2023年11月、中国のVIVOは同ブランドの最新スマートフォンとして『VIVO X100 Pro』の販売を開始した。
MediaTek Dimensity 9300搭載、LPDDR5X RAM採用、そしてUFS4.0ストレージを内蔵するなど、全体的に優れたスペック構成のハイエンドモデルとなっている。ZEISSとのコラボが強化されており、T*コーティングはもちろんのことZEISS APOレンズやZEISSフローティングレンズも採用されており、抜群の写真撮影性能も誇っている。
本記事執筆時点での各価格は以下の通りだ。
- 12GB RAM + 256GBストレージ:4999CNY(約10.1万円)
- 16GB RAM + 512GBストレージ:5499CNY(約11.3万円)
- 16GB RAM + 1TBストレージ:5999CNY(約12.1万円)
今回、提携先より本製品(12GB+256GBモデル)を提供していただいたので、実際に使用した感想を基にレビューしていきたいと思う。
ブランド | VIVO |
モデル名 | VIVO X100 Pro |
カラー | ガラス素材:ブルー、ホワイト、ブラック、 人口合皮素材:オレンジ |
ディスプレイサイズ | 6.78インチ AMOLED |
解像度 | 2,800×1,260 |
ピーク輝度 | 3000nit |
リフレッシュレート | 最高120Hz |
OS | Android 14 |
CPU(SoC) | MediaTek Dimensity 9300 |
RAM | 12GB / 16GB LPDDR5X |
ストレージ | 256GB / 512GB / 1TB UFS4.0 |
SIMカード | デュアル nanoSIM対応 |
マイクロSDカード | 非対応 |
搭載カメラ | フロント:32MP リア:50MPメイン(IMX989 1/0.98 F1.75 OIS)+ 50MP超広角(1/2.76 15mm F2.0)+ 50MP望遠(ZEISS APO 1/2 100mm F2.5 OIS) |
スピーカー | ステレオスピーカー内蔵 |
生体認証 | 画面内指紋認証・顔認証 |
バッテリー容量 | 5,400mAh(100W急速充電対応)50Wワイヤレス充電対応 ※10Wリバースワイヤレスチャージ対応 |
対応通信規格 | Bluetooth 5.4, Wi-Fi 7, GPS, NFC, 5G |
対応バンド | 2G GSM: 850/900/1800/1900MHz 2G CDMA: BC0 3G WCDMA: B1/B2/B4/B5/B6/B8/B19 4G TD-LTE: B34/B38/B39/B40/B41 4G FDD-LTE: B1/B2/B3/B4/B5/B7/B8/B12/B17/B18/B19/B26/B28A 5G: n1/n3/n5/n8/n28A/n38/n40/n41/n77/n78/n79 |
本体サイズ | 164.05×75.28 9.05mm |
本体重量 | 約225g |
vivo X100 ProではZEISSとのコラボが強化されており、T*コーティングはもちろんのことZEISS APOレンズやZEISSフローティングレンズも採用されている。フレア・ゴーストの発生を抑えられ、よりクリアな夜景撮影が可能だ。
1インチSONY IMX989をメインカメラに採用。光の補正により、画質が向上し、より鮮明になったとのこと。
T*コーティングで反射率も50%低減されているため、より印象的な写真を撮影できる。
64MPのペリスコープ望遠レンズも搭載しており、遠くの物だけでなくテレマクロ撮影も可能。色々な撮影シーンで活躍する。
そしてvivo X100シリーズはMediaTek Dimensity 9300を搭載している。AnTuTuベンチマークでは220万点を超え、数値上はSnapdragon 8 Gen 3を超える性能となっている。
LPDDR5Tメモリという従来規格よりもさらに高速なメモリを搭載し、vivo V3チップも搭載することで写真や動画の処理速度が向上している。
ディスプレイは2800 x 1260解像度でLTPO 120Hzリフレッシュレート対応。従来機種よりもさらに滑らかな表示ができるようになっている。ピーク輝度は3000nitの大台に突入。屋外でも見にくくなることはなさそうだ。
vivo X100 Proは100W急速充電対応の5,400mAh大容量バッテリーを内蔵している。50Wワイヤレス充電に対応するほか、10Wリバースワイヤレスチャージを行うことも可能だ。
製品本体および付属品
▼外箱の様子
▼内容物をすべて取り出した様子
