2023年8月、中国のXiaomi(シャオミ)は同社の最新スマートフォンである『Xiaomi MIX Fold 3』を発表した。
Qualcomm Snapdragon 8 Gen 2を搭載した折りたたみスマートフォンであり、望遠カメラ搭載、AnTuTuベンチマークテストで150万点超えのスコアを記録する性能を備えつつ、前モデルよりも薄型・軽量化を実現したハイエンドモデルとなっている。
記事執筆時点で中国版の販売が開始されており、最低構成モデル(12GB+256GB)の価格は8,999CNY(約19万円)。
今回、提携先より本製品(12GB RAM + 256GBストレージモデル)を提供していただいたので、実際に使用した感想を基にレビューしていきたいと思う。
ブランド | Xiaomi(シャオミ) |
モデル名 | Xiaomi MIX Fold 3 |
OS | Android 13(MIUI 14) |
CPU | Qualcomm Snapdragon 8 Gen 2(オーバークロック版) |
RAM | 12GB / 16GB LPDDR5X |
ストレージ | 256GB / 512GB / 1TB UFS 4.0 |
ディスプレイサイズ | プライマリスクリーン(内側):8.03インチ AMOLED セカンダリスクリーン(外側):6.56インチ AMOLED |
解像度 | プライマリスクリーン(内側):2160×1914 セカンダリスクリーン(外側):2520×1080 |
リフレッシュレート | プライマリスクリーン(内側):最高120Hz セカンダリスクリーン(外側):最高120Hz |
ピーク輝度 | 2600nits |
SIMカード | デュアルnanoSIM対応 |
マイクロSDカード | 非対応 |
認証機能 | 顔認証、指紋認証(電源ボタン) |
対応通信規格 | Wi-Fi, Bluetooth, NFC |
対応バンド | 5G:n1 / n3 / n5 / n8 / n28a(上行:703mhz-733mhz、下行:758mhz-788mhz) / n38 / n40/ N41/n77 / n78 / n79 4G:FDD-LTE:c1/b2/b3/b4/b5/b7/b8/b12/b17/b18/b19/b26 TDD-LTE:b34/b38/b39/b40/b41/b42 3G wcdma:d1/b2/b4/b5/b6/b8/b19 2G gsm:b2/b3/b5/b8; cdma 1x: bc0 |
搭載カメラ | フロント:20MP リア:50MPメイン + 12MP超広角 + 10MP(3.2倍望遠) + 10MP(5倍望遠) |
スピーカー | ステレオスピーカー |
バッテリー容量 | 4,800mAh(67W急速充電対応)ワイヤレス充電対応 |
本体サイズ | 折りたたみ時:161.2×73.5×10.96mm 展開時:161.2×143.28×5.26mm |
本体重量 | 約259g |
Xiaomi MIX Fold 3は横折りタイプの折りたたみスマホだ。
前モデル「Xiaomi MIX Fold 2」はSnapdragon 8+ Gen 1搭載で、重さ262g・厚み5.4mmであったが、MIX Fold 3ではSnapdragon 8 Gen 2や望遠カメラを搭載しつつも、重さ259g・厚み5.26mmとさらなる軽量化を実現している。
MIX Fold 2ではできなかった角度固定にも対応。写真撮影時にプレビューとコントロールパネルを分離したり、机の上に置いて三脚代わりにしたりと役立つだろう。
折りたたみスマホといえば、搭載スペースの都合上カメラ性能を落とされていることが多いものの、Xiaomi MIX Fold 3では普通のハイエンド機種並にアップグレードされている。
メインカメラにはSONY IMX800を採用。また、LEICAとのコラボでSummicronを採用している。
3.2xポートレートと5xの望遠レンズを搭載。遠くのものもはっきりと映すことができる。
OIS 光学式手ぶれ補正もしっかり搭載し、手ぶれを軽減してくれる。
Surge P2・G1チップを搭載し、効率的な電源管理により折りたたみスマホでは一番バッテリーが持つようになった。
そして、67W急速充電や50Wワイヤレス充電に対応した、4800mAh容量のバッテリーを搭載している。
筐体背面にはセラミック繊維とアラミド繊維の複合繊維材料を使用し、ガラスの36倍の強度を実現したという特別バージョンも用意されている。
製品本体および付属品
