最近では、テレワークやオンライン授業などの広がりにより、自宅にデスクトップPCを設置する人々が増えてきた。
一般的なデスクトップPCは大型で場所をとるため、小型のミニデスクトップPCが大きな人気を博している。
しかしミニデスクトップPCは、サイズを抑えている一方で性能が低いモデルが多く、ヘタな製品を選ぶと、せっかく購入したのに使い物にならなかった... といった事態にもなりかねない。
そこで今回は、手のひらサイズのコンパクトな筐体にパワフルなAMD Ryzen 9 4900Hを搭載した、オススメの小型デスクトップPC『Minisforum EliteMini HM90』について紹介したいと思う。
▼『AMD Ryzen™ 9 5900HX』を搭載した同社の別モデルはコチラ
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実用的なパフォーマンスを発揮する高性能ミニPC
今回紹介する『Minisforum EliteMini HM90』は、非常にコンパクトな筐体サイズに対して実用的なパフォーマンスを発揮するミニデスクトップPCだ。
▼実用的なパフォーマンスを発揮するミニPC
ブランド | Minisforum |
型名 | EliteMini HM90 |
OS | Windows10 Pro |
CPU | AMD Ryzen 9 4900H |
グラフィックス | AMD Radeon™ Graphics |
RAM | 16GB / 32GB |
ストレージ | 512GB SSD |
通信規格 | Wi-Fi6, Bluetooth5.1, 有線LAN |
拡張要素 | M.2 2280 PCle 3.0 SSD(拡張上限なし) DDR4 デュアルチャンネル SODIMMスロット×2(合計64GBまで拡張可能) 2.5 inch SATA HDDスロット×2(拡張上限なし) |
本体サイズ | 149×149×55.5mm |
CPUに『AMD Ryzen 9 4900H』を採用した小型のデスクトップPCだ。価格は7~9万円前後。
Ryzen 9 5900HXは "Zen 2" アーキテクチャを使用したプロセッサーであり、8コアと16スレッドを実現。標準クロック速度は3.3GHz、最大ブーストクロックが4.4GHzに達するなど、パワフルな性能を発揮する。
OSには64bit版のWindows 10 Proを採用。
16GB/32GB RAMの2種類のモデルが用意されており、最大64GBまでの拡張も可能。ストレージには512GB SSDを積んでおり、コチラも拡張スロットが用意されている。
▼アルミ製の筐体は放熱性能にも優れている。
また、高性能APUであるRadeon™ グラフィックスを搭載しており、ある程度のPCゲームも快適にプレイすることが可能だ。
▼タイトルごとの参考FPS値
そして前面・背面には充実したインターフェースを備えており、HDMIポートとディスプレイポート(DP)を活用したデュアルディスプレイ出力にも対応している。
▼多数台の外部デバイスとの同時接続が可能な、充実したポート類。
これだけ充実したスペック構成・インターフェースが手のひらサイズの筐体に収まっており、自宅での本格的な作業用にはもちろん、外出先への持ち運び用途にも適している。
実用的な性能の小型デスクトップPCを探している方には、是非オススメしたい一品だ。
製品本体および付属品
▼外箱の様子
▼内容物をすべて取り出した様子
内容物一覧は以下の通り。
【内容物一覧】
- PC本体
- 電源アダプタ
- 電源コード
- モニター裏取付用金具&ビス類一式
▼モニター裏への取り付けが可能な金具類が付属しています。
▼電源アダプタは、PC本体のサイズに対してかなり大きめな印象を受ける。
▼PC本体と電源アダプタを並べた様子。持ち運びや省スペース化の実現に優れた小型デスクトップPCであれば、アダプタのサイズも抑えてほしかったところだ。
▼PC本体の外観。アルミ製筐体は鈍い光沢を放っている。
▼約15センチ角の筐体は片手でラクラクつかみ上げられるほどのコンパクトさ。
▼裏面の様子。金具取付用の穴が空いているほか、四隅にゴム製の滑り止めが施されている。
▼厚みは5.5センチほど。カバンなどに入れて持ち運んでも支障にならないだろう。
続いて、本体インターフェースについて紹介していく。
▼本体前面。左から『電源ボタン』『マイクジャック』『イヤホンジャック』『USB3.1ポート』×2『USB Type-Cポート』などが用意。
▼側面には吸排熱口が大きく開いている
▼本体背面の様子。左から『USB3.0ポート』×4『LANポート』×2『ディスプレイポート(DP)』『HDMIポート』『ロック穴』『電源入力ポート』が用意。
このように、限られたスペースに必要なポート類が集約されたインターフェース構成となっている。
ディスプレイポート(DP)とHDMIポートを併用することで、デュアルディスプレイ出力も可能だ。
USBポートが計7つ(3.0×4, 3.1×2, Type-C×1)用意されており、多くのデバイスを同時接続することが可能だ。
一般的なサイズのデスクトップと遜色ない利便性を実現していると言える。
