2021年12月末、シャオミ(Xiaomi:中国)は最新のフラグシップスマートフォンである『Xiaomi 12』および『Xiaomi 12 Pro』を発表した。
6.28インチ、152.7 x 69.9 x 8.16mm、約180gという比較的コンパクトな筐体サイズに対して、Snapdragon 8 Gen 1を搭載。ゲーミングを含め大抵の作業を快適にこなすことのできる、強力なパフォーマンスを発揮するスマホとなっている。
今回はこの『Xiaomi 12』について、実際に使用した感想を紹介していきたいと思う。
小型かつ高性能なハイエンドスマートフォン『Xiaomi 12』
今回紹介する『Xiaomi 12』は、Snapdragon 8 Gen 1 オクタコアプロセッサーを搭載した、小型かつ高性能なハイエンドスマホだ。現時点(記事執筆時点)で以下の3モデルが販売されている。
- 8GB+128GBモデル:3699元(約6.7万円)
- 8GB+256GBモデル:3999元(約7.2万円)
- 12GB+256GBモデル:4399元(約7.9万円)
今回のレビューには、8GB RAM/128GB ストレージモデルを使用している。
ブランド | Xiaomi(シャオミ) |
型名 | Xiaomi 12 |
ディスプレイサイズ | 6.28インチ IPSスクリーン |
解像度 | 2400 x 1080(FHD+) |
リフレッシュレート | 最高120Hz |
OS | MIUI 13(Android 12準拠) |
CPU | Snapdragon 8 Gen 1 オクタコアプロセッサー, 3.0GHz |
GPU | Adreno 818MHz |
RAM | 8GB / 12GB LPDDR5 |
ストレージ | 128GB / 256GB |
マイクロSDカード | 非対応 |
SIMカード | デュアルnano SIM対応 |
対応通信規格 | Wi-FI Bluetooth GPS 2G Bands:GSM B2/B3/B5/B8 3G Bands:WCDMA B1/B2 /B4/B5/B6/B8/B19 4G Bands:LTE B1/B2/B3/B4/B5/B7/B8/B12/B17/B18/B19/B26/B34/B38/B39/B40/B41/B42 5G Bands:NR N1/N3/N5/N8/N28a/N38/N40/N41/N77/N78/N79 |
搭載カメラ | フロントカメラ:32MP リアカメラ:50MP+13MP+5MP |
本体サイズ | 152.7 x 69.9 x 8.16mm |
本体重量 | 約180g |
OSにはAndroid 12準拠のMIUI 13を採用。基本的な扱い方は、通常のAndroid端末と同様だ。
Snapdragon 8 Gen 1 オクタコアプロセッサーCPUに加えて8GB/12GBのRAMを搭載しており、大抵の作業をスムーズにこなせるだけのパフォーマンスを発揮する。
128GB/256GBストレージモデルが用意されている一方で、マイクロSDカードの挿入には対応していない。
6.28インチ IPSスクリーンはエッジスクリーン(曲面ディスプレイ)となっており、コンパクトな筐体いっぱいに広がる画面でFHD+映像が楽しめる。
通信規格はWi-Fi, Bluetooth, GPSに対応。またデュアルnano SIMカードの挿入が可能であり、国内の主要バンドを利用した4G/5G通信を行うことが出来る。
そして前面には32メガピクセルのフロントカメラを、背面には50メガピクセル(メイン)+ 13メガピクセル(超広角)+ 5メガピクセル(望遠マクロ)の3つのカメラを搭載。下手なデジカメにも劣らない美しい写真を撮影することが可能だ。
これだけのスペック構成に対して、筐体サイズは152.7 x 69.9 x 8.16mm、約180グラムと、持ち運びにも適したコンパクトさとなっている。
高性能かつ携行性にも優れたスマホを探している方にはオススメだ。
製品本体および付属品
▼外箱の様子
▼内容物をすべて取り出した様子
内容物一覧は以下の通り。
【内容物一覧】
- スマホ本体
- スマホケース