▼外箱の様子
▼内容物をすべて取り出した様子
内容物一覧は以下の通り。
【内容物一覧】
- スマートフォン本体
- スマホケース
- ユーザーマニュアル
- SIMカードピン
- 電源アダプタ
- USB Type-Cケーブル
▼付属の電源アダプタ
▼スマホの外観(展開時)。スタイリッシュでシンプルなデザイン。
▼前面左上には20MPのフロントカメラを内蔵。
▼やや見づらいが、前面右上には輝度センサーが内蔵されている。
▼背面の様子。
▼背面には50MPメイン + 12MP超広角 + 10MP(3.2倍望遠) + 10MP(5倍望遠)の4眼構成カメラが搭載。
▼本体重量は、通常のスマホの1.5倍ほどの約259g。ややズッシリ感はあるが、持ち運びに支障をきたすレベルではない。
▼背面は手触りが良く、指紋などの汚れも目立ちづらい素材で造られている。
そして中央部で折りたたむことで、持ち運びに適した筐体サイズとなる。
▼折りたたみ時のサイズは161.2×73.5×10.96mm。
▼折りたたみ時の厚みは約10.96mmであり、ズボンのポケットに入れても支障なく持ち運べるだろう。
折りたたみと展開を使い分けることで、用途に応じて最も利用しやすい形態を実現することが可能だ。
▼私が普段愛用している『OPPO Find N』(画僧左)と『Xiaomi MIX Fold 3』(画像右)を並べた様子。
『Xiaomi MIX Fold 3』の方が『OPPO Find N』よりも大きめのサイズとなっているが、厚みは『Xiaomi MIX Fold 3』が約2.7mmほど薄くなっている。
▼『OPPO Find N』(画僧左)と『Xiaomi MIX Fold 3』(画像右)。
▼折りたたみ時には、『Xiaomi MIX Fold 3』(画像右)の薄さがより一層際立つ。
続いて、インターフェースについて紹介していく。
▼右側面には電源ボタン、音量調節ボタンが用意。電源ボタンは指紋認証に対応している。
▼左側面の様子。
▼上部にはカードスロットが用意されているほか、スピーカーが内蔵。
▼付属のピンを用いてスロットを開き、デュアルnanoSIMカードの挿入が可能。
SDカードの挿入には対応していない点に注意したい。
▼下部にはType-Cポートが用意されているほか、スピーカーが内蔵。Type-CポートはUSB 3.2 Gen 1に対応しており、高速データ伝送が可能。DP Alt Modeでの外部モニター出力も可能となっている。
AnTuTuベンチマークテスト
本機について、スマホ・タブレット端末の性能を測ることのできる『AnTuTuベンチマークテスト』を実施してみた。
▼Android端末におけるAnTuTuベンチマークテストの実施方法はコチラを参照
-
Android端末でAnTuTuベンチマークテストを行う超簡単な方法(2023年時点)
スマートフォン・タブレットなどのモバイル端末のスペック(スコア)を計測することのできるツールとして、『AnTuTu Benchmark』(アンツツ ベンチマーク)というものがあります。 AnTuTuと ...
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結果として、約155万点のスコアを記録することが出来た。
現時点において、本サイトでレビューしてきたスマートフォンの中でも、最高クラスのスコアを記録した。
ウェブサイト閲覧や動画視聴はもちろん、原神などの激重ゲームアプリでも快適に動作するだろう。
綺麗で滑らかな折りたたみディスプレイ
本機のディスプレイ2K解像度、120Hzの高リフレッシュレートに対応しており、非常に美しく滑らかな映像を楽しむことが可能だ。
▼リフレッシュレートは設定アプリより切り替えることが出来る。
▼高解像度で細かい文字まで明瞭に表示されるため、ウェブサイト閲覧時も見やすい。ページスクロールもなめらかで心地よい。
▼画面保護フィルムを貼っているため、ディスプレイに若干ノイズが乗っているように見えるかもしれないが、実際はいたってクリアで綺麗な描画だ。
▼ディスプレイの発色が良く、ゲームや映画、アニメなどでもカラフルな映像を楽しめる。
▼120Hzの高リフレッシュレートで描画される映像は実に滑らかで、激しい動きを伴うゲームアプリでもストレスなく操作できる。
そして折りたたみ時にはセカンダリディスプレイに映像が表示される。
▼セカンダリディスプレイの映像も同様に滑らかで美しい。
▼映像が変に歪んだり乱れることはなく、自然に折りたたむことが可能。折り目も見られない。
