ニューヨーク(米国)に本社を置くポータブル電源の大手「VTOMAN」は、日本時間2023年5月9日(火)より、同ブランドの最新ポータブル電源『FlashSpeed Pro 3000』の販売をクラウドファンディングサイト「Kickstarter(キックスターター)」にて開始した。
後部に車輪の付いたスーツケース型の電源であり、2,816Whという驚異的なバッテリー容量を実現。2基の拡張バッテリーを接続することで最大8,448Whまでの拡張も可能であり、非常用電源としても十分活躍できるポータブル電源だ。
今回、提携先より本製品を提供していただいたので、実際に使用した感想を基にレビューしていきたいと思う。
ブランド | VTOMAN |
モデル名 | FlashSpeed Pro 3000 |
バッテリー容量 | 2,816Wh(8,448Whまで拡張可能) |
バッテリー種別 | リン酸鉄リチウム(LiFePO4) |
耐用充電サイクル | 約2,000回 |
出力 | ACコンセント(110V/2,200W)×4 ※瞬間最大4,400W USB Type-C(100W)×2 USB-A(18W)×4 DC5521×2 シガーソケット×2 |
入力 | AC充電 ソーラーパネル充電 |
LEDライト | 搭載 |
防水性能 | IP65 |
充電時間 | 約1.5時間 |
本体サイズ | 41.8×37.8×58cm |
本体重量 | 約38kg |
▼公式紹介動画
大容量バッテリー内蔵のスーツケース型ポータブル電源
VTOMANの『FlashSpeed Pro 3000』は、大容量バッテリー内蔵のスーツケース型ポータブル電源だ。
後輪が付いており、伸縮する手持ち部分を掴むことで、スーツケースのように持ち運ぶことが可能となっている。
▼前面には雨水の侵入を防ぐ防水カバーを搭載しており、防水性能はIP65規格に対応。
筐体サイズは41.8×37.8×58cm、重量は約38kgと大型かつ結構な重みがある。
その分、2,816Whの大容量リン酸鉄リチウムバッテリーを内蔵しており、2,000回程度の充放電サイクルに耐えるとのこと。キャンプなどアウトドアな場面で電気を利用したり、災害に伴う停電時などに非常用電源としても重宝するだろう。
なお、2基の拡張バッテリを接続することで容量を8,448Whまで拡張することも可能だ。
筐体正面にはLEDライトやディスプレイが搭載されているほか、充実したインターフェースが用意されている。
出力ポートとして、「ACコンセント(110V/2,200W)」×4、「USB Type-C(100W)」×2、「USB-A(18W)」×4、「DC5521」×2、「シガーソケット」×2 などが用意。ACコンセントは瞬間最大4,400Wの出力に対応可能だ。
▼スマホやタブレットなどのポータブル端末から、扇風機、エアコン、冷蔵庫などの家電まで稼働させることの出来る供給力を誇る。
本体には「AC電源」もしくは「ソーラーパネル」から給電してチャージする。
▼充実した付属品が同梱。
大容量バッテリー内蔵、優れた拡張性、スーツケース様の持ち運び設計により、アウトドアな場面での電源用途だけでなく、災害時の家庭用バックアップバッテリーとしても重宝する最新モデルとなっている。
製品本体および付属品
▼外箱の様子。かなり大きなダンボールで届く。
▼内容物をすべて取り出した様子。
内容物一覧は以下の通り。
※今回の提供パッケージはレビュー用のため、キックスターターで発送されるものとパッケージ内容は異なります。
【内容物一覧】
- FlashSpeed Pro 3000本体
- USB-A to USB-C ケーブル
- USB-C to USB-C ケーブル
- 電源ケーブル(Type A)
- 電源ケーブル(Type B)
- ソーラー to アンダーソン ケーブル
- ストレージバッグ
- 充電式懐中電灯
▼ケーブル類やマニュアルを収納して持ち運べるストレージバッグが付属します。
充電式の懐中電灯
▼スーパーアーリーバード(Super Early Bird)パッケージに無料で付属する、充電式の懐中電灯。
▼無料で付属するとは言え、シッカリとした造りだ。
▼ポータブル電源本体やコンセント、ソーラーパネルからも直接充電することが可能。
▼出力は強く、懐中電灯としては十分な明るさがある。
