中国のVivo(ヴィーヴォ、ビボ)は2024年1月、同ブランドの最新Androidスマートフォンとして「iQOO Neo9 Pro」を発売した。
同時期に発表され、Snapdragon 8 Gen 2を搭載した「iQOO Neo9」に対して、「iQOO Neo9 Pro」はMediaTek Dimensity 9300を搭載。非常に優れた性能と省電力性を併せ持っており、日常使いでもゲーミングスマホとしても実用性の高いハイエンドスマホとなっている。
iQOO Neo9は2,299元(約47,700円)、iQOO Neo9 Proは2,999元(約62,200円)となっており、高性能ながらも4万円~6万円台と格安でコストパフォーマンスに優れたシリーズである。
今回、提携先より本製品(レッド・レザー仕様)を提供していただいたので、実際に使用した感想を基にレビューしていきたいと思う。
ブランド | Vivo |
モデル名 | iQOO Neo9 Pro |
カラー | レッド(レザー)、ブラック(ガラス)、ブルー |
ディスプレイサイズ | 6.78インチ AMOLED |
解像度 | 2800×1260 |
リフレッシュレート | 最高144Hz |
OS | OriginOS 4 (Android 14ベース) |
CPU(SoC) | MediaTek Dimensity 9300 オクタコアプロセッサー |
RAM | 12GB/16GB LPDDR5X |
ストレージ | 256GB/512GB/1TB UFS 4.0 |
SIMカード | デュアル nanoSIM対応 |
マイクロSDカード | 非対応 |
搭載カメラ | フロント:16MP リア:50MPメイン + 50MP超広角 |
スピーカー | ステレオスピーカー内蔵 |
USBポート | USB Type-C (USB 2.0) |
生体認証 | 指紋認証(画面内)・顔認証 |
バッテリー容量 | 5,160mAh(120W急速充電対応) |
対応通信規格 | Bluetooth, WiFi, GPS, NFC |
対応バンド | 2G GSM:850/900/1800MHz 2G CDMA:BC0 3G WCDMA:B1/B4/B5/B6/B8/B19 4G TD-LTE:B34/B38/B39/B40/B41 4G FDD-LTE:B1/B3/B4/B5/B7/B8/B19/B28A 5G:n1/n3/n5/n8/n28A/n38/n40/n41/n77/n78 |
本体サイズ | 163.53×75.68×8.34mm |
本体重量 | 約190g |
iQOO Neo9シリーズは6.78インチ2800 × 1260解像度のAMOLEDディスプレイを搭載している。LTPO 144Hzリフレッシュレートに対応し、vivo独自のQ1チップを搭載しているおかげで144FPSフレーム補間も可能だ。
瞬間タッチサンプリングレートは2000Hzに達し、輝度は1400nitとかなり明るめ。
iQOO Neo9シリーズのバッテリー容量は5160mAhとなっている。120Wでの急速充電に対応し、1600サイクル後でもバッテリー寿命は80%以上を維持できるとのこと。
USB PD / PPSでも100W充電できるようで、専用充電器でなくても高速なのは嬉しい。
ゲーミングスマホではカメラ性能が低いことが多い中、iQOO Neo9シリーズはなんと上位モデルであるvivo X100と同じメイン・超広角カメラを採用している。
背面には50MP SONY IMX920 メインカメラと、50MP JN1超広角カメラを搭載。画像処理アルゴリズムも共通なため綺麗な写真を撮影できる。
また、カメラの出っ張りも最小限に抑えられています。
製品本体および付属品
▼外箱の様子
▼内容物をすべて取り出した様子
内容物一覧は以下の通り。
【内容物一覧】
- スマートフォン本体
- スマホケース
- 電源アダプタ
- USB Type-Cケーブル
- ユーザーマニュアル
