数多くのPC関連商品を手掛けるメーカー「GMKtec」(中国)は、Ryzen 7 PRO 6850H搭載、Oculinkポートを採用した高性能ミニPC『GMKtec Nucbox M7』を販売している。
『GMKtec Nucbox M7 Pro』の下位モデルであり、CPUに「AMD Ryzen 7 PRO 6850H プロセッサー」を、グラフィック処理用に「AMD Radeon 680M」を用意した小型デスクトップパソコンだ。仕事用ソフトウェアの使用はもちろん、動画視聴から軽めのゲーミングまで幅広い用途に活用できる高性能モデルとなっている。
今回、メーカーより本製品(16GB + 512GBモデル)を提供していただいたので、実際に使用した感想を基にレビューしていきたいと思う。
ブランド | GMKtec |
型名 | GMKtec Nucbox M7 |
OS | Windows 11 Pro (64bit) |
CPU | AMD Ryzen 7 PRO 6850H |
GPU | AMD Radeon 680M |
RAM | 16GB DDR5 4800MT/s ※最大64GBまでの拡張に対応 |
ストレージ | 512GB PCle 3.0 M.2 2280 SSD ※最大4TBまでの増設に対応 |
対応通信規格 | WiFi 6 (2.4GHz/5.0GHz), Bluetooth 5.2, RJ45有線LAN(2500Mbps) |
インターフェース | 【正面】 ・Oculink PCIE4.0x4 ・USB Type-C 4.0(PD/DP/DATA) ・USB Type-A 3.2(Gen2)×2 ・3.5mmジャック ・電源ボタン 【背面】 ・USB Type-A 2.0×2 ・HDMI 2.1(8K@60Hz) ・DisplayPort 2.0(4K@60Hz) ・RJ45 2,5G LANポート ・USB Type-C 4.0(PD/DP/DATA) ・DC電源ポート ・ケンジントンロック穴 |
本体サイズ | 123×112×43.2mm |
本体重量 | 約636g |
今回紹介する「Nucbox Nucbox M7」は、Windows11 Pro搭載の小型デスクトップパソコンだ。
CPUに「AMD Ryzen 7 PRO 6850H プロセッサー」を、グラフィック処理用に「AMD Radeon 680M」を用意した小型デスクトップパソコンであり、仕事用ソフトウェアの使用はもちろん、動画視聴から軽めのゲーミングまで幅広い用途に活用できる高性能モデルとなっている。
▼2016年にリリースされた、デスクトップPC用のグラボ「GeForce GTX 1050 Ti」に匹敵する「AMD Radeon 680M」を搭載。ゲーミングにおいても優れたパフォーマンスを発揮する。
123×112×43.2mm、約636gという非常にコンパクトな筐体サイズとなっており、付属のVESAマウント&ビスを利用して、モニター裏への取り付けも可能。省スペースで設置場所を取らない点がGOOD。
コンパクトな筐体には充実のインターフェースが用意。USB 3.2 Gen2ポートに加えUSB4.0ポートも用意されており、高速データ伝送が可能となっている。
【正面】
- Oculink PCIE4.0x4
- USB Type-C 4.0(PD/DP/DATA)
- USB Type-A 3.2(Gen2)×2
- 3.5mmジャック
- 電源ボタン
【背面】
- USB Type-A 2.0×2
- HDMI 2.1(8K@60Hz)
- DisplayPort 2.0(4K@60Hz)
- RJ45 2,5G LANポート
- USB Type-C 4.0(PD/DP/DATA)
- DC電源ポート
- ケンジントンロック穴
中でも、前面にOculinkポートが用意されている点は注目したい。外部の高速ストレージデバイス(SSDなど)を接続したり、外部GPU(グラフィックカード)を接続してグラフィック処理性能を向上させ、ヘビーなゲーミングにも利用できるようになる。
そしてHDMI 2.1ポートを利用した最高8K解像度出力に対応。HDMI + USB4.0×2 + DP2.0を使用した、最大4画面同時出力も可能だ。
ストレージは512GB PCle 3.0 M.2 2280 SSDを、RAMには16GB DDR5(4800MT/s)を搭載しており、大量のデータを保存できるほか、本体起動からデータ転送まで高速で行うことが可能だ。
なお、ストレージは最大4TBまで、RAMは最大64GBまでの拡張が可能。拡張性に優れた設計となっている。
通信規格は有線LANに加え、Wi-Fi 6とBluetooth5.2に対応。
筐体内部にはデュアルファンシステムが装備されており、優れた冷却能力でミニPCのパフォーマンスを維持できる。
製品本体および付属品
▼外箱の様子
▼内容物をすべて取り出した様子。
内容物一覧は以下の通り。
【内容物一覧】
- ミニPC本体
- 電源アダプタ
- 電源ケーブル
- HDMIケーブル
- ユーザーマニュアル
- VESAマウント&ネジ一式
▼ユーザーマニュアルは日本語にも対応している。
▼付属のVESAマウント&ネジを使用して、モニター背面に取り付けることが可能。