▼筐体腹部にもLEDライトが内蔵されている。
点灯ボタンを複数回押すことで、点灯の強弱切替、およびSOSモールス信号を発信することも出来る。
▼実際の点灯の様子
FlashSpeed Pro 3000本体
続いてFlashSpeed Pro 3000本体について。
▼41.8×37.8×58cm、 約38kgの大きめのサイズ。
かなり頑丈な造りで、ちょっとやそっとの衝撃で壊れてしまうことは無いだろう。
▼手と並べることで、筐体の大きさが分かるだろう。
▼正面上部にはLEDボタンおよびLEDライトが搭載。
▼雨水の侵入を防ぐ防水カバーを搭載しており、防水性能はIP65規格に対応。
▼カバーを開くと各種出力ポートを利用できる。
用意されている出力ポートは以下の通り。
- ACコンセント(110V/2,200W)×4
- USB Type-C(100W)×2
- USB-A(18W)×4
- DC5521×2
- シガーソケット×2
▼充実した出力ポートが用意されており、幅広いデバイスに対して給電を行うことが出来る。
▼真上から見た様子。
▼両側に取っ手が付いており、持ち上げる際に役立つ。
▼上部中央には、ケーブル類を収納しておけるスペースが用意。
▼後部には伸縮可能な取っ手が用意。
取っ手のレバーを押しながら惹くことで、手持ち部分を延長できる。
▼まるでスーツケースのような見た目だ。
後部には車輪が2つ付いており、キャリーバッグやスーツケースのような感覚でポータブル電源を持ち運べるようになっている。
ただ、手持ち部分の伸縮がぎこちなく、何度もレバーを押し直す必要があり、スムーズに伸縮させることが困難であった。ストレスなく移動するためにも、この点にはコストをかけてほしかったところだ。
▼右側面の様子。
▼右側面下部には、カージャンパーケーブルを用いて車両バッテリーから電気を取り出すための入力端子が2つ用意されている。
▼左側面の様子。
▼左側面の下部には、AC電源およびソーラーパネルから電気を供給するための入力端子が用意。
▼背面の様子。
▼背面は上述したVTOMANの懐中電灯を収納できるスペースが用意されている。
▼収納スペース下部には充電用端子が用意されており、収納した懐中電灯を充電することが可能となっている。
このように、ゴツい筐体に充実した入出力ポートが搭載された、汎用性に優れたポータブル電源となっている。
SOS機能付きのLEDライト
筐体正面にはLEDライトが搭載されており、LEDライトボタンを長押しすることで点灯する。
また、このLEDライトは単なる照明以外にも、SOSモールス信号を発信する機能も搭載されている。
▼LEDライトボタンを押すたびに、弱モード ⇒ 中モード ⇒ 強モード ⇒ SOSモールス信号 ⇒ LEDオフ と切り替わる。
キャンプなどで遭難した時などにも安心な機能となっている。
キャリーバッグ(スーツケース)のように持ち運び可能
筐体後部の車輪と伸縮ハンドルが搭載されているおかげで、キャリーバッグ(スーツケース)のように持ち運ぶことが可能だ。
▼実際に移動させている様子
車輪は大きいため、多少の段差は乗り越えることができる。キャリーバッグ状態での移動はスムーズでなによりラクだ。
電源上部には掴んで運べるように取っ手部分が用意されているものの、約38kgという重さのため、無理に持ち上げようとすると腰を悪くする可能性がある。
できるだけキャリーバッグ状態で移動させることを推奨したい。
出力機能
本製品に溜めた電気を、外部機器へ出力(給電)する方法を紹介する。
まず正面の保護カバーを開ける。
▼保護カバーの可動域が90度ほどしかなく、下から覗かないと出力ポートを利用できないのが難点だ。
▼一番大きく開いても、ここまでしか開かない。
そして各種ポートの上部のボタン「USB」「DC」「AC」を長押しすることで、対応するポートの出力が開始される。
▼出力中のポートは、ポート周囲が点灯する。
ディスプレイ部にはバッテリー残充電が表示されるほか、出力中のポートが表示される。
出力状態で各ポートにデバイスを接続することで、給電を行うことが可能だ。
高出力で安定した給電が可能
本製品にはACコンセント(110V/2,200W)、USB Type-C(100W)、USB-A(18W)などの充実した出力ポートが用意されており、スマホやタブレットなどのポータブルデバイスから、PC、家庭用家電まで、幅広いデバイスに対して高出力で安定した給電を行うことが出来る。