- SIMカードピン
▼120W給電対応の電源アダプタが付属。
▼専用スマホケースも付属。
スマホ本体
▼スマホ本体の外観。163.53×75.68×8.34mm、約190gの筐体サイズ。
▼前面には16MPフロントカメラを内蔵。
▼背面の様子。
▼背面には50MPメイン + 50MP超広角の2眼カメラを搭載。
▼本体重量は約190gと非常に軽い。
▼今回のレビューに使用したレッドカラーモデルは、背面にレザー素材が使われており、手触り・質感ともに非常に良い。
▼指紋や手脂などの汚れも付着しづらく、目立ちづらい。
▼厚みは8.34mmと薄く、ポケット等に入れて持ち運んでも支障にならないだろう。
続いて、インターフェースについて見ていく。
▼本体右側面。電源ボタンと音量調節ボタンが用意。
▼左側面の様子。
▼上部の様子。
▼下部の様子。カードスロット、Type-Cポート、スピーカー穴が用意。
▼付属のピンを用いてスロットを開き、デュアルnanoSIMカードを挿入できる。
以上の通り、必要最低限のインターフェースのみが搭載された、シンプルなデザインとなっている。
画面内指紋認証に対応
本製品は画面内指紋認証に対応しており、スムーズなロック解除が可能だ。
▼認識精度は良好。指をかざすだけでパッと解除できるため、ストレスのないスマホ利用を楽しめる。
AnTuTuベンチマークテスト
本機について、スマホ・タブレット端末の性能を測ることのできる『AnTuTuベンチマークテスト』を実施してみた。
▼Android端末におけるAnTuTuベンチマークテストの実施方法はコチラを参照
-
Android端末でAnTuTuベンチマークテストを行う超簡単な方法(2023年時点)
スマートフォン・タブレットなどのモバイル端末のスペック(スコア)を計測することのできるツールとして、『AnTuTu Benchmark』(アンツツ ベンチマーク)というものがあります。 AnTuTuと ...
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結果として、約206万点のスコアを記録することが出来た。
以前紹介したハイエンドスマホ「VIVO X100 Pro」(約200万点)を超える、非常に高いスコアを記録した。
ウェブサイト閲覧や動画視聴はもちろん、『原神』を含めた激重ゲームアプリでも問題なく快適に遊ぶことのできる性能の高さだ。
比較的リーズナブルな価格に対して実に優れたパフォーマンスを実現出来ていると言える。本格的なゲーミング用のスマホを探している方にも間違いなくオススメできるハイエンドモデルである。
それでは以下から、実際に使用した感想について紹介していく。
2800×1260解像度・144Hzの美しく滑らかな有機ELディスプレイ
本機のディスプレイは2800×1260解像度、最高44Hzの高リフレッシュレートに対応しており、美しく滑らかな映像を楽しむことが可能だ。
▼リフレッシュレートは設定アプリより切り替え可能。バッテリー残量に応じて自動的に調整を行う機能も用意されている。
▼解像度もUHD/HDの切り替えが可能。
▼ウェブサイト閲覧時、細かい文字まで明瞭に表示され見やすい。ページスクロールもなめらかで心地よい。
最高144Hzの高リフレッシュレートで描画される映像は実に滑らかで、ストレスなく操作できる。
▼ディスプレイの発色が良く、ゲームや映画、アニメなどでもカラフルな映像を楽しめる。
▼ビジュアルの最適化機能も用意。
また、輝度が1400nitとかなり明るめで、日中の屋外でも画面が見づらくなることは無い。
ゲーミングや映像視聴をメイン目的にスマホの購入を検討している方でも、満足度の高い体験が可能だろう。
あらゆる作業をスムーズにこなせる性能
本機のパフォーマンスを確認すべく、ウェブサイト閲覧時・動画視聴時の動作について検証した。
ウェブブラウジングは基本的に快適であり、画像が多めのサイトや、処理の重いサイトであっても スムーズに閲覧することが出来た。