▼ディスプレイが曲がる際にも、表面が波打つようなこともなく綺麗にたたむことが出来ていた。閉じるたびに異音などの発生もなく、スムーズに変形を行うことが可能だ。
展開時・折りたたみ時のいずれの場合においても高品質な映像を楽しめるため、ゲーミングや映像視聴をメイン目的にスマホの購入を検討している方でも、満足度の高い体験が可能だろう。
なお、WidevineはL1サポートであり、ネットフリックスやAmazon Primeビデオなどにおいて、高画質設定の映像を楽しむことが可能だ。
ほぼ全ての作業を快適にこなせる性能
本機のパフォーマンスを確認すべく、ウェブサイト閲覧時・動画視聴時の動作について検証した。
ウェブブラウジングは基本的に快適であり、画像が多めのサイトや、処理の重いサイトであってもスムーズに閲覧できた。
▼ほとんどのウェブサイトが一瞬で表示される。
また、YouTubeやネットフリックスなどの動画サイトを閲覧した場合においても、スピーディかつスムーズに動画を再生することが可能であった。
▼最高画質設定の美しい映像を、スムーズに再生できる。
▼発色も良好。アニメから実写映画まで満足度の高い映像視聴体験が可能だ。
なお、YouTubeなどのサイトで映像を視聴する際に、スマホを折りたたむことで、下画像のように視聴しやすい形態にすることが可能だ。
高品質スピーカー
本機のステレオスピーカーの品質について確認してみた。
実際にいくつか音楽を再生してみたが、音質は実に良く、中~高音域に関しては非常にクリアなサウンドを楽しむことが出来た。
低音に関してはそこまで響かないものの、スピーカー2基に対して音圧がそこそこ強い。映画やアニメの視聴はもちろん、音楽視聴にも適した性能だ。
個人的には、十分に品質の高いサウンドを実現できていると感じた。
圧倒的なカメラ性能
また、本機のカメラ性能についても確認した。
▼実際にフロント(前面)カメラで撮影した画像。
フロントカメラの画質は良好であり、全体的に明るく、ヒトの輪郭から表情までクリアに映し出すことが出来ていた。
発色も自然で肉眼で見た場合に近い。激しく動いても気になるレベルの残像は発生しないため、見づらさを感じることもかなった。
自撮りだけでなく、ウェブ会議やオンライン授業など、オンライン通話用途に利用しても問題のない品質だ。
続いてリア(背面)カメラで撮影した場合について。
▼展開時・折りたたみ時の両方で撮影が可能。
▼リア(背面)カメラで撮影した画像。
▼1倍撮影時
▼3倍撮影時
▼9倍撮影時
▼50倍撮影時
以上の通り、4眼構成の背面カメラを使用した場合、近景から遠景にいたるまで非常に明瞭で美しい写真を撮影できた。
旅行や記念撮影用のカメラとしても十分に活用できる品質だろう。
特筆すべきは、望遠撮影性能の高さだ。一般的なスマホであれば10倍望遠撮影時ですら、遠景の輪郭がぼやけてしまい、不鮮明な写真しか撮ることができない。
しかし『Xiaomi MIX Fold 3』は最大50倍の望遠撮影に対応しており、撮影地点から約7.7km先にある高層ビルのエアポートの輪郭までを捉えることが出来ていた。これは私が今までにレビューしてきたスマホの中でも、圧倒的な望遠性能であると言える。
他には、撮影中の写真のサムネ画像をリアルタイムで確認できるユニークな撮影モードなども用意されていた。
▼折りたたむと、撮影画面と操作ウィンドウが分かれて表示される。
撮影メインでスマホを探している方にとって、満足できる体験を提供するだろう。
ゲーミング性能の確認
最後に、本機を用いて各種ゲームアプリを遊んだ際のパフォーマンスについても確認していく。
『PUBG』プレイ時
まずは『PUBG』の場合について。
まずグラフィッククオリティに関しては、現時点の最高設定である『FHD』までを選択することが出来た。
▼フレーム設定も "ウルトラ" まで選択可能。
実際に試合に参加してみたが、大人数のプレイヤーが密集する場所においても、処理落ちやカクつきなどはほとんど生じず、終始快適なゲームプレイが可能であった。
▼近くのテクスチャから遠くの風景まで、美しく描画される。
▼激しく動き回っても、ラグやフレームレート低下などを感じることはほとんどなかった。120Hz高リフレッシュレートのおかげで、全体的に動きがとても滑らかに描画される。
▼展開時の大きなディスプレイには、スペースに余裕をもって仮想ボタンを配置できる。
▼大きな画面のおかげで、遠方の敵も狙いやすい。
本気でスマホゲーを楽しみたいでも満足度の高い体験が可能だろう。
『統合版マインクラフト(旧PE)』プレイ時