内容物一覧は以下の通り。
【内容物一覧】
- スマホ本体
- スマホケース
- ユーザーマニュアル
- 電源アダプタ
- USB Type-Cケーブル
- SIMカードピン
▼120W対応の電源アダプタが付属するが、vivo X100 Proは100Wの急速充電に対応している。
▼専用のスマホケースが付属。メインケースを購入するまでの応急用として利用すると良いだろう。
▼スマホの外観。6.78インチ有機ELディスプレイを搭載した、シンプルかつスタイリッシュなデザイン。
▼前面中央には32MPフロントカメラが内蔵。
▼背面の様子。
▼背面には50MPメイン (IMX989 1/0.98 F1.75 OIS)+ 50MP超広角(1/2.76 15mm F2.0) + 50MP望遠(ZEISS APO 1/2 100mm F2.5 OIS)の3眼構成カメラを搭載。
▼164.05×75.28 9.05mmの筐体サイズはやや大きめだが、手に馴染むデザインで持ちやすい。
本体重量は約225gと、一般的なスマホと同程度の軽さ。
▼筐体背面には艶があり、そこそこの高級感も感じられる。指紋などの汚れも目立ちづらい。
厚みは約9.05mmと薄い。ポケットなどに入れて持ち運んでも邪魔に感じないだろう。
続いて、インターフェースについて紹介していく。
▼本体右側面。電源ボタンと音量調節ボタンが搭載。
▼左側面の様子。
▼上部の様子。
▼下部の様子。カードスロット、Type-Cポート、スピーカーが用意。なお、Type-CポートはUSB 3.2 Gen2となっており、高速データ伝送に対応している。
▼デュアルnanoSIMカードの挿入に対応。
全体的に必要最低限のインターフェースのみが搭載された、シンプルでスタイリッシュな印象を受けるデザインとなっている。
なお、本製品は画面内指紋認証および顔認証に対応している。いずれの認証精度も優れており、複数の認証方法を選択できる点は嬉しい。
AnTuTuベンチマークテスト
本機について、スマホ・タブレット端末の性能を測ることのできる『AnTuTuベンチマークテスト』を実施してみた。
▼Android端末におけるAnTuTuベンチマークテストの実施方法はコチラを参照
-
Android端末でAnTuTuベンチマークテストを行う超簡単な方法(2023年時点)
スマートフォン・タブレットなどのモバイル端末のスペック(スコア)を計測することのできるツールとして、『AnTuTu Benchmark』(アンツツ ベンチマーク)というものがあります。 AnTuTuと ...
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結果として、約200万点のスコアを記録することが出来た。
以前レビューした『Xiaomi 14 Pro』が約195万点という最高スコアを記録したのに対し、『VIVO X100 Pro』はそれをさらに上回る、200万点超えという驚異的なスコアを記録した。
ウェブサイト閲覧や動画視聴はもちろん、『原神』などの激重ゲームアプリでも問題なく快適に遊ぶことのできる性能の高さだ。
仕事や動画視聴はもちろん、ゲーミング用のスマホを探している方にも幅広くオススメできるハイエンドモデルである。ただし、一般的な用途でしかスマホを利用しない方にとっては、オーバースペック気味であるとも言える。
それでは以下からは、実際に使用した感想について紹介していく。
2,800×1,260解像度・120Hzの美しく滑らかな描画
本機のディスプレイは2,800×1,260解像度、最高120Hzの高リフレッシュレートに対応しており、美しく滑らかな映像を楽しむことが可能だ。
▼リフレッシュレートは設定アプリより切り替えることが出来る。
また解像度に関しても、設定でUHDとHDとを切り替えることができる。
▼バッテリー消費量などを考慮して、自動的に調整する機能も用意。
▼ウェブサイト閲覧時も、細かい文字まで明瞭に表示され見やすい。ページスクロールもなめらかで心地よい。
▼有機ELディスプレイの深みのある色合いが非常に綺麗で、ゲームや映画、アニメなどでもカラフルな映像を楽しめる。
ゲーミングや映像視聴をメイン目的にスマホの購入を検討している方でも、満足度の高い体験が可能だろう。
ほぼすべての作業を快適にこなせる性能
本機のパフォーマンスを確認すべく、ウェブサイト閲覧時・動画視聴時の動作について検証した。
ウェブブラウジングは基本的に快適であり、画像が多めのサイトや、処理の重いサイトであっても スムーズに閲覧することが出来た。
▼ほとんどのウェブサイトが一瞬で表示される。
