最近では、スマホやタブレット端末でゲームを楽しむ人々が増えてきた。
スマホやタブレットなどのモバイル端末では、主に仮想コントローラ(タッチ画面上に表示されるボタン類)で操作することが一般的である。
しかし、仮想コントローラでは複雑な操作を要求されるゲームが遊びづらく、またディスプレイも指紋だらけになって汚れてしまう等の問題がある。
そのため、出来れば外付けコントローラでゲームアプリを遊びたいと考えている方も多いのではないだろうか。
そこで今回は、外付けのコントローラモジュールを着脱することにより、スマホ・携帯ゲーム機の2通りの利用方法が可能なAndroid端末『GPD XP』について紹介したいと思う。
スマホ・携帯ゲーム機の両用が可能なAndroid端末
今回紹介する『GPD XP』は、外付けコントローラモジュールを着脱することで、スマホ・携帯ゲーム機の両用が可能なAndroidデバイスだ。
▼Android11搭載
ブランド | TENKU |
製品名 | GPD XP |
ディスプレイサイズ | 6.81インチIPSスクリーン |
解像度 | 1080 x 2400 |
リフレッシュレート | 60Hz |
OS | Android 11 |
CPU | MediaTek Helio G95, octa core (2 x ARM Cortex-A76 @2050MHz, 6 x ARM Cortex-A55 @2000MHz) |
RAM | 6GB LPDDR4x |
ストレージ | 128GB |
SIMカード | 対応 |
マイクロSDカード | 対応(最大2TBまで) |
対応通信規格 | Wi-Fi(2.4G/5G dual-band, lEEE 802.11a/b/g/n/ac) Bluetooth GPS |
搭載カメラ | フロントカメラ:5メガピクセル |
本体重量 | 約370g |
OSにはAndroid11を搭載。また各種エミュレータも搭載しているため、レトロゲームを遊ぶことも出来る。
6.81インチディスプレイは1080×2400解像度、60Hzリフレッシュレートに対応しており、滑らかで美しい映像を楽しむことが可能だ。
CPUには『MediaTek Helio G95 オクタコアプロセッサー』を採用。RAM(メモリ)は6GBを搭載しており、大抵のゲームを快適に遊ぶことのできるパフォーマンスを実現する。
▼急速充電に対応した7,000mAhの大容量バッテリーを内蔵しており、外出先でも長時間の利用が可能。
▼内部には大型の冷却ファンや、デュアルスピーカーを内蔵。充実した構成となっている。
本体ストレージは128GBを擁しているほか、マイクロSDカードを挿入することで最大2TBまでの拡張が可能だ。
通信規格はWi-Fi, Bluetooth, GPSに加えて、SIMカードの挿入でLTE通信にも対応している。
▼外出先で4G通信を楽しめる。ただし通話には非対応な点に注意。
背面カメラは非搭載なものの、前面には5メガピクセルのフロントカメラを内蔵している。
そして本製品最大の特徴として、付属する2種類のコントローラモジュールを装着することで、携帯ゲーム機のような利用が可能になる点が挙げられる。
▼ゲームに応じて最適な操作環境を提供する。
また、専用の "キーマッピングツール" を搭載。これにより、通常は外付けコントローラに非対応なゲームアプリでも、コントローラモジュールの操作に対応させることが可能だ。
▼仮想コントローラにコントローラモジュールの各ボタンを対応させることが出来る。
このように、外出先でスマホゲームを本格的に遊びたい場合には、まさにうってつけの2-in-1端末となっている。
製品本体および付属品
▼外箱の様子
▼内容物をすべて取り出した様子
内容物一覧は以下の通り。
【内容物一覧】
- GPD XP本体
- FPSコントローラモジュール
- Xbox標準ゲームコントローラーモジュール
- 電源アダプタ
- USB Type-Cケーブル
- 説明書
- ディスプレイ保護フィルム
- カードスロット開閉用ピン
▼説明書は日本語にも対応している。
▼端末本体の外観。一般的なスマホの側面にコントローラを合体させたようなデザイン。
▼本体重量は約370グラムと、ややズッシリくる重み。
▼裏面の様子。コントローラは、手持ち部分が持ちやすいように出っ張っている。
▼iPhone XR(画像下)と並べた様子。『GPD XP』が全体的に一回り大きく、ポケットに入れて持ち運ぶのはキツイかもしれない。
続いて、本体インターフェースについて紹介する。
▼左側面には、本体と一体化したコントローラモジュールが搭載。
▼ディスプレイ左下には、5メガピクセルのフロントカメラが内蔵。
▼本体上部には電源ボタン、音量調節ボタン、およびL1/L2トリガーが搭載。
▼本体下部には3.5mmオーディオジャック、カードスロット、Type-Cポート、および2基のスピーカーが搭載されている。
▼付属のピンを用いてカードスロットを開き、マイクロSDカードやSIMカードの挿入が可能。
2種類のコントローラモジュールが用意
本製品には2種類のコントローラモジュールが付属しており、端末の右側面に装着することでゲーム機として利用可能となる。
▼端末右側面には、コントローラモジュール装着用のポートが用意されている。
Xboxコントローラモジュール
▼『Xboxコントローラモジュール』は、Xboxコントローラと同様の操作感覚を提供する。
▼実際に装着した様子
▼ニンテンドースイッチ等と近い見た目になる。
FPSコントローラモジュール
▼『FPSコントローラモジュール』は、2つのアナログスティックが必要ない2Dゲームや、タッチ操作でスピーディな照準を行いたいシューティング(FPS)ゲーム等に適している。
▼実際に装着した様子
▼2Dゲームやシューティングゲームで快適な操作性を実現する。
このように、用途に応じてコントローラモジュールを装着することで、一瞬にして携帯ゲーム機になり替わることが可能となっている。
AnTuTuベンチマークテスト
本機について、スマホ・タブレット端末の性能を測ることのできる『AnTuTuベンチマークテスト』を実施してみた。
▼Android端末におけるAnTuTuベンチマークテストの実施方法はコチラを参照
-
Android端末でAnTuTuベンチマークテストを行う超簡単な方法(2023年時点)
スマートフォン・タブレットなどのモバイル端末のスペック(スコア)を計測することのできるツールとして、『AnTuTu Benchmark』(アンツツ ベンチマーク)というものがあります。 AnTuTuと ...
