数多くのPC関連商品を手掛けるメーカー「GMKtec」(中国)は、2024年5月に同ブランドの最新小型PCとして『Nucbox K9』をリリースした。
最新CPUである「Intel Core Ultra 5 125H」を搭載した初のミニPCであり、ウェブサイト閲覧や動画視聴、AI処理にも特化、仕事用ソフトウェアの使用はもちろん、軽めのゲーミングまで幅広い用途に活用できる高性能モデルとなっている。
今回、メーカーより本製品(32GB + 1TBモデル)を提供していただいたので、実際に使用した感想を基にレビューしていきたいと思う。
ブランド | GMKtec |
型名 | Nucbox K9 |
OS | Windows 11 Pro (64bit) |
CPU | Intel Core Ultra 125H |
GPU | Intel Arc Graphics (2.2 GHz) 8 Xe Cores 112EU Graphics Card |
RAM | 32GB DDR5 ※最大96GBまでの拡張に対応 |
ストレージ | 1TB M.2280 PCIe 4.0 SSD ※最大4TBまでの増設に対応 |
対応通信規格 | WiFi 6 (2.4GHz/5.0GHz), Bluetooth 5.2, RJ45有線LAN(2500Mbps) |
インターフェース | ・USB 3.2(Gen2) ×2 ・USB 3.2 ×2 ・HDMI 2.0 ・DP(ディスプレイポート) ・Type-C (USB4.0, 4K@60Hz) ・3.5mmジャック ・LANポート (RJ45) ×2 |
本体サイズ | 12.7 × 12.9 × 4.8 cm |
本体重量 | 約520g |
今回紹介する「Nucbox K9」は、Windows11 Pro搭載の小型デスクトップパソコンだ。
12.7 × 12.9 × 4.8 cm、約520gという非常にコンパクトな筐体サイズとなっており、付属のVESAマウント&ビスを利用して、モニター裏への取り付けも可能。省スペースで設置場所を取らない点がGOOD。
コンパクトな筐体には充実のインターフェースが用意。USB 3.2 Gen2ポートに加えUSB4.0ポートも用意されており、高速データ伝送が可能となっている。
【インターフェース構成】
- USB 3.2(Gen2) ×2
- USB 3.2 ×2
- HDMI 2.0
- DP(ディスプレイポート)
- Type-C (USB4.0, 4K@60Hz)
- 3.5mmジャック
- LANポート (RJ45) ×2
▼HDMIポート、ディスプレイポート(DP)、USB4.0ポートを利用した3画面同時出力にも対応。
CPUには最新の「Intel Core Ultra 5 125H」を採用。RAMは32GB搭載しており、大抵の作業を快適にこなせるだけの性能を備えている。ストレージは1TB SSDを用意しており、大量のデータを保存可能。
▼AIエンジンを搭載した業界初のIntelプロセッサー。
なお、RAMは最大96GBまで、ストレージは最大4TBまでの拡張に対応。拡張性に優れている点も本製品の利点の一つだ。
内部には静音性に優れた冷却ファンを内蔵。長時間利用しても内部に熱がこもりづらく、パフォーマンスへの影響を最小限に抑えることが出来るようになっている。
製品本体および付属品
▼外箱の様子
▼内容物をすべて取り出した様子。
内容物一覧は以下の通り。
【内容物一覧】
- Nucbox K9本体
- 電源アダプタ
- 電源ケーブル
- HDMIケーブル
- ユーザーマニュアル
- ワランティカード
- VESAマウント&ビス
▼ユーザーマニュアルは日本語にも対応。
▼電源アダプタはサイズが大きく、やや場所をとる。
▼付属のVESAマウント&ビスを利用することで、モニター裏への取り付けも可能。
PC本体の外観
PC本体は12.7 × 12.9 × 4.8 cmと実にコンパクトなサイズに収まっており、見た目的にもスタイリッシュでそこそこの高級感がある。
