数多くのPC関連商品を手掛けるメーカー「GEEKOM」(台湾)は、2024年に同ブランドの最新小型PCとして『GEEKOM A8』を発売した。
記事執筆時点で公式サイトおよびAmazonからの購入が可能であり、以下の2種類のモデルが用意されている。
- AMD Ryzen R7-8845HS(32GB RAM + 1TB SSD)
- AMD Ryzen R9-8945HS(32GB RAM + 2TB SSD)
今回、メーカーより本製品(AMD Ryzen™R9-8945HS / 32GB RAM / 2TB SSD 搭載モデル)を提供していただいたので、実際に使用した感想を基にレビューしていきたいと思う。
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ブランド | GEEKOM |
型名 | A8 |
OS | Windows 11 Pro (64bit) |
CPU | AMD Ryzen 9 8945HS |
グラフィック | AMD Radeon 780M |
RAM | 32GB DDR5 ※最大64GBまでの拡張に対応 |
ストレージ | 2TB M.2 PCLe 4.0 SSD |
対応通信規格 | Wi-Fi6E、Bluetooth 5.2、有線LAN |
インターフェース | ・USB 3.2 Gen2 Type-A ×3 ・USB 3.2 Gen2 Type-C ×1 ・3.5mmジャック ・USB 2.0 Type-A ×1 ・HDMI ×2 ・USB 4 Gen3 Type-C ×1 ・LANポート (RJ45) ×1 ・DC電源ポート×1 |
本体サイズ | 112.4×112.4×37 mm |
今回紹介する『GEEKOM A8』は、AI処理性能に優れた最新CPU「Ryzen R7-8845HS / Ryzen R9-8945HS」を搭載した、高性能ミニPCだ。RAMは32GB DDR5を採用。大抵の作業を快適にこなせるだけのスペック構成となっている。
▼画像認識や音声処理などのAIタスクに関して、高速かつ省電力のパフォーマンスを実現。
▼最大64GBまでのRAM拡張に対応しているほか、IceBlast1.5冷却システムを内蔵。
ストレージには1TB / 2TB M.2 PCLe 4.0を採用。大量のデータを保存できるほか、本体起動からデータ転送まで高速で行うことが可能だ。
▼優れたスペックであらゆる用途に活用可能。
通信規格は有線LANに加え、Wi-Fi 6EとBluetooth5.2に対応。
そして112.4×112.4×37 mmのコンパクトかつ軽量な筐体には充実のインターフェースが用意。USB 3.2 Gen 2 ポートおよびUSB4 Gen3ポートが搭載されており、高速データ伝送に対応している。
【搭載インターフェース】
- USB 3.2 Gen2 Type-A ×3
- USB 3.2 Gen2 Type-C ×1
- 3.5mmジャック
- USB 2.0 Type-A ×1
- HDMI ×2
- USB 4 Gen3 Type-C ×1
- LANポート (RJ45) ×1
- DC電源ポート×1
▼デスク上に設置しても場所をとらない、優れた省スペースデザイン。
グラフィック処理用にはAMD Radeon™ 780M グラフィックスを採用。ゲーム、コンテンツ作成、ストリーミング、メディア再生時のパフォーマンスが強化されている。最大4画面への同時出力に対応するほか、最大8K解像度の映像出力にも対応。
その他、IceBlast1.5冷却システムによる効率的な熱循環機構により、長時間の使用時にも内部に熱がこもりづらく、パフォーマンス低下を抑えることが可能だ。
以上の通り、手のひらサイズのコンパクトな筐体サイズに対して、実用的なスペック構成を実現したミニデスクトップPCだ。仕事からクリエイティブな作業、ゲーミング、動画視聴にいたるまで、あらゆる用途に適した最新モデルとなっている。
製品本体および付属品
▼外箱の様子
▼内容物をすべて取り出した様子。
内容物一覧は以下の通り。
【内容物一覧】
- GEEKOM A8本体
- 電源コード
- 電源アダプタ
- ユーザーマニュアル
- HDMIケーブル
- VESAマウント&ビス
▼PCをモニター裏へ取り付けるためのVESAマウント&ビスが付属。
▼電源アダプタは比較的コンパクトなサイズ。