- 電源アダプタ
- USB Type-Cケーブル
- 説明書
- カードスロット開閉用ピン
▼スマホ本体の外観。同社の他モデルより比較的コンパクトなサイズに収まっている。厚みも約8.16ミリと非常に薄い。
▼前面中央には32メガピクセルのフロントカメラを内蔵。
▼背面の様子。ツヤツヤとした光沢が見られる。そこまでの高級感は無いが、手触りは良好だ。
▼背面上部には50メガピクセル(メイン)+ 13メガピクセル(超広角)+ 5メガピクセル(望遠マクロ)の3つのカメラを内蔵。
▼Xiaomi 12(画像左)と iPhone XR(画像右)を並べた様子。ほぼ同等の大きさだ。
続いて、インターフェースについて紹介していく。
▼本体右側面。電源ボタン、音量調節ボタンが搭載。
▼本体上部。Harman Kardonチューニングのスピーカーを搭載。
▼本体下部。同じくスピーカーと、Type-Cポート、カードスロットが用意。
▼付属のピンを用いてスロットを開き、nano SIMカードの挿入が可能。
▼裏表にそれぞれ1枚ずつのnano SIMカードが挿入可能(デュアルSIM)。
なお、本体左側面にはインターフェースが何も搭載されていない。
全体的に必要最低限のインターフェースのみが搭載された、シンプルでスタイリッシュな印象を受けるデザインとなっている。
また、本製品には専用のケースが付属している。
▼実際に装着した様子。装着してもディスプレイの曲面部が隠れないように設計されている。
ケースの品質自体は中々良く、そのまま利用できるレベルだと感じた。
ただしケーブルの種類によっては底部のType-Cポートに挿入しづらくなってしまうため、必要に応じて自身の好みのケースを別途購入すると良いだろう。
AnTuTuベンチマークテスト
本機について、スマホ・タブレット端末の性能を測ることのできる『AnTuTuベンチマークテスト』を実施してみた。
▼Android端末におけるAnTuTuベンチマークテストの実施方法はコチラを参照
-
Android端末でAnTuTuベンチマークテストを行う超簡単な方法(2023年時点)
スマートフォン・タブレットなどのモバイル端末のスペック(スコア)を計測することのできるツールとして、『AnTuTu Benchmark』(アンツツ ベンチマーク)というものがあります。 AnTuTuと ...
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結果として、約94.3万点のスコアを記録することが出来た。
当サイトで今まで紹介した端末の中でも、約100万点近いスコアを記録したスマホ『motorola edge X30』に次いで高いスコアである。
ウェブサイト閲覧や動画視聴はもちろん、『原神』などの激重ゲームアプリでも問題なく快適に遊ぶことのできる性能の高さだ。
iPhoneなどのiOS端末で同等のスコアを出すには、13万円前後の『iPhone 13 Pro Max』(AnTuTu約80万点)等を購入する必要があるため、いかに本製品のコスパが優れているかがわかる。
仕事や動画視聴、ゲーミング用のスマホを探している幅広い方にオススメできるモデルである。
それでは以下からは、実際に使用した感想について紹介していく。
FHD+・120Hz対応の曲面ディスプレイ
本機のディスプレイは2400×1080(FHD+)解像度、最高120Hzの高リフレッシュレートに対応しており、非常に美しく滑らかな映像を楽しむことが可能だ。
▼リフレッシュレートは設定アプリより切り替えることが出来る。
▼ウェブサイト閲覧時も、細かい文字まで明瞭に表示されるため見やすい。ページスクロールもスムーズで心地よい。
また、曲面ディスプレイ(エッジスクリーン)により、縁ギリギリまで映像が描画される。
▼Xiaomi 12(画像左)と iPhone XR(画像右)を並べた様子。Xiaomi 12ではエッジスクリーンにより、筐体サイズをギリギリまで活かした描画を楽しむことが可能だ。
ディスプレイの発色も良好で、ゲームや映画、アニメなどでもカラフルな映像を楽しめる。
▼120Hzの高リフレッシュレートで描画される映像は実に滑らかで、ストレスなく操作できる。