▼ほとんどのウェブサイトが一瞬で表示される。
また、YouTubeやネットフリックスなどの動画サイトを閲覧した場合においても、スピーディかつ滑らかな動画再生が可能であった。
▼最高画質の美しい映像を、スムーズに視聴することが出来る。
▼実写からアニメまで、実にカラフルな発色の映像を楽しめる。
また、WidevineはL1サポートとなっており、Amazon PrimeビデオやHuluなどのサイトにおいて高画質設定の映像を楽しめる。
以上の通り、ウェブサイト閲覧や動画視聴においては、何の問題もなく快適に行うことが出来た。
サウンド品質はそこそこレベル
本機のスピーカーについて、音質を確認してみた。
本製品にはステレオスピーカーが内蔵されており、音質はそこそこレベルと言える。
音に立体感はなく、低音もあまり響かないものの、中~高音域に関してはクリアなサウンドを楽しむことができる。
普通にアニメや映画を視聴したり、音声通話を行うぶんには全く支障のないレベルとなっている。
優れたカメラ性能
本機に搭載されているカメラの性能について確認した。
▼実際にフロント(前面)カメラで撮影した画像。
フロントカメラに関して、画質は実に良好であり、全体的に明るく、ヒトの輪郭から表情までクリアに映し出すことが出来ていた。発色も自然で肉眼で見た場合に近い。激しく動いても気になるレベルの残像は発生しないため、見づらさを感じることもかなった。
自撮りだけでなく、ウェブ会議や授業など、オンライン通話用途に利用しても問題のない品質だ。
▼リア(背面)カメラで撮影した画像。
以上の通り、50MPメインカメラを搭載していることもあり、近景から遠景にいたるまで非常に明瞭で美しい写真を撮影できた。旅行や記念撮影用のカメラとしても十分に活用できる品質となっている。
ゲーミング性能の確認
本機を用いて各種ゲームアプリを遊んだ際のパフォーマンスについても確認していく。
『統合版マインクラフト(旧PE)』プレイ時
まずは『統合版マインクラフト(旧PE)』の場合について。
ワールドを作成して実際にプレイしてみたが、スムーズで快適に操作することが出来た。
▼チャンク読み込み時にも全く重さを感じない。
▼処理の重くなりがちなバイオームでも、フレームレート低下やカクつきを感じることは無かった。
クリエイティブやサバイバル、またはマルチサーバーに参加した際などにも、パフォーマンスは非常に安定しており終始スムーズなゲーミングが可能であった。
多くのアドオンを導入したり、友人らと多人数マルチサーバーに参加した場合でも、スムーズな動作を実現することが出来るだろう。
『PUBG』プレイ時
続いて『PUBG』の場合について。
まずグラフィッククオリティに関しては『HDR』までを選択することが出来た。
▼フレーム設定はウルトラを選択可能。
実際に試合に参加してみたが、大人数のプレイヤーが密集する場所においても、処理落ちやカクつきなどはほとんど生じず、終始快適なゲームプレイが可能であった。
▼近くのテクスチャから遠くの風景まで、美しく描画される。
▼激しく動き回っても、ラグやフレームレート低下などを感じることはほとんどなかった。120Hz高リフレッシュレートのおかげで、全体的に動きが滑らかに描画される。
▼滑らかな描画で鮮明なゲームプレイが可能。遠方も索敵しやすい。
『PUBG』に関しても、満足度の高いゲームプレイが可能であった。
『原神』プレイ時
続いて "激重" ゲームとしても有名な『原神』の場合について。
非常に重いゲームアプリとして有名な『原神』であるが、本機では全く問題なくスムーズにプレイすることが可能であった。
▼画質設定はデフォルト状態で "中(Medium)" に設定されており、デバイス負荷は "スムーズ" の状態。
▼画質設定を "最高(Highest)" まで上げるとデバイス負荷も高まるが、依然としてスムーズな動作が可能であった。
▼最高画質設定の鮮明な描画で、高FPS(60fps前後)安定のスムーズなパフォーマンスで原神をプレイすることができた。