続いて『統合版マインクラフト(旧PE)』の場合について。
ワールドを作成して実際にプレイしてみたが、スムーズで快適に操作することが出来た。
▼チャンク読み込み時にも全く重さを感じない。
▼処理の重くなりがちな森林バイオームでも、フレームレート低下やカクつきを感じることは無かった。
クリエイティブやサバイバル、またはマルチサーバーに参加した際などにも、パフォーマンスは非常に安定しており終始スムーズなゲーミングが可能であった。
多くのアドオンを導入したり、友人らと多人数マルチサーバーに参加した場合でも、スムーズな動作を実現することが出来るだろう。
『原神』プレイ時
最後に "激重" ゲームとしても有名な『原神』の場合について。
非常に重いゲームアプリとして有名な『原神』であるが、本機ではスムーズにプレイすることが可能であった。
▼画質設定はデフォルト状態で "中" に設定されており、デバイス負荷は "スムーズ" の状態。
▼画質設定を "高" まで上げるとデバイス負荷も高まるが、依然としてスムーズな動作が可能であった。
▼PC版にも劣らないほど、美しく滑らかな描画で原神を楽しめる。
▼激しく動いた場合でもカクつきや遅延を感じることはほとんどなかった。
『原神』クラスの激重ゲームでもこれだけ快適に遊べるのであれば、大抵のゲームアプリはスムーズに動作するだろう。
ゲームターボ機能が用意
ちなみに本機には "ゲームターボ(Game Turbo)" 機能が用意されており、スマホ処理をゲーム向けに最適化することが出来る。今回のパフォーマンス確認時には、この機能を活用してパフォーマンスを最適化したうえで、ゲームをプレイした。
▼ゲームアプリをプレイ中に、画面左端をスワイプすることで、ゲームターボのメニュー画面を呼び出すことも出来る。
▼パフォーマンスの切り替えから、画面録画、着信OFF、ボイスチェンジャーなど、様々な便利機能を利用できる。
本気でゲーミングを楽しみたい方にとってもうってつけの高性能スマホとなっている。
長持ちするバッテリー
本製品には4,800mAhのバッテリーが内蔵されており、長時間の連続利用が可能だ。
実際に満充電の状態から5時間ほどゲームアプリを遊んでみたところ、まだ6時間程度持続可能なバッテリー残量があった。ただし画質などのパフォーマンスに影響を及ぼす設定によっては、バッテリー消費速度は大きく変化する。
なお、本製品は67W高速充電に対応しており、少しの充電時間で一気にバッテリーを回復できる。ワイヤレス充電にも対応している点は嬉しい。
短時間の充電で数時間分のバッテリーを回復できる点は魅力的だ。
ただ、ゲーミングなど高負荷使用時の筐体の発熱が気になった。高負荷状態で長時間スマホを利用した場合、決して持っていられなくなるレベルではないが、背面がやや心配になるレベルの熱を持つ。この手の高性能スマホにはよく見受けられる問題だ。
『Xiaomi MIX Fold 3』のまとめ
今回紹介した『Xiaomi MIX Fold 3』について、特長をまとめると以下の通りだ。
良かった点
- 高解像度&高リフレッシュレート対応ディスプレイ
- 旧モデルよりも薄型化・軽量化を実現
- AuTuTu150万点超えの圧倒的なパフォーマンス
- 滑らかで自然な折りたたみが可能
- 大きくて迫力のあるディスプレイ(展開時)
- 大抵の作業を快適にこなせる性能
- ゲーミングに適した機能が用意
- 優れた音質のステレオスピーカー
- 高品質フロント・リアカメラ
悪かった点
- 高負荷時の発熱がやや気になる
- 執筆時点でグローバル版の販売が未定
- マイクロSDカード非対応
以上の通り、圧倒的な性能とスペック構成に対して、軽量化・薄型化を実現した最新のハイエンド折りたたみスマホとなっている。
通常のスマホよりややズッシリ感のある重さだが、その分、スマホより幅広い活用法が可能だ。基本性能も非常に高く、動画視聴からウェブサイト閲覧まで、大抵の作業を快適にこなすことが出来る。また『原神』レベルの激重ゲームアプリでもスムーズに動作した。
そして2K解像度・120Hz高リフレッシュレートのディスプレイで描画される映像は実に美しく滑らかであり、ゲーミングスマホとしても問題なく活躍できるだろう。
現時点でグローバル版の発売がないのが残念だが、折りたたみスマホに興味のある方には、是非一度手に取ってもらいたい一品だ。
※本製品は中国版のため、日本語で使用するためにはADBコマンドでの日本語化が必要です。
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