▼本体重量は約520gと非常に軽い。カバンなどに入れて外出先へ持ち運ぶ用途にも適しているだろう。
▼底部の様子。四隅にゴム製の滑り止めが施されているほか、VESAマウント取り付け用の穴も用意されている。
インターフェース構成
インターフェース構成について紹介していく。
▼正面の様子。電源ボタン、3.5mmオーディオジャック、USB4.0(Type-C)ポート、USB 3.2 Gen2ポート ×2 が用意。
▼両側面には通気孔が空いている。
▼背面の様子。USB 3.2 ポート×2、ディスプレイポート(DP)、HDMIポート、LANポート (RJ45) ×2、DC電源ポート、盗難防止用ロック穴が用意。
このように、手のひらサイズのコンパクトな筐体に、一般的なデスクトップPCに負けず劣らずの充実したインターフェースが用意されている。
USB 3.2 Gen2ポートに加えUSB4.0ポートも用意されており、高速データ伝送が可能となっている。
また、HDMIポート、ディスプレイポート(DP)、USB4.0ポートを利用した3画面同時出力にも対応。メインPCとしても十分利用できるほどの利便性の高さを実現している。
拡張性に優れた設計
PC上部のフタを取り外すことで、RAM&ストレージ拡張用のポートが現れる。
▼上蓋は素手で取り外しが可能。
▼中のカバーはドライバーでビスを取り外す必要がある。
▼内部の様子。
RAMは最大96GBまで、ストレージは最大4TBまでの拡張に対応している。拡張性に優れている点も本製品の利点の一つだ。
非常にコンパクトで置き場所に困らない
実際に本製品をモニターと接続して使用してみた。
▼3440×1440解像度のウルトラワイドモニターに接続。
PC本体のサイズがとにかくコンパクトなため、スペースに制限のある狭いデスク上にも問題なく設置できる。
▼マウスやキーボードはBluetooth・無線対応デバイスを接続することで、デスク上がスッキリする。
▼マウスと並べると、PCの小ささが際立つ。
デスクトップPCを購入したいが、設置場所に困っている方にとって、本製品はまさにうってつけの選択肢だろう。
大抵の作業を快適にこなせる性能
実際に様々な作業を行って、PC性能を確認してみた。
▼バージョン情報。
▼ディスプレイ出力情報。
▼1TBストレージモデルでは、952GB分が使用可能領域として割り当てられていた。
▼CrystalMark Retroによる計測結果。
▼Windowsエクスペリエンスのスコア。
まずは実際にいくつかのウェブサイトを閲覧し、動作を確認した。
画像の多いサイトから、Javascriptを多用した処理の重いサイトまで閲覧してみたが、いずれの場合においても、快適に閲覧することが可能であった。
▼ウルトラワイドモニターでスムーズなウェブブラウジングが可能。ページ読み込みからスクロールまでいたって快適だ。
また、YouTubeやネットフリックスといったサイトにおいて動画を視聴してみた。
動画サイトにおいても、カクつくことなくスムーズに再生された。
▼高画質設定(4K)でもスムーズに動作を再生できる。
▼高リフレッシュレートで安定した描画が可能なため、美しく滑らかな映像視聴を楽しむことが可能だ。
また、エクセルやワードなど、Officeソフトを用いた作業を行ってみた。
Officeソフトなど作業用ツールに関しても問題なく快適に使用することができており、スムーズな表計算・文字入力等が可能であった。
▼同時に複数ウィンドウを開いた状態での作業も問題なし。
以上の通り、デスクトップPCとしての一般的な用途(ウェブサイト閲覧・動画視聴・作業用ソフト使用)は概ね快適にこなせるだけの性能だと確認できた。
リモートワークやオンライン授業用にメインPCの購入を検討している方にも、十分に満足度の高いパフォーマンスを提供するだろう。
ゲーミング性能について確認
続いて、ゲーミング性能についても確認してみた。
今回は試しに『ファイナルファンタジー14』のベンチマークテストを実施した。
テスト条件①