▼ゲーミングPC並みの高品質グラフィックで原神を遊べる。
▼激しく動いた場合でもカクつきや遅延を感じることはほとんどなかった。
『原神』クラスの激重ゲームでもこれだけ快適に遊べるのであれば、大抵のゲームアプリはスムーズに動作するだろう。
ゲーミング向け機能が充実
なお、本製品にはゲーミングに役立つ機能が用意されており、アプリ起動中にディスプレイ左端をスワイプすることで、ツールウィンドウが表示される。
このウィンドウでは、画面録画や各種通知OFF、周辺機器設定など、ゲーミングに役立つ多彩な機能にアクセスすることが出来る。
▼着信強制拒否やライブストリーミングアシスタント、画面録画、ミラーリングまで、非常に豊富な便利機能が用意。
▼また、ゲーミング中のパフォーマンス切り替えもできる。
▼ハイパフォーマンスなMONSTERモードに切り替えるとfpsが圧倒的に安定するが、バッテリー消耗が激しくなるので注意したい。
長持ちするバッテリー
本製品は5,160mAhバッテリーを内蔵しており、長時間の連続利用が可能だ。
実際に満充電の状態から1時間ほどゲームアプリを連続して遊んでみたところ、10%未満しかバッテリーが減っていなかった。ただし画質などのパフォーマンスに影響を及ぼす設定によっては、バッテリー消費速度は大きく変化する。
長時間の連続使用後は、筐体背面がほんのり熱をもつが、心配になるほどの高温ではなかった。
また本製品は最高120W高速充電に対応しており、少しの充電時間で一気にバッテリーを回復できる。
短時間の充電で数時間分のバッテリーを回復できる点は魅力的だ。ただ、ワイヤレス充電に非対応な点はやや残念。
『iQOO Neo9 Pro』のまとめ
今回紹介した『iQOO Neo9 Pro』について、特長をまとめると以下の通りだ。
良かった点
- 優れたスペック構成とパフォーマンス
- AnTuTu200万点超えのパフォーマンス
- 汚れづらく、所有感のあるレザー仕様筐体(レッドカラーモデル)
- 性能に対して比較的リーズナブルな価格
- 高めの1400nit輝度
- 発色の良い144Hz対応ディスプレイ
- 原神レベルの激重ゲーミングアプリも、最高画質設定で快適にプレイ可能
- 高品質カメラ内蔵
- 長持ちするバッテリー
- 高精度の画面内指紋認証
悪かった点
- ワイヤレス充電に非対応
以上の通り、比較的リーズナブルな価格に対して非常に優れた性能を発揮するハイエンドゲーミングスマホとなっている。
AnTuTuベンチマークテストにおいて200万点超えの脅威的なスコアを記録するほどの性能を備えており、原神レベルの重いゲームアプリでも60fps安定のパフォーマンスでスムーズに楽しめる。
ステレオスピーカーの質こそ一般的だが、2800×1260解像度、最高144Hz高リフレッシュレート対応の有機ELディスプレイによって描画される映像は実に美しく滑らかであり、メディア視聴用デバイスとしても重宝するだろう。1400nitの輝度に対応しているおかげで、明るい日中の屋外でも画面が見づらく感じることは無かった。
ゲーミングに向いているモデルである一方、カメラ性能も優れており、遠距離・近距離のいずれでも明瞭な写真を撮影できた。
そして何より、これほどのパフォーマンスを発揮しつつ、発熱を抑えることが出来ている点がGOOD。この手の最近のハイエンドスマホは高負荷での長時間使用時に筐体がかなりの熱をもつものが多いが、本製品はそこまで気になる熱を帯びず、パフォーマンスへの影響も感じられなかった。
今回レビューに使用したレザー仕様筐体(レッドカラーモデル)は、個人的にデザインの面でかなり気に入った。汚れが付着しづらく、手触りも良好なため、所有感の得られるデバイスとなっている。
ハイエンドスマホをできるだけリーズナブルな価格で手に入れたい方にとって、本製品は間違いなく選択肢の1つに入れても良いモデルだろう。
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