▼電源アダプタは結構大きめなサイズ。
GMKtec Nucbox M7本体
▼PC本体の外観。ブラックを基調としたシンプルかつスタイリッシュなデザイン。
▼真上から見ると、天板の奥に大きめのファンが透けて見える。
▼本体サイズは123×112×43.2mm、重量は約636gとコンパクトかつ軽量。片手に収まるほどの大きさ。
▼厚みは43.2mm。カバンなどに入れて持ち運んでも支障にならないだろう。
▼底部の様子。四隅にゴム製の滑り止めが施されているほか、マウント取り付け用の穴が空いている。
RAM&ストレージ拡張が可能
本製品はストレージ容量を最大4TBまで、RAMは最大64GBまで拡張できる。
PC内部を見るための手順は、以下の通り。
まず、PC上部の天板を反時計回りに回して、天板を取り外す。
続いて、四隅のネジをドライバーで取り外す。
▼内部の熱を逃がすために、大型のファンが搭載されている。
▼PC内部の様子
拡張性に優れている点も、本製品の大きなメリットの一つと言えるだろう。
インターフェース構成
続いて本体インターフェースについて紹介していく。
▼本体正面。Oculink PCIE4.0x4、USB Type-C 4.0(PD/DP/DATA)、USB Type-A 3.2(Gen2)×2、3.5mmジャック、電源ボタンが用意。
▼左右側面には換気用の穴が空いている。
▼背面の様子。USB Type-A 2.0×2、HDMI 2.1(8K@60Hz)、DisplayPort 2.0(4K@60Hz)、RJ45 2,5G LANポート、USB Type-C 4.0(PD/DP/DATA)、DC電源ポート、ケンジントンロック穴が用意。
以上の通り、限られたスペースに必要なポート類が集約されたインターフェース構成となっている。
フル機能のUSB Type-C 4.0ポート、およびUSB Type-A 3.2(Gen2)が用意されており、高速データ伝送に対応している点が魅力的だ。
また、HDMI + USB4.0×2 + DP2.0の4つのポートを併用することで、最大4画面同時出力を行うことが可能だ。
そして前面に用意されたOculinkポートを利用することで、外部の高速ストレージデバイス(SSDなど)を接続したり、外部GPU(グラフィックカード)を接続してグラフィック処理性能を向上させ、ヘビーなゲーミングにも利用できるようになる。
汎用性・応用性の高さも、本製品の大きな魅力の一つだ。
コンパクトで場所を取らない筐体サイズ
本製品はサイズがコンパクトなため、どのような場所に設置しても邪魔にならない。
▼実際に接続した様子。マウスやキーボードなどはBluetooth対応機種を使うことで、設置周りがスッキリする。
▼マウスと並べてみると、筐体のコンパクトさが際立つ。
付属のVESAマウント&ネジを利用してモニター裏に取り付ければ、デスク上のスペースをより節約できるだろう。
今回のレビュー時には3440×1440解像度のウルトラワイドモニターに接続して利用した。なお、電源設定は "バランス" を選択している。
▼映像出力情報。3440×1440・100Hzで快適に動作する。
▼512GBモデルのストレージでは、デフォルトの状態で475GB分が使用可能領域となっていた。
▼デバイスの仕様表
各種ベンチマークテスト結果
各種ベンチマークテストを実施した結果について紹介する。
PCMARK10(無料版)のテスト結果
PCMARK10(無料版)のスコアは6,650点で、一般的なPC作業(文書作成・ウェブブラウジング・作業用アプリ使用)から軽めのゲーミングまで、幅広い用途に対応できる性能だと言える。
CrystalDiskMarkのテスト結果
CrystalDiskMarkでのテスト結果は以下の通り。流石はM.2 SSDを搭載していることもあり、シーケンシャル性能は、非常に高速な部類だ。OSの動作やソフトウェアの起動、一般的な作業においてもスムーズな動作を期待できる。
Windowsエクスペリエンスインデックスの測定結果
Windowsエクスペリエンスインデックスの測定結果は以下の通り。全体的にスコアが高く、特にグラフィックス処理性能に関しても、ミニPCにもかかわらず8.2点とそこそこ優れたスコアを記録できていた。
一般的なPC作業は問題なくこなせる性能
まずは実際にいくつかのウェブサイトを閲覧し、動作を確認した。
画像の多いサイトから、Javascriptを多用した処理の重いサイトまで閲覧してみたが、いずれの場合においても、快適に閲覧することが可能であった。
▼ウルトラワイドモニターでスムーズなウェブブラウジングが可能。ページ読み込みからスクロールまでいたって快適だ。高解像度出力で、細かな文字まで明瞭に描画される。
また、YouTubeやネットフリックスといったサイトにおいて動画を視聴してみた。
動画サイトにおいても、カクつくことなくスムーズに再生された。
▼高画質設定(4K)でもスムーズに動作を再生できる。
▼高解像度・高リフレッシュレートの美しく滑らかな映像視聴を楽しむことが可能だ。
また、エクセルやワードなど、Officeソフトを用いた作業を行ってみた。
作業用ソフトの動作も問題なく快適に行うことができており、スムーズな表計算・文字入力等が可能であった。