また、YouTubeやネットフリックスなどの動画サイトを閲覧した場合においても、スピーディかつ滑らかな動画再生が可能であった。
▼高画質設定の美しい映像を、スムーズに視聴することが出来る。
▼発色も良好。アニメから実写映画まで、満足度の高い映像体験が可能だ。
▼一部の対応アプリではビジュアル拡張機能を利用できる。
また、WidevineはL1サポートとなっており、Amazon PrimeビデオやHuluなどのサイトにおいて高画質設定の映像を楽しめる。
以上の通り、ウェブサイト閲覧や動画視聴においては、何の問題もなく快適に行うことが出来た。
サウンド品質はそこそこレベル
本機のスピーカーについて、音質を確認してみた。
本製品にはステレオスピーカーが内蔵されており、音質はそこそこレベルと言える。
音に立体感はなく、低音もあまり響かないものの、中~高音域に関してはクリアなサウンドを楽しむことができる。
普通にアニメや映画を視聴したり、音声通話を行うぶんには全く支障のないレベルとなっている。
圧倒的なカメラ性能
本機に搭載されているカメラの性能について確認した。
▼実際にフロント(前面)カメラで撮影した画像。
フロントカメラに関して、画質は実に良好であり、全体的に明るく、ヒトの輪郭から表情までクリアに映し出すことが出来ていた。発色も自然で肉眼で見た場合に近い。激しく動いても気になるレベルの残像は発生しないため、見づらさを感じることもかなった。
自撮りだけでなく、ウェブ会議や授業など、オンライン通話用途に利用しても問題のない品質だ。
▼リア(背面)カメラで撮影した画像。
▼広角撮影
▼屋外撮影(1倍)
▼屋外撮影(10倍)
▼屋外撮影(60倍)
▼屋外撮影(100倍)
以上の通り、50MPメイン(IMX989 1/0.98 F1.75 OIS)+ 50MP超広角(1/2.76 15mm F2.0)+ 50MP望遠(ZEISS APO 1/2 100mm F2.5 OIS)の3眼高性能背面カメラを搭載していることもあり、近景から遠景にいたるまで非常に明瞭で美しい写真を撮影できた。旅行や記念撮影用のカメラとしても十分に活用できる品質となっている。
▼ぬいぐるみの毛の一本一本まで鮮明に映される。
▼食べ物を撮影しても映える。食レポ用のカメラを求めている方にもうってつけだ。
特筆すべきは、望遠撮影とマクロ撮影性能の高さだ。
望遠撮影の場合、一般的なスマホであれば10倍望遠撮影時ですら遠景の輪郭がぼやけてしまい、不鮮明な写真しか撮ることができない。
しかし『VIVO X100 Pro』は最大100倍の望遠撮影に対応しており、撮影地点から約6km先にあるビル群の輪郭までを捉えることが出来ていた。これは私が今までにレビューしてきたスマホの中でも、最高クラスの望遠撮影性能であると言える。
▼望遠撮影時の手振れ補正も一級品。100倍ズーム時でも手振れをかなり抑えてくれるため、輪郭の鮮明な写真を撮影できた。
▼約6km先で飛んでいる鳥の姿までも捉えることができた。
▼100m以上離れた自販機で、どの商品が売っているのか判るレベルだ。
マクロ撮影の性能も優れており、身近な物を近接撮影してみると普段とは異なる写真が撮影できて面白い。
▼サボテン撮影時。
▼造花を撮影。
▼花の繊維の一本一本までを鮮明に捉えることが出来る。
写真・動画撮影メインでスマホを探している方にとって、間違いなく満足できる体験を提供するだろう。
ゲーミング性能の確認
本機を用いて各種ゲームアプリを遊んだ際のパフォーマンスについても確認していく。
『統合版マインクラフト(旧PE)』プレイ時
まずは『統合版マインクラフト(旧PE)』の場合について。
ワールドを作成して実際にプレイしてみたが、スムーズで快適に操作することが出来た。
▼チャンク読み込み時にも全く重さを感じない。
▼処理の重くなりがちなバイオームでも、フレームレート低下やカクつきを感じることは無かった。
クリエイティブやサバイバル、またはマルチサーバーに参加した際などにも、パフォーマンスは非常に安定しており終始スムーズなゲーミングが可能であった。
多くのアドオンを導入したり、友人らと多人数マルチサーバーに参加した場合でも、スムーズな動作を実現することが出来るだろう。
『PUBG』プレイ時
続いて『PUBG』の場合について。
まずグラフィッククオリティに関しては『HDR』までを選択することが出来た。
▼フレーム設定はウルトラを選択可能。
実際に試合に参加してみたが、大人数のプレイヤーが密集する場所においても、処理落ちやカクつきなどはほとんど生じず、終始快適なゲームプレイが可能であった。
▼近くのテクスチャから遠くの風景まで、美しく描画される。