▼付属する電源ケーブルは3Pケーブルなので、日本の一般的な家庭で使用する場合は3P⇒2P変換アダプタが必要になるだろう。
PC本体
▼PC本体の外観。シルバーを基調としたシンプルかつスタイリッシュなデザイン。
▼航空機グレードのアルミニウム合金材料を採用した筐体には金属特有の鈍い光沢が見られ、手触りもサラサラ。質感的にも高級感がある。デザイン的にはMac miniに似た印象も受ける。
▼片手に収まるほどのコンパクトさ。
▼厚みは約3.7cmと薄く、カバンなどに入れて持ち運んでも支障にならないだろう。
▼底部の様子。四隅にゴム製の滑り止めが施されているほか、マウント取り付け用の穴が空いている。
RAM拡張が可能
本製品はRAMを最大64GBまで拡張(換装)できるが、拡張スペースまで分解していくのがそこそこ大変だ。
まず、底面の4箇所のゴム足を手で外す。
▼結構な力を入れないと外れない。
続いて、その下にあるネジをドライバーで外していく。
そして最後に、内部金属プレートの四隅のネジをドライバーで取り外す。
この時注意したいのが、Wi-Fi アンテナが底部のプラスチックカバーと金属カバーにテープで固定され、配線がWiFiカードまで伸びているため、金属カバーを外す際に気を付けないと高確率で抜けてしまう。RAMの拡張時には注意した方が良いだろう。
▼内部の様子
インターフェース構成
続いて本体インターフェースについて紹介していく。
▼本体正面。画像左側からUSB 3.2 Gen 2 Type-Aポート×2、3.5mmオーディオジャック、電源ボタンが搭載。
▼右側面の様子。
▼左側面にはSDカードリーダーが用意。
▼背面の様子。DC電源ポート、USB4 Gen3 Type-Cポート、RJ45 LANポート、USB3.2 Gen2 Type-Aポート、USB2.0ポート、USB3.2 Gen2 Type-Cポート、HDMI2.0ポート×2が用意。
以上の通り、限られたスペースに必要なポート類が集約されたインターフェース構成となっている。
USB 3.2 Gen 2 ポートおよびUSB4 Gen3ポートが複数搭載されており、高速データ伝送に対応している点が魅力的だ。
2つのHDMIポートと、2つのUSB4ポートを用いた4画面同時出力が可能。LANケーブルによる安定した有線接続が可能な点も嬉しい。
SDカードスロットも搭載されているなど、一般的なサイズのデスクトップと遜色ない利便性を実現していると言える。
一般的な作業は問題なくこなせる性能
本製品をいくつかの用途で実際に使用して、パフォーマンスを確認してみた。
▼サイズが非常にコンパクトなため、どのような場所に設置しても邪魔にならない。
▼実際に接続した様子。マウスやキーボードなどはBluetooth対応機種を使うことで、設置周りがスッキリする。
▼マウスと並べてみると、筐体のコンパクトさが際立つ。
今回のレビュー時には3440×1440解像度のウルトラワイドモニターに接続して利用した。
▼映像出力情報。3440×1440・100fpsで快適に動作する。
▼2TBモデルのストレージでは、デフォルトの状態で1.81TB分が使用可能領域となっていた。
▼デバイスの仕様表
▼CrystalDiskMarkでのテスト結果。
▼Windowsエクスペリエンスインデックスの測定結果。
まずは実際にいくつかのウェブサイトを閲覧し、動作を確認した。
画像の多いサイトから、Javascriptを多用した処理の重いサイトまで閲覧してみたが、いずれの場合においても、快適に閲覧することが可能であった。
▼ウルトラワイドモニターでスムーズなウェブブラウジングが可能。ページ読み込みからスクロールまでいたって快適だ。
▼高解像度出力で、細かな文字まで明瞭に描画される。
また、YouTubeやネットフリックスといったサイトにおいて動画を視聴してみた。
動画サイトにおいても、カクつくことなくスムーズに再生された。
▼高画質設定(4K)でもスムーズに動作を再生できる。
▼美しく滑らかな映像視聴を楽しむことが可能だ。
また、エクセルやワードなど、Officeソフトを用いた作業を行ってみた。
作業用ソフトの動作も問題なく快適に行うことができており、スムーズな表計算・文字入力等が可能であった。
▼同時に複数ウィンドウを開いた状態での作業も問題なし。
以上の通り、デスクトップPCとしての一般的な用途(ウェブサイト閲覧・動画視聴・作業用ソフト使用)は概ね快適にこなせるだけの性能だと確認できた。