ゲーミングや映像視聴をメイン目的にスマホの購入を検討している方でも、満足度の高い体験が可能だろう。
ほぼ全ての作業をスムーズにこなせる性能
本機のパフォーマンスを確認すべく、ウェブサイト閲覧時・動画視聴時の動作について検証した。
ウェブブラウジングは基本的に快適であり、画像が多めのサイトや、処理の重いサイトであっても スムーズに閲覧することが出来た。
▼ほとんどのウェブサイトが一瞬で表示される。
また、YouTubeやネットフリックスなどの動画サイトを閲覧した場合においても、スピーディかつ滑らかな動画再生が可能であった。
▼4K画質の美しい映像を、スムーズに視聴することが出来る。
▼アニメから実写映画まで、満足度の高い映像体験が可能。
以上の通り、ウェブサイト閲覧や動画視聴といった一般的なスマホ用途に関しては、何の問題もなく快適に行うことが出来た。
高音質デュアルスピーカー
本機上下のデュアルスピーカーについて、音質を確認してみた。
流石はHarman Kardonチューニングのスピーカーを搭載しているだけあって、かなり高品質なサウンドを実現できている。
中~高音域に関してはクリアに響き渡る一方で、音圧も強く、低音に関してもある程度迫力のある音を楽しむことが出来た。
またスピーカーが上下に分かれていることで、音に多少なりとも立体感が生まれている。
この価格帯のスマホとしては、十分に品質の高いサウンドを実現できていると言えるだろう。
高画質カメラ
また、本機に搭載されていカメラについても確認した。
▼実際にフロント(前面)カメラで撮影した画像。
フロントカメラに関して、画質は概ね良好であり、全体的に明るく、ヒトの輪郭から表情までクリアに映し出すことが出来ていた。
発色も自然で肉眼で見た場合に近い。激しく動いても気になるレベルの残像は発生しないため、見づらさを感じることもかなった。
自撮りだけでなく、ウェブ会議やオンライン授業など、オンライン通話用途に利用しても問題のない品質だ。
▼リア(背面)カメラで撮影した画像。
背面カメラについても、フロントカメラ以上に鮮明で美しい写真を撮影することが可能であった。快晴の日に撮影したこともあり、やや照り返しが明るすぎる印象はあるものの、発色も良好で、肉眼で見た場合に近い色合いを実現している。
遠景から近景まで、クリアで発色の良い写真を撮影することができている。
旅行や記念撮影用のカメラとしても十分に活用できる品質だろう。
ゲーミング性能の確認
本機を用いて各種ゲームアプリを遊んだ際のパフォーマンスについても確認していく。
ちなみに本機には "ゲームターボ(Game Turbo)" 機能が用意されており、スマホ処理をゲーム向けに最適化することが出来る。
▼各ゲームアプリに対する処理能力をブーストして、パフォーマンスを向上。
▼描画の最適化や、各種操作の反応性など、ゲーミングに関する詳細な調整を行うことが可能。
本格的にゲーミングを楽しみたい方にはうってつけの機能だ。
今回のパフォーマンス確認時には、この機能を活用して最適化したうえでゲームをプレイした。
『PUBG』プレイ時
まずは『PUBG』の場合について。
まずグラフィッククオリティに関しては、現時点の最高設定である『FHD』までを選択することが出来た。
▼フレーム設定も "ウルトラ" まで選択可能。
実際に試合に参加してみたが、大人数のプレイヤーが密集する場所においても、処理落ちやカクつきなどはほとんど生じず、終始快適なゲームプレイが可能であった。
▼近くのテクスチャから遠くの風景まで、美しく描画される。
激しく動き回っても、ラグやフレームレート低下などを感じることはほとんどなかった。
▼120Hzの高リフレッシュレートのおかげで、全体的に動きがとても滑らかに描画される。
本気でスマホゲーを楽しみたいでも満足度の高い体験が可能だろう。
『統合版マインクラフト(旧PE)』プレイ時
続いて『統合版マインクラフト(旧PE)』の場合について。
ワールドを作成して実際にプレイしてみたが、スムーズで快適に操作することが出来た。
▼チャンク読み込み時にも全く重さを感じない。
▼処理の重くなりがちなジャングルバイオームでも、フレームレート低下やカクつきを感じることは無かった。
