AIオーディオハード/ソフトウェアの設計、開発、販売を一連で行いグローバルに展開するPLAUD(プラウド)は、高精度なOpenAI文字起こし機能「Whisper」、およびGPT-4oによる高度な要約機能を搭載した、AIボイスレコーダー『PLAUD NOTE』を販売している。
クレジットカードほど薄く・コンパクトな筐体には、ノイズキャンセリング対応のハイエンドデュアルマイク「Knowles Sisonic」を内蔵。最大1536 kbpsのHi-Fiサウンドをサポートし、録音中のノイズを25dB以上削減。クリアな録音が可能となっている。
今回、提携先より本製品を提供していただいたので、実際に使用した感想を基にレビューしていきたいと思う。
ブランド | PLAUD |
カラー | ブラック、シルバー、スターライト |
本体サイズ | 85.6×54.1×2.99mm |
本体重量 | 約30g |
内蔵マイク | MEMS×2 & VCS×1 |
フル充電時間 | 約2時間 |
バッテリー容量 | 400mAh |
持続時間 | 連続録音:最大30時間 連続スタンバイ状態:最大60日間 |
USBポート | マグネットポート |
内蔵ストレージ | 64GB |
有効録音範囲 | 10メートル |
ノイズキャンセリング | 対応 |
今回紹介する『PLAUD NOTE』は、文字起こし&GPT-4o要約機能を搭載した、超薄型のAIボイスレコーダーだ。
本体サイズは85.6×54.1×2.99mmであり、クレジットカードと同程度の大きさ・薄さを実現。携行性に優れており、ポケットや財布、スマホケースなど収納して手軽に持ち運べるようになっている。
コンパクトな筐体にはノイズキャンセリング対応のハイエンドデュアルマイク「Knowles Sisonic」を内蔵。最大1536 kbpsのHi-Fiサウンドをサポートし、録音中のノイズを25dB以上削減。クリアな録音が可能となっている。
▼付属ケースを利用することで、MagSafe対応のスマホ、スマホケース背面に貼り付けて携行することも可能。
会議、講義、授業、インタビューなど、周囲の環境音を録音するのに適した「NOTE録音モード」と、通話音声の録音に適した「CALL録音モード」を用意。シーンに応じて柔軟な使い分けが可能だ。
本製品最大の特徴として、録音から文字起こし、要約まで、すべてAIに任せることができる点が挙げられる。
Whisper(OpenAIの文字起こしモデル)の高度なアルゴリズムが、録音した音声データの迅速に文字起こしする。これにより、誤字や変換ミスを最小限に抑え、重要な会話や会議を確実に記録することが可能だ。
▼会議の度に、いちいち手動で文字起こしする必要がなくなる。
そしてChatGPT-4oが、文字起こしした内容を高度に要約してくれる。これにより、会議、通話、セミナーやインタビューなど様々なシーンに合わせて、異なる形式で効率的に要約とマインドマップを作成することが可能となる。
録音データや文字起こしデータは、スマホアプリやWeb版PLAUDアプリでいつでも視聴・編集が可能。保存データから過去の会話内容・発言内容をいつでも確認できる。
▼製品を購入すれば、無料のスタータープランが付いてくる。より高度な機能を利用したい場合には、プロプランへの課金も可能だ。
製品本体および付属品
▼外箱の様子
▼内容物をすべて取り出した様子
内容物一覧は以下の通り。
【内容物一覧】
- PLAUD NOTE本体
- ユーザーマニュアル
- 充電ケーブル
- USB Type-A to C アダプタ
- 専用マグネット吸着ケース
- マグネットリング
▼ユーザーマニュアルは日本語にも対応。
▼マグネットリングが付属。MagSafe非対応スマホの背面に貼り付けることで、専用ケースに入れたPLAUD NOTEを装着できるようになる。
▼専用マグネット吸着ケース。PLAUD NOTEを収納でき、MagSafe対応スマホの背面に磁力で装着できる。
