▼Black Shark 4
「Black Shark 4」は、Xiaomi傘下のBlack Sharkが手掛けるゲーミングスマートフォンだ。ゲーミングと謳いながら価格は59,800円とかなり安価であり、気になっている読者も多いのではないだろうか。今回、自腹で購入したのでレポートをお届けしよう。
Snapdragon 870搭載で6万円切り!
Black Shark 4は、Snapdragon 845を搭載した初代、Snapdragon 855を搭載したBlack Shark 2、そしてSnapdragon 865を搭載したBlack Shark 3に続く4世代目モデル。今世代から最上位のSnapdragon 888を搭載した「Black Shark 4 Pro」に加え、1個下のSnapdragon 870を搭載した本製品という2ラインナップとなり、SoCで差別化されることとなっている。
▼ハイエンドのSnapdragon 870を搭載
Qualcommの2021年ハイエンドはSnapdragon 888であるため、870の存在感はやや薄いのだが、内容的にはSnapdragon 865 Plusの性能強化版である。ただ、無線LAN周りでは865 Plusで対応していたWi-Fi 6Eへの対応はなくWi-Fi 6の対応にとどまるが、Wi-Fi 6E対応ルーターが日本で出ていない現状、865 Plusの進化版と捉えて間違いないだろう。
性能的にはやはり上位の888には及ばないが、一線級の性能であり、通常利用はもちろん、かなりヘビーなゲーミング用途でも不満を覚えることはまずないと思っていい。870は888と比べて発熱が少なく、消費電力も少ないためバッテリが持つといった特徴もあるため、実はちょうどいい位置づけなのだ。
Black Shark 4無印は、メモリ8GB+ストレージ128GBというゲーミングにしてはやや控えめなスペックからスタートしているが、重いゲームでも、6~7本入れる程度なら十分な容量だと思われる。OSはXiaomiが開発したMIUI12をベースとしたJOYUI12.5。基本的にテーマやアイコンがBlack Sharkに特化され、ゲーム専用機能を加えたものだが、このあたりは後ほど紹介したい。
ゲーム向け機能てんこ盛り
Black Shark 4で特徴的なのが、磁気でポップアップするLRトリガーボタン。本機は側面にスライドスイッチを2つ備えているが、これをスライドすると磁気によってボタンがせり上がる仕組み。
▼磁気でせり上がるLRトリガーボタン。未使用時は邪魔にならない
ただ、「未使用時は邪魔にならない」ということで収納式なのだが、スライドスイッチが出っ張っている上に、付属のケースを装着するとほとんどケース部分とフラットになるので、正直あまり意味はないように思う。いっそのことRedMagicシリーズのようにスライドスイッチを1つにし、ゲームモードに入ったらソフトウェア制御でせり上がるといったギミックが欲しかったところだ。
とはいえ、このポップアップトリガーの操作感はかなりいい。RedMagic 6シリーズはタッチ式ゆえ、ケースを装着するとくぼんだ位置にあってやや遠いように感じられるのだが、Black Shark 4は物理的に高さがあり、しっかりとしたクリック感が得られるのがとても良い。なお、クリックしたときは本体のバイブレータを使い振動させてフィードバックしているのだが、この感覚もなかなか病みつきになりそうだ。
▼やはり物理のLRトリガーボタンは使いやすい。わざわざ収納する必要性があるかと問われたら、ないが……
また、ディスプレイのリフレッシュレートは144Hzに達する点も見逃せない。RedMagic 6のような165Hzではないため最速ではないが、ゲームのほとんどが165Hz非対応であることや、実際に操作していて165Hzと144Hzの違いはあまり体感できないことを考えると十分だ。
前面カメラがパンチホールで中央にあるため、ゲームによってはUIの邪魔になることだろう。ただ、このおかげで筐体がRedMagic 6 Proなどと比べると小型で、手の小さいユーザーには逆に良いのかもしれない。実際に横持ちした際の感触も、RedMagic 6 Proなどより一回り小さい端末を手にしている印象で、OnePlus 6と似た大きさだ。
▼パンチホールの前面カメラ。本体の小型化に貢献している
ディスプレイのタッチサンプリングレートは720Hzに達し、これはRedMagic 6をも凌駕するスペック。業界最短を謳う8.3msというレイテンシで、あらゆる動きのクイックに反応してくれる。実際にゲームをプレイしてみても、遅延を感じることはなく俊敏だ。
冷却機構はベイパーチャンバーとヒートパイプの2種類を組み合わせているという。こちらも後段述べるが、発熱はRedMagic 6よりも明らかに少ない印象だった。
▼発熱が控えめなSnapdragon 870を搭載しながら、強力な冷却機構を搭載しているため熱とは無縁
また、付属の67W ACアダプタでは、わずか20分で満充電にできる。これは、バッテリを2,250mAhの2つのセルに分けているからこそ実現できたものだ。さらに最大120Wの急速充電にも対応するため、「充電を待つ」ことはまさに過去のことになりそうだ。ゲームをプレイして寝落ちして充電を忘れても、朝出かける前のわずかな時間で満充電にできそうだ。