ブラウジングから動画視聴まで、非常にスムーズな動作
本製品をいくつかの用途で使用して、実際にパフォーマンスを確認した。
▼実際にマウス・キーボード・HDMI・LAN・電源ケーブル類を接続した様子。画像の様に背面がコードだらけになるため、よりスマートに利用したい場合は無線タイプの機器を使用すると良いだろう。
▼マウスと並べてみても、ミニデスクトップPCの小ささが際立つ。
▼デバイスの仕様。今回のレビューでは16GB RAM・512GBストレージモデルを提供して頂いた。
▼512GBモデルでは、初期状態で約475GB分が利用可能領域として用意されている。
▼4Kモニターに接続して、3840×2160解像度で本製品を使用してみた。
まずは実際にいくつかのウェブサイトを閲覧し、動作を確認した。
画像の多いサイトから、スクリプトを多用した処理の重いサイトまで閲覧してみたが、いずれの場合においても、快適に閲覧することが可能であった。
▼ページスクロール時にも重くなることもなく、スムーズなウェブブラウジングが可能。
また、YouTubeやネットフリックスといったサイトにおいて動画を視聴してみた。
この場合も、4K画質でスムーズに視聴することが可能であった。
また、エクセルやワードなど、Officeソフトを用いた作業を行ってみた。
作業用ソフトの動作も問題なく快適に行うことができており、スムーズな表計算・文字入力等が可能であった。
以上の通り、デスクトップPCとしての一般的な用途(ウェブサイト閲覧・動画視聴・作業用ソフト使用)は概ね快適にこなせるだけの性能だと確認できた。
リモートワークやオンライン授業用にPC購入を検討している方にも適しているだろう。
ゲーミング性能について確認
続いて、ゲーミング性能についても確認してみた。
▼なお本製品にはRadeonグラフィックスが搭載されており、グラフィックに関する細かな調整を行うことが可能だ。
『ファイナルファンタジー14』のベンチマークテストを実施。
テスト条件①
- 高品質(デスクトップPC)
- 1920×1080
- フルスクリーンモード
- DirectX 11
まず上記の条件でテストを実施した場合、スコア2980点、評価は "設定変更を推奨" であった。プレイ自体は可能だが、最低限のパフォーマンスしか発揮できないという結果だ。さすがに高品質設定では動作が厳しい。
続いて、もう少し条件を下げてテストを実施してみた。
テスト条件②
- 標準品質(デスクトップPC)
- 1920×1080
- フルスクリーンモード
- DirectX 11
品質を "標準" に下げてみたところ、スコア4680点、評価は "普通" であった。
標準品質であれば、大規模MMORPGをフルHD画質である程度快適に遊べることが分かった。
この筐体サイズに対してこれだけのパフォーマンスを発揮できるのは、かなり頑張っているのではないだろうか。
仕事や作業のちょっとした合間にPCゲームを楽しみたい方にもうってつけだ。
優れた静音性と放熱機構
レビュー時には本製品を3~4時間ほど連続使用したが、PC本体からの動作音は非常に静かであり、耳を近づけると多少のファン回転音が聞こえる程度であった。
▼耳を近づけると、小さな "キーン" という回転音がわずかに聞こえる程度。
また長時間の連続稼働後に本体を触っても、ほとんど熱を感じることも無かった。
▼長時間使用し続けても熱くならない。
このように優れた静音性と排熱性能を実現しており、長時間の利用にも安心だろう。
『Minisforum EliteMini HM90』のまとめ
今回紹介した『Minisforum EliteMini HM90』について、特長をまとめると以下の通りだ。
良かった点
- コンパクトかつ軽量な筐体
- 大抵の作業を快適にこなせる性能
- 充実のインターフェース構成
- FF14などPCゲームもプレイ可能
- 優れた静音性と放熱性能
悪かった点
- 電源アダプタのサイズがでかい
- 価格がやや高め(7万円前後)
以上の通り、手のひらサイズのコンパクトな筐体に対して、非常に実用的な性能を発揮する小型デスクトップPCとなっている。
ウェブサイト閲覧や動画視聴はもちろん、作業用ソフトを用いた本格的なビジネス用途にも問題なく活用することが可能だ。
またFF14のような大規模MMORPGでも、品質設定を落とすことで十分スムーズに遊ぶことが出来るだろう。
一方で、せっかく持ち運びや省スペース化に適したサイズであるにもかかわらず、電源アダプタのサイズが大きすぎる点は残念だ。本製品はバッテリー内蔵型ではないため、外出先で利用する場合はこのデカいアダプタまで持参する必要がある。
そして価格がやや高め(最も安いモデルで7万円)だ。この価格を高いと感じるか、安いと感じるかは人それぞれだが、最近ではこの価格帯でそこそこの性能のゲーミングPCも購入できる。
特にミニPCにこだわらない場合は、通常タイプのデスクトップPCを検討しても良いと思う。
何はともあれ、極力コンパクトなサイズで高性能なミニPCを求めている方には、ぜひオススメしたい一品だ。
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