PLAUD NOTE本体
▼PLAUD NOTE本体の外観。85.6×54.1×2.99mmの非常にコンパクトなサイズ。
▼表面にはモード切替スイッチ、録音ボタンが用意。
▼背面の様子。
▼背面には充電用端子が用意。
デザイン自体は実にシンプルで、質感的にもそこそこの高級感がある。
▼本体重量は約30gと非常に軽い。
▼クレジットカードと並べた様子。大きさ的にはほぼ同じ。
▼厚みは、クレジットカード2枚を重ねた場合と同程度だ。
このように非常に小さくて薄型かつ軽量なデザインのため、衣服のポケットに入れて持ち運んだり、スマホの背面に貼り付けて携行してもまったく邪魔に感じられないだろう。
スマホ背面に貼り付けて携行可能
付属の専用マグネット吸着ケースにPLAUD NOTEを入れることで、スマホ背面に貼り付けて携行できるようになる。
▼PLAUD NOTEをケースに入れた様子。
▼ケースに入れた状態でも端子が露出するため、ケースに入れた状態で充電できる。
ケースにはマグネットが内蔵されており、MagSafe対応スマホの背面に近づけると、磁力でピタッと吸着する。
▼MagSafe対応スマホケースにも取り付け可能。
磁石による吸着力は強く、ちょっとやそっとの衝撃で落ちてしまうことはない。
▼ケースに入れた状態でも非常に薄いため、背面に取り付けてもスマホ自体の携行性を損ねることはないだろう。
このようにスマホ背面に装着することで、普段から自然な感覚でPLAUD NOTEを持ち歩くことが可能だ。
▼ただ、一度ケースにPLAUD NOTEを入れると内部でキツく固定されるため、ケースから取り出す際に結構苦労する点に注意。
スマホアプリとのペアリング
本製品の使用を開始するために、まず公式アプリとのペアリングを行おう。
▼公式アプリ(iOS・Android対応)
インストール後、PLAUD NOTEの録音ボタンを短押しするとインジケータが点滅し、ペアリングスタンバイ状態となる。
この状態でアプリを起動すると、PLAUD NOTEが認識され、追加可能となる。
ペアリングが完了するとトップ画面が表示され、PLAUD NOTEの各機能の利用、調節が可能となる。
▼アプリトップ画面。直近の録音データが一覧で表示される。
▼製品にはスタータープランが付属し、月300分の文字起こしを利用できるほか、基本的な機能をすべて使用できる。
アプリでは過去の文字起こし履歴を確認できるほか、マイク設定、保存データ形式指定などの詳細な調節を行うこともできる。
▼「RAWファイル」を有効化することで、録音時に高音質WAVオーディオファイルが生成されるようになる。
▼マイクゲインや、V.C.Sゲインの調整も可能。
本格的に利用を開始する前に、一通り設定項目に目を通しておくと良いだろう。
高音質録音&高精度な文字起こしが可能
実際にPLAUD NOTEを使用して、録音&文字起こしを行ってみた。
PLAUD NOTE本体の録音ボタンを押すか、アプリ上の録音ボタンをタッチすることで記録が開始される。
▼録音中のアプリ画面。録音サウンドの波形がリアルタイムに表示される。
録音後、保存した録音データに対して文字起こしの処理を行うことができる。
▼「生成」をタッチして文字起こしを開始。
▼複数種類のサマリーテンプレートが用意されており、文字起こし前に選択できる。どれを選べば良いのか分からない場合は「自動適応」を選んでおけばOK。
その他、文字起こししたい録音言語を指定したり、使用するAIモデルの指定も可能だ。
▼日本語を含む112か国語に対応。
▼AIモデルは現時点(記事執筆時点)において「GPT-4o」もしくは「Claude 3.5」から選択できる。今回のレビュー時には「GPT-4o」を使用した。
以上の設定を完了すると、文字起こしが開始される。
録音データの長さによって所要時間は異なるが、約20秒の録音データの場合、約30秒ほどで文字起こしを完了できた。