リモートワークやオンライン授業用にPC購入を検討している方にも、十分に満足度の高いパフォーマンスを提供するだろう。
ゲーミング性能について確認
続いて、ゲーミング性能についても確認してみた。
今回は試しに『ファイナルファンタジー14』のベンチマークテストを実施した。
テスト条件①
- 1920×1080解像度
- 標準品質(デスクトップPC)
- ウィンドウモード
- DirectX 11
上記の条件でベンチマークテストを行った結果、スコア5,762点、評価は "普通" であった。
標準品質であれば、FF14クラスの大規模MMOMRPGでも、そこそこスムーズなパフォーマンスで遊ぶことが可能となっている。
続いて、描画設定を上げて再テストしてみた。
テスト条件②
- 1920×1080解像度
- 高品質(デスクトップPC)
- ウィンドウモード
- DirectX 11
上記の条件でベンチマークテストを行った結果、スコア3,239点、評価は "設定変更を推奨" であった。
さすがに高品質まで設定を上げると、プレイにはあまり適さないという結果に。
それでも、本製品では設定次第でFF14クラスのPCゲームでも普通に遊べることが確認できた。
ちなみに、マインクラフト(PC・Java版)もプレイしてみたが、その場合も常時40fps~60fps以上で快適に遊ぶことが出来た。
仕事やクリエイティブ作業、そして軽めのゲーミングにも利用できる高性能なミニPCとなっている。
優れた放熱性能
レビュー時には本製品を4時間ほど連続使用したが、PC本体からの発熱はかなり抑えてられており、高負荷で連続利用した場合も背面からやや暖かい廃熱を感じる程度であった。
▼筐体自体はほどんど熱を持たない。
▼背面からわずかに温かい熱を感じる程度。
▼2時間ほど高負荷状態でPCを稼働させ続けた際の内部温度(CPUID HWMonitorによる測定値)。最高温度で80℃を超えることもあったが、基本的に40℃~50℃の範囲で安定していた。
また、PC本体からの動作音も基本的に静かであり、耳を近づけると多少のファン回転音が聞こえる程度であった。
▼耳を近づけると、小さな "フォーン" という回転音が聞こえる程度。ただ、高負荷な作業を行っている間はさすがにファンの回転音がそこそこ大きくなる。
このように優れた排熱性能を実現しており、長時間の利用にも安心だ。
ただし、内部熱がこもるとパフォーマンス低下や故障に繋がる可能性があるため、設置場所は通気性の良い場所を選ぶと良いだろう。
『GEEKOM A8』のまとめ
今回紹介した『GEEKOM A8』について、特長をまとめると以下の通りだ。
良かった点
- コンパクトで軽量な筐体サイズ
- スタイリッシュでオシャレなデザイン
- 充実したインターフェース構成
- USB 3.2 Gen 2 ポートおよびUSB 4 Gen3 ポートを搭載
- 大抵の作業をスムーズにこなせる性能
- PCゲームも設定次第でそこそこ快適にプレイ可能
- 最大4画面同時出力に対応
- 優れた静音性と放熱性能
悪かった点
- 付属コンセントが3P形状(2P変換アダプタが必要)
以上の通り、手のひらサイズのコンパクトな筐体に対して、実用的な性能を発揮する小型デスクトップPCとなっている。
ウェブサイト閲覧や動画視聴はもちろん、作業用ソフトを用いた仕事にも問題なく活用できるだろう。4K・100fpsの美しく滑らかな描画でスムーズな動作が可能であった。ゲーミングに関しても、設定さえ調整すればFF14クラスのタイトルでも比較的スムーズにプレイすることも出来る性能を実現している。
本体のインターフェースも充実しており、多くのデバイスを同時接続できるため実用的な構成であると言える。特にUSB 3.2 Gen 2 ポートおよびUSB4 Gen3ポートが搭載されており、高速伝送が可能な点も実用的だ。
VESAマウント&ビスが付属しており、購入後すぐにモニター裏への取り付けが可能な点は嬉しい。
そして何より、見た目が非常にスタイリッシュで、材質や手触り的にも高級感があるため、満足度の高い所有感のあるモデルとなっている。
一方で、拡張ポートへアクセスしづらい(蓋が取り外しづらい)点や、RAM拡張時にWiFiカードのアンテナケーブルが高確率で外れてしまう点には注意が必要だ。
何はともあれ、コンパクトなサイズで実用的な性能を備えたミニPCを求めている方には、ぜひオススメしたい一品だ。
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