▼同時に複数ウィンドウを開いた状態でのマルチタスクも問題なし。
以上の通り、デスクトップPCとしての一般的な用途(ウェブサイト閲覧・動画視聴・作業用ソフト使用)を快適にこなせる性能だと確認できた。
リモートワークやオンライン授業用にPC購入を検討している方にも、満足度の高いパフォーマンスを提供するだろう。
ゲーミング性能について確認
ゲーミング性能についても確認してみた。
ドラゴンクエスト10のベンチマークテスト
実際にゲーミング性能を確認すべく、まずは「ドラゴンクエスト10(DQ10)」のベンチマークテストを実施した。
テスト条件
- 1920×1080解像度
- 最高品質
- フルスクリーン
グラフィックス設定を "最高品質" にしたにもかかわらず、12,327点という高スコアを記録。評価は "すごく快適" という結果となった。
ドラクエ10レベルのMMORPGであれば、いたって快適なパフォーマンスで遊べることが確認できた。
ファイナルファンタジー14のベンチマークテスト
続いて、『ファイナルファンタジー14(FF14)』のベンチマークテストを実施した。
テスト条件①
- 1920×1080解像度
- 標準品質(デスクトップPC)
- ウィンドウモード
上記の条件でベンチマークテストを行った結果、スコア5,251点、評価は "普通" であった。
標準品質であれば、FF14クラスのMMORPGでもそこそこスムーズに遊べるという結果に。
続いて、品質をやや上げて再テストを行ってみた。
テスト条件②
- 1920×1080解像度
- 高品質(デスクトップPC)
- ウィンドウモード
上記の条件でベンチマークテストを行った結果、スコア3,723点、評価は "設定変更を推奨" であった。
さすがに高品質まで設定を上げると、プレイするにはキツイという結果になった。
それでも、DQ10クラスの負荷の軽めなMMOであれば、GMKtec Nucbox M72でも設定次第では遊べることが確認できた。
仕事やクリエイティブ作業、そして軽めのゲーミングにも利用できる高性能なミニPCとなっている。
優れた静音性と放熱性能
レビュー時には本製品を5時間ほど連続使用したが、PC本体からの発熱はかなり抑えてられており、高負荷で連続利用した場合も背面からやや暖かい廃熱を感じる程度であった。
▼筐体自体はほどんど熱を持たない。
▼後部排気口からわずかに温かい熱を感じる程度。
▼5時間ほど高負荷状態でPCを稼働させ続けた際の内部温度(CPUID HWMonitorによる測定値)。度重なるベンチマークテストなどで負荷をかけたにもかかわらず、内部温度が50℃を超えることはなかった。
さすがはデュアルファンシステムを内蔵していることもあり、非常に優れた冷却能力を実現している。
そしてこれだけの冷却力を実現しているにもかかわらず、動作音は終始静かな状態を維持していた。
▼5時間連続使用時のPC稼働音の確認。
上動画を確認しても、PC本体からはファンの回転音や稼働音がほとんど聞こえてこないことが確認できる。
実に優秀な静音性と冷却能力を備えたミニPCとなっている。安心して長時間利用できるだろう。
『GMKtec Nucbox M7』のまとめ
今回紹介した『GMKtec Nucbox M7』について、特徴をまとめると以下の通りだ。
良かった点
- コンパクトで軽量な筐体サイズ
- 充実したインターフェース構成
- 「AMD Ryzen 7 PRO 6850H プロセッサー」による優れたパフォーマンス
- 「AMD Radeon 680M」による優れた映像処理能力
- 最大4画面同時出力に対応
- 置き場所に困らない
- 拡張性に優れた設計
- Oculinkポートを搭載
- 一般的な作業はスムーズにこなせる性能
- DQ10レベルのMMORPGも遊べる
- USB3.2 Gen2ポート&USB4.0ポートが用意
- 優れた放熱性能&静音性
悪かった点
- 電源アダプタが大きめ
- 天板に付着した指紋や手脂が目立ちやすい
以上の通り、6万円前後の比較的リーズナブルな価格に対して、実用的な性能とコンパクトサイズを実現した、高コスパなミニデスクトップPCとなっている。
ウェブサイト閲覧や動画視聴はもちろん、作業用ソフトを用いた仕事にも問題なく活用できるだろう。高解像・高リフレッシュレートの美しく滑らかな描画でスムーズな動作が可能であった。ゲーミングに関しても、設定次第では軽めのMMORPGが遊べる性能を実現している。
本体のインターフェースも充実しており、多くのデバイスを同時接続できるため実用的な構成であると言える。特にUSB3.2 Gen2ポート&USB4.0ポートが搭載されており、高速伝送が可能な点も実用的だ。
また、Oculinkポートを搭載しているため、外部グラボに接続すれば、一般的なデスクトップPCに比肩するゲーミング能力を実現できるだろう。
VESAマウント&ネジが付属しており、購入後すぐにモニター裏への取り付けが可能な点も嬉しい。
そして何より、実に優秀な静音性と冷却能力を備えているおかげで、安心して長時間利用できる。
コンパクトなサイズで性能の優れたミニPCを求めている方には、ぜひオススメしたい一品だ。
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