▼文字起こしした様子。
文字起こし内容と、実際の録音音声とを比べてみる。
▼文字起こし内容と、実際の録音音声の比較
上動画を観ても分かる通り、非常に優れた精度で文字起こしできていることが分かる。
漢字は正しく変換されており、句読点も適切に挿入されているため、文字起こしされた文章を後から見返す場合にも実に読みやすい。
また、本製品に内蔵されたハイエンドデュアルマイク「Knowles Sisonic」による録音の質も高い。
▼PLAUD NOTE内蔵マイクによる録音データ
ノイズキャンセリングはそこまで強くないが、発言内容がクリアに録音されており、聴き取りやすい。純粋なボイスレコーダーとしても質の高い製品となっている。
そして、スピーカー越しの音声を録音し、文字起こしすることも可能だ。
▼動画音声を録音する様子
▼動画音声の文字起こし文
音声データの長さは、文字起こし精度に影響することはなかった。
なお、英語など他言語の文字起こしにも対応している。
語学学習ツールとしても活用できるだろう。
複数人による会話にも対応可能
続いて、複数人の会話内容に対して録音・文字起こしを行ってみた。
▼筆者と妻の会話内容を録音
▼会話内容の文字起こしデータ
2人で会話した場合も、変わらない高精度で文字起こしできていた。
複数人が参加する会議の録音・文字起こしにも問題なく活用できるだろう。
▼発言者識別機能も用意されている。
オーディオデータのインポートも可能
録音した音声データだけでなく、内部・外部ストレージからオーディオデータをインポートして、文字起こしさせることもできる。
別の録音デバイスで記録したデータに関しても、本製品を使って処理することが可能となっている。
「NOTE録音モード」と「CALL録音モード」が用意
なお本製品には、会議、講義、授業、インタビューなど、周囲の環境音を録音するのに適した「NOTE録音モード」と、通話音声の録音に適した「CALL録音モード」が用意されている。
PLAUD NOTEのスイッチを切り替えることで、これらのモードをスムーズに変更できる。
録音シーンに応じて柔軟な使い分けが可能な点も魅力的だ。
高性能AIによる、実に優れた要約機能
そして本製品は、ただ録音・文字起こしできるだけでなく、テキストに起こした内容をAIに要約させることができる。
▼「要約」タブ選択後、文字起こしの場合と同様に事前設定を行う。
設定を完了すると、AIによる要約が開始される。
要約に要する時間は、文字起こしの場合と大差はなかった。ただし数十分を超える音声データの場合は、数分~数十分程度の時間を要する場合もある。
試しに、筆者と妻の会話内容を要約してみた。
▼要約した内容。なんと会話内容を基に、タイトルを自動的に考えてくれる。
▼妻との会話内容を端的に要約し、概要としてまとめてくれている。また、会話で言及した内容の中から、重要項目を抜粋して箇条書きで強調してくれた。
▼さらには、会話の中で決定しきれなかった内容(未定で終わった内容)を課題として識別し、「次回の予定」と題してスケジュールに追加できるようなっている。
以上の通り、ただ単に録音内容を要約するだけでなく、重要な部分を強調表示したり、課題として残った部分を「次回までに解決する必要のある内容」として識別してくれる。
これまでは人間が自分自身で処理する必要のあった作業を、ChatGPT-4oがすべて完了してくれた。本製品を活用すれば、議事録作成が圧倒的にラクになることは間違いないだろう。
マインドマップも自動生成
そしてAIは、録音内容を基に、マインドマップも自動的に生成してくれる。
▼筆者と妻の会話内容を基に生成されたマインドマップ。
これにより、会話内容をより視覚的に、整理されたカタチで見直すことができる。
長い会話・会議になるほど、全体の内容を見返すことが困難になる。そのような場合に、このマインドマップは会話全体を俯瞰して見ることができる、実に便利なツールとして機能してくれるだろう。