▼付属のACアダプタは67Wだが、20分で満充電
ゲーミングらしさは控えめな筐体
パッケージはゲーミングスマートフォンらしくシャープな感じだが、内容物は至ってシンプル。このあたりは余計なゴミを出さないという意味で好感が持てる。
▼シンプルなパッケージ
▼1段目はケースや説明書など
▼その下にスマートフォン本体
筐体はゲーミングらしさを控えめにした印象だ。RedMagic 6 Proなどと比べると、ゲーミングらしさはかなり控えめである。背面は上品な仕上がりで、LEDや光るロゴといった要素は一切ない。指紋はやや付きやすいが、目立たない色となっている。
RedMagic 6やROG Phoneがザ・ド派手ゲーミングスマホなら、Black Shark 4は普通のスマホをちょっとゲーミングらしく味付けした程度のデザイン(付属ケースをつけるとややゲーミングっぽさが出るが)。これなら普段遣いのスマホとしても恥ずかしくないと思う。
▼シンプルな背面。光る要素などは一切ない
▼付属のケースをつけるとちょっとゲーミングっぽさが増す
本機は、横持ちした際に左右にスピーカーが来るレイアウトで至って合理的。スマートフォンとは思えないほどスピーカーのチャンバーが大きいらしく、音はかなり良好だ。
とはいえ、普通にゲームをするならヘッドホンをするユーザーも少なからずいるだろうが、残念ながら3.5mmステレオミニジャックやUSB Type-Cは手のひらに当たる右部分(縦持ちで下)からしか出ていない。このあたりはL字プラグなどを利用して回避するしかなさそうだ。なお、Type-Cはディスプレイ出力に対応している。
一方で充電はType-Cのみで、無接点充電などはなし。NFCやおサイフケータイといった機能もオミットされているが、用途や価格を考えれば致し方ないだろう。本体はIPX2レベルの防水機能を有しており、ちょっと雨がかかった程度でも大丈夫だ。
▼底面はUSB Type-Cと3.5mmステレオミニジャック。右側にはスピーカーの穴も
▼本体上部はスピーカー穴とマイク穴のみ
▼右側面はSIMスロットやボリュームボタン
▼左側面に電源ボタン(指紋センサー兼用)、トリガーボタンと、そのトリガーボタンを引き出すためのスライドスイッチ
本体サイズは76.3×163.8×10.3mm(横×縦×厚み、縦持ち時)、重量は210g。ずんぐりむっくりしている印象なのだが、昨今のハイエンドスマートフォンは肥大化が進む一方なので、ハイエンドとしてみれば逆にかなり小型な部類。210gという重量も手にすると思った以上に軽いのだから不思議だ(おそらくRedMagicシリーズに慣れすぎたせい)。ゲーミングスマートフォンらしからぬポータビリティを有していると言っても過言ではない。
ゲーミングなのにカメラもかなり良い
カメラはメインが4,800万画素のソニー製IMX582(IMX586の廉価版)、超広角がソニー製IMX355、マクロが500万画素のSamsung製5E9となっている。
▼センサーの構成
▼実機のカメラモジュール。横一列に並んでいる
ゲーミング向けでしかも低価格モデルということもあり、あまり期待はしていなかったが、良い意味で期待を裏切ってくれた。さすが近年カメラ機能にこだわるXiaomiだけのことはある。カメラ機能はXiaomi製端末のものを踏襲しており、かなり多機能で、不足を感じることはまずない。
発色は自然で落ち着いた印象。日中の屋外や屋内での撮影に不満を覚えることはないだろう。
▼作例。雨の日だが、色の乗りは悪くない。シャープな仕上がりだ
なお、動画は最大で4K/60fpsまで対応する。H.264のほかにH.265での記録も可能だ。ただ、最安モデルはストレージ容量が128GBしかないため、動画を多く撮り溜めておくことはできない。撮影したらクラウドに逃がすか、外付けストレージやNASに逃したほうが良いだろう。
使い勝手はMIUIを踏襲
全般的な使い勝手はXiaomiのMIUIそのものだ。もちろんBlack Sharkのイメージカラーである黒+緑のアクセントが随所取り入れられているが、それ以外の操作感やできることはMIUI12.5をベースとしているだけあって共通している。
▼MIUI12.5ベースのため、Xiaomiユーザーにはとっつきやすい
Black Sharkのオリジナル機能として「Shark Space 4.0」が実装されている。ゲーム起動を検知すると自動で有効になり、画面右上からのスワイプインでアクセスできる。設定できるのはエイムアシスト(指定場所にクロスヘアを常時表示)、着信拒否、非通知設定などで、いずれもゲームに集中するために必要な機能だ。
詳細設定では、デバイスの性能重視/バッテリ重視の切り替えや、ディスプレイのリフレッシュレートや色強化、タッチ感度などを調節できる。筆者のようなカジュアルゲーマーならあまりお世話にならなくても快適にゲームがプレイ可能であったが、上級者やゲーム大会でチャンピョンを目指すような方の細かなカスタマイズ要求にも対応できる。
なお、ゲームにはあまり関係ないが、著作権保護のWidevineはL3に留まる。このためNetflixでの動画視聴画質はSD止まりだ。ほかのゲーミングスマートフォンは軒並みL1であるため残念である。
