でも落ちてしまうことはなかったが、ランニングなどの激しい運動時には、人によっては脱落してしまうかもしれないので要注意だ。
価格以上のサウンド体験を実現
実際に本製品を使用して様々な楽曲を視聴してみたが、音質は非常に良好で、5,000円前後の安価なワイヤレスイヤホンとは思えないほどのクオリティを実現出来ていると感じた。
特に中~高音域に関しては、AirPodsなどのハイエンドモデルと比べても遜色ないほど、実にクリアなサウンドを実現できている。特にボーカル音の響きが良く、生歌に近い印象を受ける。ホワイトノイズ等も特になく、高音でも割れることはなかった。
今まで数多くの有線・無線タイプのイヤホンを試用してきたが、この価格帯でこれほどの音質を実現できているワイヤレスイヤホンは他に類を見ないレベルだ。特にワイヤレスイヤホンの場合、低音が弱く音に迫力が感じられない傾向にある。しかし『Donner Dobuds One』の場合は、低音もそこそこシッカリとした重厚な響きを聴かせるため、EDMなどの楽曲でも迫力のあるサウンドを楽しむことができた。
▼ゲームモードや最大音量の調節機能なども用意。
ただしあくまでインナーイヤー型の中では頑張っている部類というだけで、本格的なヘッドセットほどの低音クオリティは期待しない方が良いだろう。
ボリュームの調整幅も広く、音量を7割ほどに調整しても十分な音圧を感じることが可能であった。
この価格帯のイヤホンの中では、間違いなくトップクラスのサウンドを実現できていると言える。
マイクの性能は良好。知人とのLINE通話に使用したが、互いの声が聞き取りづらく感じることもなく、明瞭な会話を楽しむことが出来た。
ノイズキャンセリング強度にも優れており、カフェなどにおいて、外部のノイズ(環境音)をシャットアウトして音楽を楽しむことが可能であった。
取り回しが楽
実際に『Donner Dobuds One』を使用すると、取り回しが実に楽なことに気が付くだろう。
まずケースからイヤホンを取り出すと瞬時にペアリングされ、耳に装着する頃にはサウンドを出力する準備が完了している。ワイヤレスイヤホンによってはペアリングに時間のかかるタイプもあるが、本製品はその点でストレスに感じることは無い。
そして使い終わった際は、チャージケースに収納することでBluetooth接続が解除され、充電が行われる。
この流れが非常にシンプルでラクなため、日常の中でストレスなく自然に使用し続けることが可能だ。ユーザービリティに優れた設計が成されていると感じられた。
タッチ操作で各機能へ瞬時にアクセス
イヤホン側面のタッチパネルに触れることで、音量調節、曲送り/戻し、ノイズキャンセリング切替、着信応答/拒否など、各機能へ瞬時にアクセスすることが出来る。
タッチ感度は良好で、軽く触れるだけで思い通りの機能へストレスなくアクセスすることが可能であった。
もしタッチ機能を邪魔に感じた場合は、上述したように公式アプリ上でタッチ操作自体をOFFにすることも出来る点も嬉しい。
同楽曲でも異なるサウンド体験を提供するEQプリセット
本製品にはEQ(イコライザー)プリセットが用意されており、上述した公式アプリより切り替えが可能だ。
EQプリセットでは、ホップやロック、クラシックなど、視聴する音楽種別に最適なサウンド環境をワンタッチで実現することが出来る。
選択するプリセットによって全く異なる傾向のサウンドを楽しむことが出来る。しかも微々たる違いではなく、同じ楽曲でも体験がガラリと変わるほど、各プリセットが差別化されていた。音響にあまり詳しくない方にとって、イコライザーをイジるのは敷居が高い。しかしアプリ上でプリセットが用意されていることにより、音の変化を気軽に楽しめるのは優れた機能であると感じた。
▼イコライザーの知識がある方向けに、詳細なカスタマイズが行える機能も用意されている。
長持ちするバッテリー
このサイズにしては、本製品の充電は比較的長持ちする部類だ。
イヤホン本体のスタンドアローン状態で約6~8時間、チャージケースを併用することで+30時間ほどの使用が可能になり、外出先に2,3日持って行っても平気で充電が持続する。
ケース本体のバッテリーが低下した場合は、Type-Cケーブルを接続することで素早く充電を行うことができる。
実際に1週間ほど試用してみたが、1日に3~4時間程度使用する分には、1週間で1, 2回ほど充電を行うだけで事足りた。
いちいち充電する手間を省くことが出来る点も嬉しい。
『Donner Dobuds One』のまとめ
今回紹介した『Donner Dobuds One』について、特徴をまとめると以下の通りだ。
良かった点
- リーズナブルな価格
- 軽量かつコンパクトなケース
- バッテリー持続時間が長い
- 激しい動きでもズレ落ちない自然なフィット感
- 価格以上に優れた音質
- ペアリングが簡単(スムーズ)
- 複数のEQプリセットが用意
- タッチ操作のON/OFF切替が可能
悪かった点
- チャージケースがワイヤレス充電に非対応
以上の通り、価格以上の性能を発揮するワイヤレスイヤホンとなっている。
リーズナブルな価格に対して音質が実に優れており、特に中~高音域に関しては満足度の高いサウンド体験が可能だ。今まで数多くの有線・無線タイプのイヤホンを試用してきたが、この価格帯でこれほどの音質を実現できているワイヤレスイヤホンは他に類を見ないレベルだと感じた。
低音こそハイエンドモデルと比べると弱い印象を受けるが、そこそこシッカリとした重厚な響きを聴かせるため、EDMなどの楽曲でも迫力のあるサウンドを楽しむことができる。
バッテリー持続力も優れており、外出先でもケース携行で長時間の連続利用が可能。
人によってはタッチパネルの存在を煩わしく感じる方もいるだろう。そのような方々のために、タッチ操作自体のON/OFF切替機能が用意されている点も嬉しい。
何より、EQ(イコライザー)プリセットが複数用意されており、同じ楽曲でも体験がガラリと変わるほど、音の変化を楽しめる機能となっている。イコライザーに関する知識が無くてもワンタッチで切り替えられる点がGOOD。
安価でも、できるだけ音質の優れた完全ワイヤレス型イヤホンを探している方には、是非オススメしたい一品だ。
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