記録データの編集・出力が可能
記録したデータに対して、自由に編集・出力などの操作を行うことができる。
文字起こしは高精度とは言え、必ずしも100%完璧というワケではない。
もしも間違いを見つけた場合には、直接文章を編集することが可能だ。
▼修正前
▼修正後
また、文字起こしや要約の内容に不満のある場合は、再文字起こし、再要約を実行できる。
▼ただし、再文字起こしを実行すると、プランに割り振られている制限時間を追加で消耗するので注意したい。
そして、録音データ、文字起こしデータ、要約データ、マインドマップデータを別々にエクスポート(出力)することも可能だ。
豊富なサマリーテンプレートが用意
文字起こし、要約に用いる「サマリーテンプレート」には、非常に豊富な種類が用意されている。
録音データの種類・シーンに応じて最適なテンプレートを選択することで、より精度が高く、適切にまとめられた文字起こし・要約が可能となる。
▼サマリーテンプレートの種類一覧(記事執筆時点)
▼まだBeta段階の機能だが、テンプレートの作成も可能だ。
長持ちするバッテリー
非常にコンパクトかつ薄型な筐体サイズに対し、本製品には400mAhのバッテリーが内蔵されている。
これにより、連続録音の場合は最大30時間、連続スタンバイ状態の場合は最大60日間ものバッテリー持続時間を実現している。
実際に数十分の録音に使用した程度であれば、ほとんどバッテリーを消耗していなかった。
▼マグネット端子による充電に対応。
最大60日間ものスタンバイ状態維持が可能なため、いざ久しぶりに使おうと思ったときに充電が切れていた、という事態を避けることができるだろう。
『PLAUD NOTE』のまとめ
今回紹介した『PLAUD NOTE』について、特徴をまとめると以下の通りだ。
良かった点
- シンプルかつ高級感もある筐体デザイン
- 非常にコンパクトかつ薄型
- 専用マグネット吸着ケース付属で、携行性に優れた設計
- 付属マグネットリングで、MagSafe非対応スマホにも取り付け可能
- 機能の充実した公式アプリ
- 高品質デュアルマイク内蔵
- 非常に優れた精度の文字起こし機能
- 実用的なAI要約機能&マインドマップ生成
- 豊富なサマリーテンプレートが用意
- 録音データ、文字起こしデータ、要約データ、マインドマップデータを別々にエクスポート(出力)可能
悪かった点
- ケースからPLAUD NOTEを取り出しづらい
以上の通り、非常にコンパクトな筐体サイズに対して、高度な機能が集約された、多機能AIボイスレコーダーとなっている。
クレジットカードほどのサイズと厚みを実現しており、専用マグネット吸着ケースを使用してスマホ背面に装着することが可能。携行性に優れており、普段から自然な感覚で持ち運べるようになっている。
バッテリー持続時間も長く、最大60日間ものスタンバイ状態維持が可能なため、いざ久しぶりに使おうと思ったときに充電が切れていた、という事態を避けることができるだろう。
デュアルマイクの性能も良好。ノイズキャンセリングはそこまで強くないが、ヒトの発言内容をクリアに録音することができていた。
そして何より、文字起こし、要約の機能が非常に優れている。ただ要約するだけでなく、重要な部分を強調表示したり、課題として残った部分を「次回までに解決する必要のある内容」として識別してくれる。本製品を活用すれば、議事録作成が圧倒的にラクになることは間違いないだろう。
マインドマップも、会話全体の内容を俯瞰して見ることができる、実に便利なツールだ。
ボイスレコーダーとして重要な、携行性能・録音性能・記録データの閲覧性がすべて優れた、非常に有用性の高い製品であると言える。
議事録作成などに携わる機会の多い方には、ぜひオススメしたい一品だ。
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