▼激しく動き回っても、ラグやフレームレート低下などを感じることはほとんどなかった。120Hz高リフレッシュレートのおかげで、全体的に動きが滑らかに描画される。
▼滑らかな描画で鮮明なゲームプレイが可能。遠方も索敵しやすい。
『PUBG』に関しては、満足度の高いゲームプレイが可能であった。
『原神』プレイ時
続いて "激重" ゲームとしても有名な『原神』の場合について。
非常に重いゲームアプリとして有名な『原神』であるが、本機では全く問題なくスムーズにプレイすることが可能であった。
▼画質設定はデフォルト状態で "中(Medium)" に設定されており、デバイス負荷は "スムーズ" の状態。
▼画質設定を "最高(Highest)" まで上げるとデバイス負荷も高まるが、依然としてスムーズな動作が可能であった。
▼最高画質設定の鮮明な描画で、60fps前後安定のスムーズなパフォーマンスで原神をプレイすることができた。
▼ゲーミングPC並みの高品質グラフィックで原神を遊べる。
▼激しく動いた場合でもカクつきや遅延を感じることはほとんどなかった。
『原神』クラスの激重ゲームでもこれだけ快適に遊べるのであれば、大抵のゲームアプリはスムーズに動作するだろう。
充実したゲーミング向け機能
本製品にはゲーミング向けの機能が豊富に用意されている。
ゲームアプリプレイ時に画面縁をスワイプすると、ゲーミング向けの様々な機能が用意されたウィンドウが出現する。
▼画面録画や音声変更、着信OFFなど、ゲーム配信向けの機能も充実している。
▼パフォーマンスの切り替えも可能。バッテリー残量と相談して調整すると良いだろう。
長持ちするバッテリー
本製品には5,400mAhのバッテリーが内蔵されており、長時間の連続利用が可能だ。
実際に満充電の状態から3時間ほどゲームアプリを連続して遊んでみたところ、15%ほどしかバッテリーが減っていなかった。
普通にスマホを利用する分には、1~2日ほど充電ケーブルに接続しなくても問題ないだろう。
そして本製品は100W急速充電に対応しており、30分ほどの充電で一気にバッテリーを回復できる点も、実用性の高さを向上させていると言えるだろう。
発熱が気になる
一方で、ゲーミングなど高負荷使用時の筐体の発熱が気になった。
この手のハイエンドスマホにはよくある不満点なのだが、『VIVO X100 Pro』も例に漏れず、高負荷状態で長時間利用し続けた場合、背面が心配になるレベルの熱を持つ。
▼40度前後の熱が生じる。
MediaTek Dimensity 9300は、それ自体の発熱によりパフォーマンスへ影響を及ぼす、といった海外メディアの記事も公開されており、高い放熱性能を実現しているにもかかわらず、発熱問題をクリアできていない点は残念だ。
『VIVO X100 Pro』のまとめ
今回紹介した『VIVO X100 Pro』について、特長をまとめると以下の通りだ。
良かった点
- スタイリッシュなデザイン
- 性能に対して比較的リーズナブルな価格
- AnTuTuベンチマーク200万点超えのハイパフォーマンス
- 激重ゲームアプリもスムーズにプレイ可能
- 圧倒的なカメラ性能
- 100W急速充電に対応
- リバースワイヤレスチャージが可能
悪かった点
- 高負荷使用時の発熱が気になる
- スピーカー品質はそこそこレベル
以上の通り、比較的リーズナブルな価格に対して、圧倒的な性能とパフォーマンスを実現した最新のハイエンドスマホとなっている。
AnTuTuベンチマーク200万点超えのハイパフォーマンスを実現。基本性能が非常に高く、動画視聴からウェブサイト閲覧まで、大抵の作業を快適にこなすことが出来る。また『原神』レベルの激重ゲームアプリでもスムーズに動作した。
2,800×1,260解像度・120Hz高リフレッシュレートのディスプレイで描画される映像は実に美しく滑らかであり、ゲーミングスマホとしても問題なく活躍できるだろう。3000nitのピーク輝度のおかげで、日中の屋外でも画面が見やすい。
USB 3.2 Gen2搭載で、高速データ伝送に対応している点も魅力的だ。
そして何よりカメラ性能が非常に優れており、近距離・遠距離撮影から接写、広角撮影にいたるまで、スマホカメラの中でも最高クラスの品質で写真撮影を楽しむことができた。現時点で入手可能なスマホの中では最高レベルの品質だろう。
一方で、高負荷使用時の発熱が気になる。設定次第である程度負荷を抑えることは可能だが、ソフト側の制御などで、どうにかしてこれらの問題を解消してほしいところだ。
何はともあれ、圧倒的な性能とカメラ性能を備えたスマホを求めている方には、是非オススメしたいモデルだ。
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