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結果として、約31.4万点のスコアを記録することが出来た。
4万円前後のゲーミング向け端末としては、もう少し高いスコアを期待していたが、まずまずといったスコア結果だ。
ウェブサイト閲覧や動画視聴など、一般的なスマホ用途に関しては問題なく動作するだろう。
ゲーミングに関しても、『原神』などの激重ゲームアプリを含め、大抵のゲームをスムーズにプレイ可能だ。
ただし、タイトルによってはある程度グラフィック(画質)品質設定を下げる必要があるかもしれない。
独特なインターフェース
本製品はAndroid11を採用しているが、インターフェースは独特なデザインとなっている。
▼ホーム画面の様子。
ホーム画面は『GAMES』『CLOUD』『APPS』『SETTING』の4種類のタブに分かれている。
▼GAMESタブでは、デフォルトで用意されているエミュレータのほか、いくつかのレトロゲームを起動することが可能だ。
▼搭載エミュを起動して、各種レトロゲームを遊ぶことが出来る。
▼エミュやROMの知識があれば、自身で好みのゲームを追加することも可能だ。
▼CLOUDタブでは『Steam link』や『AMD link』の利用が可能。
▼そしてAPPSタブでは、通常のAndroid端末と同様に各種アプリを利用できる。Play Storeも用意。
▼SETTINGタブでは、一般的な設定のほか、ストレージ管理やコントローラの調整が可能。
独特なデザインだが、慣れれば多くの活用方法を見出すことのできるインターフェースとなっている。
大抵の作業を快適にこなせる性能
本機のパフォーマンスを確認するため、ウェブサイト閲覧時・動画視聴時の動作について検証した。
ウェブブラウジングは実に快適であり、画像が多めのサイトや、処理の重いサイトであっても スムーズに閲覧することが出来た。
▼ほとんどのウェブサイトが一瞬で表示される。
▼ちなみに、縦表示にも勿論対応している。
画像やスクリプト多めのサイトでも、読み込み時に遅延を感じたり、スクロール時にカクつきを感じることも無かった。
また、YouTubeやネットフリックスなどの動画サイトを閲覧した場合においても、スピーディかつスムーズに動画を再生することが可能であった。
▼高画質の美しい映像を、スムーズに視聴することが出来た。
▼発色も良好であり、実写映画からアニメまで、満足度の高い体験が可能だ。
以上の通り、ウェブサイト閲覧や動画視聴においては、何の問題もなく快適に行うことが出来た。
スピーカー品質は及第点
本機に搭載されている2基のスピーカーについて、音質を確認してみた。
いくつかの音楽を再生してみたが、音質はそこそこ(及第点レベル)といった感想だ。
公式は "最高級スピーカー" と謳ってはいるものの、正直そこまで高音質には感じられなかった。
確かに2基のスピーカーによるサウンドをある程度立体感があり、音圧もそこそこ強い。
中~高音域に関してもクリアに響くが、一方で低音はつぶれてしまっており、音の迫力が損なわれている。
ゲームプレイや音楽視聴時に迫力のある体験を楽しみたいのであれば、外付けイヤホンやヘッドセットなどの使用をオススメする。
実用的なフロントカメラ
本製品のフロントカメラを使用してみた。
▼実際に撮影した画像
画質自体は比較的良好であり、発色も良く、肉眼で見た場合に近い色合いを実現できていた。
また、カメラの前で激しく動いた場合でも、気になる残像などはあまり生じなかった。
決して高品質とは言い難いが、ウェブ会議やオンライン授業など、オンライン通話用に活用するには十分な品質であると感じた。
なお上述した通り、リア(背面)カメラは搭載されていない。
ゲーミング性能の確認
肝心のゲーミングパフォーマンスについても確認していく。
『PUBG』プレイ時
まずは『PUBG』の場合について。
まずグラフィッククオリティに関しては、現時点の最高設定である『HD』までを選択することが出来た。
実際に試合に参加してみたが、大人数のプレイヤーが密集する場所においても、処理落ちやカクつきなどはほとんど生じず、終始快適なゲームプレイが可能であった。
▼近くのテクスチャから遠くの風景まで、美しく描画される。
激しく動き回っても、ラグやフレームレート低下などを感じることはほとんどなかった。
本気でスマホゲーを楽しみたいでも満足度の高い体験が可能だろう。
『統合版マインクラフト(旧PE)』プレイ時
続いて『統合版マインクラフト(旧PE)』の場合について。