▼スマホを接続した様子。
高出力ポートからの給電速度は速く、一般的な家庭用コンセントに接続した場合と遜色ないスピードでデバイスを充電することが出来ていた。
複数ポートを同時に使用した場合でも、問題なく充電を行うことが可能だ。
4つ以上のポートを同時利用した場合でも、出力が低下したり不安定になることはなかった。
▼扇風機を接続した様子。
ACコンセントは110V/2,200Wの出力に対応しているため、扇風機はもちろん、冷蔵庫やヒーター、ホットプレート等を接続した場合でも問題なく動作する。
大抵の家電は動作するため、アウトドアな場面での電源用途だけでなく、災害時の家庭用バックアップバッテリーとしても重宝するだろう。
FlashSpeed Pro 3000への給電
続いて、FlashSpeed Pro 3000自体を充電する方法について紹介していく。
家庭用コンセントからの給電
最も一般的な充電方法は、ACケーブルを使用して自宅コンセントから充電する方法だろう。
充電中はディスプレイで入力情報および残量をリアルタイムに確認できる。
▼日本の一般的な家庭用コンセント(100V・60Hz)から給電した場合、1310W前後の高ワット数で安定した給電が可能であった。
100Vコンセントを利用した場合、2時間程度で満充電できる。
ソーラーパネルからの給電
本製品はソーラーパネルを用いた充電も可能だ。
今回は私が所有しているソーラーパネルを使って、実際に太陽光充電を行ってみた。
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▼快晴の夏日、自宅ベランダにソーラーパネルを設置。
パネルに太陽光が当たっていれば、ケーブルを接続した途端に充電が開始される。
▼ソーラーパネルからの給電。
災害による停電時でも、『ポータブル電源』と『ソーラーパネル』の2つのアイテムを所有していれば、電子機器の充電を心配する必要が無くなるだろう。
▼太陽が存在している限り、ほぼ無尽蔵に充電を行うことが可能だ。
有事の備えとしては、まさに必要不可欠なセットであると言える。
『VTOMAN FlashSpeed Pro 3000』のまとめ
今回紹介した『VTOMAN FlashSpeed Pro 3000』について、特長をまとめると以下の通りだ。
良かった点
- 耐久性に優れた頑丈な筐体
- 2,816Whの大容量バッテリー内蔵
- 充実した入出力インターフェース
- 生活家電も稼働させられる高出力ポート
- 優れた拡張性
- 車輪付きで、キャリバッグやスーツケースのように移動可能
- SOS機能付きの強力なLEDライトを搭載
- ソーラーパネルからの給電に対応
悪かった点
- とにかく重い(約38kg)
- 保護カバーの可動域が狭く(約90度)、出力ポートを使用しづらい
- 取っ手部分の伸縮がぎこちない(造りが安っぽい)
- ワイヤレス給電に非対応
以上の通り、頑丈な筐体に充実した入出力ポートを備えつつ、キャリーバッグ式のスムーズな移動方法も実現した、汎用性に優れたポータブル電源だ。
2,816Whの大容量バッテリーと、安定供給可能な高出力ポートのおかげで生活家電も稼働させることが可能。バッテリー残量が低下した場合でも、家庭用コンセントや太陽光(ソーラーパネル)を利用して充電できるため、停電時の非常用電源として圧倒的な安心感を提供してくれる電源となっている。
筐体前面にSOS機能付きの強力なLEDライトを搭載しており、遭難時にも安心の設計だ。IP65の防水規格に対応しているため、屋外使用時に急な天候変化に遭った場合も問題ない。
一方で、とにかく重い(約38kg)ため、移動時には細心の注意を払った方が良いだろう。また、保護カバーの可動域が狭く(約90度)、出力ポートを使用しづらい点は改善してほしいところだ。
また、取っ手部分の伸縮がぎこちない(造りが安っぽい)ため、出来ればこの部分にもコストをかけてほしい。
何はともあれ、アウトドア用の電源や、災害時の非常用電源を用意しておきたい方にとって、うってつけのスーツケース型電源と言えるだろう。
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