- 1920×1080解像度
- 標準品質(デスクトップPC)
- ウィンドウモード
- DirectX 11
上記の条件でベンチマークテストを行った結果、スコア6,782点、評価は "やや快適" であった。
標準品質であれば、FF14クラスのMMORPGでも、そこそこ快適なパフォーマンスで遊べることが確認できた。
続いて、少し条件を上げて再テストしてみた。
テスト条件②
- 1920×1080解像度
- 高品質(デスクトップPC)
- ウィンドウモード
- DirectX 11
上記の条件でベンチマークテストを行った結果、スコア4,324点、評価は "普通" であった。
高品質に変更した場合でも、最低限のパフォーマンスでFF14を楽しめるという結果に。
以上の通り、FF14クラスの大規模オンラインゲームでも、設定次第ではそこそこスムーズに楽しめることが分かった。
他にもJava版Minecraftなどをプレイしてみたが、30~40fps前後で安定して遊ぶことが可能であった。
ゲーミング用PCとしての運用は難しいかもしれないが、ちょっとした息抜きに軽めのゲームを楽しむ用途には向いているだろう。
優れた放熱性能
レビュー時には本製品を4時間ほど連続使用したが、PC本体からの発熱はかなり抑えてられており、高負荷で連続利用した場合も背面からやや暖かい廃熱を感じる程度であった。
▼筐体自体はほどんど熱を持たない。
▼背面からわずかに温かい熱を感じる程度。
熱によるパフォーマンスへの悪影響もほとんど体感できなかった。
▼HWMonitorの計測結果。高負荷で4時間ほど連続使用した場合でも、70度を超えることは無かった。
このように、実に優れた廃熱機能を備えているため、長時間安心して利用できるPCとなっている。
ただ、これはあくまで電源パフォーマンスを「バランスモード」に設定した状態での結果であり、「パフォーマンスモード」に切り替えると、さすがに内部ファンの回転音がかなり大きくなり、内部温度も90度近くになることもあった。
▼電源モードを高負荷に切り替えると、ファンの回転音がかなり大きくなる。
もし高負荷設定で本製品を長時間利用する場合は、できるだけ熱がこもりづらく、風通しの良い場所に設置することをオススメしたい。
『Nucbox K9』のまとめ
今回紹介した『Nucbox K9』について、特長をまとめると以下の通りだ。
良かった点
- コンパクトで軽量な筐体サイズ
- 充実したインターフェース構成
- 最新CPU「Intel Core Ultra 5 125H」による優れたパフォーマンス
- 3画面同時出力に対応
- 置き場所に困らない
- 拡張性に優れた設計
- 一般的な作業はスムーズにこなせる性能
- USB3.2 Gen2ポート&USB4.0ポートが用意
- 優れた放熱性能
悪かった点
- 電源アダプタが大きめ
以上の通り、普段利用から仕事利用、ゲーミングまで、幅広い用途に活用できる高性能ミニデスクトップPCとなっている。
最新CPU「Intel Core Ultra 5 125H」による優れたパフォーマンスによって、ウェブサイト閲覧や動画視聴はもちろん、作業用ソフトウェアも快適に利用できる。設定したいではFF14クラスの大規模オンラインゲームでもそこそこスムーズに楽しむことが可能だ。
筐体の前後に非常に充実したインターフェースを搭載。最大3画面同時出力にも対応しており、一般的なデスクトップPCと比べても遜色ない利便性の高さを実現している。
放熱性能も優れており、よほどヘビーに負荷をかけなければ、長時間利用し続けても全く問題は無かった。
そして拡張性にも優れており、必要に応じて96GB RAM、4TB SSDまでの増設が可能。
価格こそやや高めだが、それだけの価値のあるパフォーマンスを実現したミニPCとなっている。
実用的な性能のデスクトップPCが欲しいが、設置場所の余裕が無くて困っている方々には、ぜひオススメしたい一品だ。
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