ワールドを作成して実際にプレイしてみたが、スムーズで快適に操作することが出来た。
▼チャンク読み込み時にも全く重さを感じない。
▼処理の重くなりがちな森林バイオームでも、カクつきやフレームレート低下はほとんど感じられなかった。
クリエイティブやサバイバル、またはマルチサーバーに参加した際などにも、パフォーマンスは非常に安定しており終始スムーズなゲーミングが可能であった。
『原神』プレイ時
最後に "激重" ゲームとしても有名な『原神』の場合について。
非常に重いゲームアプリとして有名な『原神』であるが、本機ではスムーズにプレイすることが可能であった。
▼画質設定はデフォルト状態で "中" に設定されており、デバイス負荷は "スムーズ" の状態。
▼ "高" まで設定を上げるとデバイス負荷が上昇して、プレイ中にカクつきやフレームレート低下を感じるようになる。
▼"中" 設定でも、美しく滑らかな描画で原神を楽しめる。
▼激しく動いた場合でもカクつきや遅延を感じることはほとんどなかった。
『原神』クラスの激重ゲームでもこれだけ快適に遊べるのであれば、大抵のゲームアプリはスムーズに動作するだろう。
以上の通り、ゲーミング用途にも活用できるほどのパフォーマンスを発揮する端末となっている。
快適なゲーミングを実現するコントローラモジュール
ゲームプレイ時は、付属のコントローラモジュールを装着することで、非常に快適な操作性でゲームを楽しむことが可能だ。
▼実際にコントローラモジュールでプレイした様子
上動画を観ても分かる通り、コントローラモジュールを装着することで、ニンテンドースイッチやPSP等の携帯ゲーム機のような快適な操作性を実現できた。
操作のためにディスプレイをいちいちタッチする必要が無いため、ディスプレイが指紋や脂で汚れてしまうのを防げる点も嬉しい。
▼コントローラモジュールの背面は、手で持ちやすいように出っ張った構造となっている。
なお、エミュレータ等で遊べる2Dゲームなどでは、FPSコントローラモジュールの使用がオススメだ。
▼搭載エミュで昔懐かしのゲームを遊ぶことも可能。
ただし、コントローラモジュールを装着すると、ただでさえ大きめな筐体サイズが、さらに大きくなる。
外付けコントローラ非対応タイトルでも安心の "キーマッピングツール"
一部のゲームアプリには、外付けコントローラの操作に対応していないタイトルも存在している。『原神』などもその部類だ。
そのような場合には、本製品に搭載されている『キーマッピングツール』を活用することでコントローラモジュールの使用が可能となる。
▼端末左側のボタンを押すことで、キーマッピングツールを起動できる。
キーマッピングツールを起動すると、下画像のように、画面上にコントローラモジュールに対応したボタンが表示される。
このボタン類を、対応させたい仮想コントローラの上に載せることで、コントローラモジュールの物理的なボタン操作を、仮想コントローラの各種ボタンに対応させることが可能となる。
これにより、どのような外付けコントローラ非対応タイトルにおいても、コントローラモジュールの各ボタンを自由に割り当てて遊べるようになっている。
実に便利な機能であると言えるだろう。
『GPD XP』のまとめ
今回紹介した『GPD XP』について、特長をまとめると以下の通りだ。
良かった点
- スマホとしても携帯ゲーム機としても利用可能
- 2種類のコントローラモジュールが付属
- 大抵の作業を快適になせる性能
- コントローラモジュールで各種ゲームを快適にプレイ可能
- 便利なキーマッピングツール
- 長寿命バッテリー
悪かった点
- 携帯性は劣る(筐体が大きめ)
- 通話には非対応
以上の通り、コントローラモジュールを装着することで、ゲームアプリを本格的に遊ぶことのできるAndroid端末となっている。
コントローラモジュールの操作性は良好で、ゲームアプリを本気で楽しみたい方にはうってつけだ。またキーマッピングツールも用意されており、どのようなゲームアプリにも対応できる点は嬉しい。
携帯ゲーム機としてだけでなく、通常のAndroidスマホと同様に、ウェブサイト閲覧や動画視聴も楽しむことが可能だ。
一方で、筐体サイズが大きく、本体重量も比較的重いため、ポケットなどに入れて持ち運ぶにはややキツイ。
また、通話にも対応していない点にも注意が必要だ。
それでも、スマホゲーを物理コントローラで快適に遊びたい方には、是非オススメしたい一品であると言える。
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