クリエイティブやサバイバル、またはマルチサーバーに参加した際などにも、パフォーマンスは非常に安定しており終始スムーズなゲーミングが可能であった。多人数マルチサーバーに参加した場合でも、スムーズな動作で楽しめるだろう。
『原神』プレイ時
最後に "激重" ゲームとしても有名な『原神』の場合について。
非常に重いゲームアプリとして有名な『原神』であるが、本機ではスムーズにプレイすることが可能であった。
▼画質設定はデフォルト状態で "中" に設定されており、デバイス負荷は "スムーズ" の状態。
▼画質設定を "最高" まで上げた場合でも、スムーズな動作が可能であった。
▼美しく滑らかな描画で原神を楽しめる。
▼激しく動いた場合でもカクつきや遅延を感じることはほとんどなかった。
『原神』クラスの激重ゲームでもこれだけ快適に遊べるのであれば、大抵のゲームアプリはスムーズに動作するだろう。
以上の通り、ゲーミング用途にも活用できるパフォーマンスを発揮するスマホとなっている。
発熱が気になる
本製品を使用していて唯一気になった点が、本体の発熱だ。
特にゲームアプリなど、端末に負荷をかける処理を数分行っているだけで、スマホ自体がかなりの熱を帯びてくる。
▼ゲームアプリを1時間もプレイすると、心配になってくるほどの発熱となる。
性能の高さゆえの発熱なのだろうか。しかし熱を帯びてくると同時に、パフォーマンスにも顕著な影響が見られるようになる。
例えば原神を "中" 画質設定でプレイしたとき、30分ほどプレイし続けていると急激に本体が熱くなり、本来快適であるはずのパフォーマンスが低下して、フレームレート低下や多少のカクつきが感じられるようになってしまった。
せっかくの高スペック構成であるにもかかわらず、それ自体の熱でパフォーマンスが低下してしまうのは本末転倒ではないだろうか。
初期設定に注意
なお本製品は現時点(記事執筆時点)で グローバル版の販売が無い。
そのため、購入時点でスマホは中華仕様となっており、見たことのないアプリがプリインストールされていたり、言語設定が英語or中国語になっている。
また、初期状態でGoogle Play Storeアプリがインストールされておらず、自身でダウンロードする必要がある。
これらの点を除けば、根本的な扱い方は通常のAndroid端末と同じだが、利用中に何かしらの不都合を感じるかもしれない。
購入時にはその点に留意した方が良いだろう。
『Xiaomi 12』のまとめ
今回紹介した『Xiaomi 12』について、特長をまとめると以下の通りだ。
良かった点
- AnTuTu90万点超えのハイパフォーマンス
- コンパクトかつ軽量な筐体サイズ
- ベゼルレスの曲面ディスプレイ
- 高音質スピーカー
- 高性能カメラ
- ゲーミング含め、大抵の作業を快適にこなすことが可能
悪かった点
- 高負荷時の発熱が気になる
- 発熱によるパフォーマンスの低下が生じる
以上の通り、iPhone XRと同等ほどのコンパクトな筐体サイズに対して、AnTuTuスコア90万点超えのパワフルな性能を発揮する高性能スマホとなっている。
FHD+解像度・120Hzリフレッシュレート対応の曲面ディスプレイにより、滑らかで美しい映像を楽しむことが出来る。また強力なパフォーマンスにより、大抵の作業を快適にこなすことが可能だ。
スピーカーの音質が良く、映像視聴やゲーミング目的でスマホを探している方でも、満足度の高い体験が可能だろう。
カメラ性能も優れており、オンライン通話はもちろん、旅行時や記念撮影用カメラとしても十分に活用できる品質だ。
一方で、スマホ本体の発熱が気になった。持っていられないほどの熱を帯びるワケでは決してないが、いかんせん発熱がパフォーマンスへダイレクトに影響するため、もう少しどうにかならなかったのか、というのが正直なところだ。
価格に対する性能の高さは及第点レベルに達していると言えるだろう。しかし前述した発熱の問題があり、解決法も現時点でないため、オススメできるスマホかどうかは微妙なところだ。
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