ゲーム実行中に右上からのスワイプインでアクセスできるShark Space 4.0。細かなカスタマイズができる
Xiaomi端末のもう1つの特徴は、広範囲な画面輝度調節。本機に採用されているディスプレイはSamsung最新世代のE4 AMOLEDとされており、最大輝度1,300nit、HDR10+認証取得、DCI-P3比111%の広色域などを備えている。確かにスペック通りに美しく柔らかな表現が可能なディスプレイであるのだが、かなり輝度を抑えることが可能なのもポイントだ。
RedMagic 6 Proは部屋を暗くした状態でゲームをプレイすると、それなりに画面が発光しているのがわかるため、隣で家族が寝ていたりすると眩しく感じられることもあろうが、Black Shark 4は周囲への光の拡散をかなり抑えられるまで輝度を落とせる。それでいて画像が見にくくなることもないので、消灯して横になってから1ラウンドプレイしたいユーザーにもオススメだ。
高性能で発熱も少ない
Snapdragon 870は888よりワンランク下であるとはいえかなり高性能である。PCで言えばCore i9に対するCore i7的な位置づけだろうか。
Antutuベンチマークだと61万点クラスで、さすがにRedMagic 6 Proの82万点クラスと比較すると見劣る。中でもゲームに直結するGPUのスコアは8割程度に留まり、メモリは65%程度、様々な実処理に基づくUXは半分程度のスコアとなっている。
▼Antutu Benchmark v9.1.2の結果。スコアは60万を超えており、堂々とハイエンドクラスの性能
ところが実際の操作感としてはそこまでの差は感じられない。例えば「原神」といった高負荷なゲームは、ロード時間では大差がなく、グラフィックスの設定ですべての設定を高い設定しても、10%程度差がつくかどうか(RedMagic 6 Proがほぼ56~60fpsを維持できるが、Black Shark 4は50~56fps程度)だ。
▼原神のプレイなら60fpsでも快適。30fpsなら発熱をかなり抑えられる
その一方で発熱はかなり抑えられており、原神プレイ中の筐体温度はホットスポットでも42℃程度に留まる。ROG Phone 5だと画面側が50℃を超えて不快になることもあったが、Black Shark 4はそのようなことはまったくなかった。ガジェット好きにはSnapdragon 845端末程度の発熱、と表現すればわかりやすいかもしれない。
▼ディスプレイ側の発熱。中央から左側に偏っている
▼背面の発熱。カメラモジュール付近だ
また、バッテリもSnapdragon 888端末に比べると優秀な印象だ。RedMagic 6 ProもROG Phone 5もゲームをプレイしているとバッテリの減りが気になるが、Black Shark 4はほとんど気にならないレベル。原神のような重いタイトルでも4時間程度はプレイできそうな雰囲気である。
主張したくないゲーマーはこれでBlack Shark 4 で決まり
Black Shark 4のメリットとデメリットを挙げると以下のようになる。
メリット
- 性能は一線級。原神のような高負荷タイトルも問題なくプレイ可能
- 5万円台という衝撃的なプライス
- 物理トリガーボタンで優れた操作性
- 720Hzという驚愕的なタッチサンプリングレートで俊敏な操作に対応
- 優れた音質のスピーカー
- ゲーミングらしくない落ち着いた外観
- 発熱は控えめで快適
- バッテリ持ちはよく、なおかつ超高速充電
- 目に優しく、発色も美しいディスプレイ
- Xiaomi端末ユーザーには嬉しいMIUIベースのOS
- カメラ性能は比較的優秀
デメリット
- トリガーボタンのギミックにはやや疑問符
- ゲーミングらしい要素が控えめで、テーマ性があまりない
- USB Type-Cと3.5mmミニジャックが横持ち時に右手側に来るので邪魔
- 容量128GBモデルはやや心もとない
- 著作権保護のWidevineはL3までの対応
Black Sharkシリーズは、3まではかなり尖った背面デザインであったが、Black Shark 4は打って変わって落ち着きのあるデザインとなった。ゲーミングスマートフォンも今や選択肢が増えている今、あまりゲーマーとして目立ちたくないゲーミングスマートフォンがほしいユーザーにオススメできる。
また、純粋にSnapdragon 870を搭載したハイエンドスマートフォンがほしいというユーザーも、モトローラの「moto G100」とともに選択肢の1つとして入れてほしい。1年前のハイエンドに相当する性能のスマートフォンが5万円台で手に入るのだからなおさらである。性能・発熱・バッテリ駆動時間・サイズ・機能性のいずれをとっても、バランスが取れている機種だ。
一方で、究極の性能がほしいというユーザーにとってBlack Shark 4が力不足であることも確かではある。同シリーズにはSnapdragon 888を搭載した「Black Shark 4 Pro」というモデルがあるので、性能が必要なユーザーはそちらの日本国内での販売開始を待つ価値は十分にあるだろう。
▼Black Shark 4本体とパッケージ
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